真中満×五十嵐亮太(第1回)前編

ヤクルトスワローズOBの真中満さんと五十嵐亮太さんのふたりが、NPB交流戦を振り返りつつ、現役時代に交流戦で楽しみにしていたことも明かしてくれた。

真中満と五十嵐亮太が振り返る今シーズンの交流戦「4番の存在が...の画像はこちら >>

【交流戦で感じた4番の存在の大きさ】

五十嵐亮太さん(以下、五十嵐)交流戦優勝はホークスでしたね。(交流戦を)たぶん20回やって、9回優勝したのかな。

今回で9回目。

真中 すごいね。

五十嵐 交流戦が始まって半分近くホークスが優勝しているんですよ。僕はそのうちの4回ぐらい優勝しています。

真中 でも今年、交流戦序盤は意外とセ・リーグが頑張ったでしょ。セ・リーグのほうがよかったじゃないですか。で、終盤一気に逆転されて。

五十嵐 順位的にはそんなに変わらなかったですよね。セ・リーグが負ける時はセ・リーグが全部負けるし、パ・リーグが全部勝つみたいな感じで。

真中 確かに。タイガースも7連敗ぐらいしていたけど。

五十嵐 最初はよかったけど途中7連敗して、でも普通のリーグ戦に戻れば順位がそれほど変わってない。

ただ、ジャイアンツが結構下がっちゃいましたよね。

真中 ちょっと苦しかったね。

五十嵐 ジャイアンツは苦しかったと思う。やっぱり4番の存在がデカいなって改めて感じましたね。

真中 特に岡本(和真)選手(の離脱)はデカいね。

五十嵐 4番はいないときついですか?

真中 そうだね。あとジャイアンツって他に長距離砲が少ないから、なおさら岡本に対する比重が重いと思う。

五十嵐 阿部(慎之介)監督も「やっぱり、ああいったバッターがいないのは......」と言っていたけど、投げる方からしたら岡本がいるのといないとではやっぱり違いますから。

真中 違う。全然違う。

五十嵐 4番の存在って大きい。そう考えるとヤクルトは仕方ないですね。

村上(宗隆)がいないし。でも、ヤクルトのすごいところは、交流戦最下位なんですけど、唯一勝ち越した相手がホークス。優勝したホークスにはしっかり勝ち越していました。

真中 ということは、今後も可能性があるということ。

五十嵐 そうなんです。こういう強いチームにも勝てるという可能性。だって、モイネロに18奪三振くらって、オスナ対オスナでヤクルトのオスナがホームランで同点に追いついて、最後に武岡(龍世)のホームランです。その時解説されていましたよね?

真中 やっていましたね。

五十嵐 長かった試合(笑)。

真中 武岡のホームランは正直うれしかったね。あそこで決めないと12回引き分けとかになる可能性あるので。さよならホームランって打った瞬間に試合終了ですから。

五十嵐 終わらせたかったみたいな言い方(笑)。勝った喜びを語ってください。

真中 すぐ帰れますからね(笑)。

五十嵐 そっちじゃないです。ちゃんとしてください(笑)。(交流戦は)盛り上がったといえば盛り上がったんですけど、そこまで順位の入れ替わりはなかったですね。

真中 大体そのままだったね。

【交流戦に臨む選手たちの心情】

――選手は交流戦にどのような気持ちで臨んでいますか?

真中 僕らぐらいの時は、まだ(交流戦が)始まったばかりのころだったんで、勝ち負けとかよりも、楽しみ。パ・リーグの人と普段試合をやらないから、「このピッチャーどうなのかな」とか、「このチームってどうなのか」とか、そういう楽しみはありましたね。

五十嵐 あと普段行かない遠征地だから、それも結構楽しいです。たまにしか行かないから食べるものとかもうれしいし、もちろん試合もそうなんですけど。1年置きに、ホームとアウェーが繰り返されるじゃないですか。

今回ヤクルトは北海道で試合をやったんですよ。(日本ハムの)エスコンフィールドで。だから僕の周りでも北海道までヤクルトファンが見に行くって多かったですよ。

 球場グルメとかも、今はどこもすごいから行ってかなり楽しめたんじゃないのかな。

真中 ただ、所沢に行く時は泊まるホテルとか立川だからあんまりメリットは......。

五十嵐 そんなことないです。立川の駅前は結構栄えているから、行きたい焼肉屋さんも決まっていたし。

真中 楽しみ方いろいろ作りますね。

五十嵐 作りますよ。どんな状況でも楽しむために選択していますから。真中さんもそうだったじゃないですか。

真中 僕もいろいろ、地方行ったら探しました。

例えば釧路、帯広とか北海道ね。北九州、佐賀......試合終わったあとに、美味しい食べ物屋さんないかとか探しましたね。

五十嵐 今でこそSNSがあって便利な世の中じゃないですか。当時は調べられないからホテルの人に「このあたりで美味しいご飯屋さんありますか」って聞いて、いくつか教えてもらって予約して行くんですよ。

真中 そうだね。で、行きのタクシーで繁華街とか飲み屋街はどこにありますかって確認して、この街よりこっちのがいいよとか情報を得て。もう一個念押しで、食べた焼肉屋さんとかご飯屋さんで、「このあと開いているいいお店ないですか?」って確認してね。

五十嵐 そうそう。本当に人だよりだったんですよ。こんな(交流戦の)楽しみ方もしていたんですよ。

――ちなみに一番どこがよかったですか?

真中 どこというか、大都市はそれなりに飲むところもあるので、それはそれで楽しかったですけど。地方に行ってスナック街とか。

五十嵐 あのドキドキね。

真中 どこの店がいいかなって探している時に、若手3人くらいで行くとみんな散らばって情報を集めてくるんですけど、やり方としては、待ち合わせを装ってお店に入って、「すいません、間違えました」って。

五十嵐 そこでお店の雰囲気を見てね。

真中 そうそう。

五十嵐 真中さんのお姉さんスナックやっているから、そのへん(スナックへの)安心感もあるんじゃないですか?

真中 姉さんのスナックの宣伝しなくていいから(笑)。

五十嵐 お店の名前なんでしたっけ?

真中 輝(ひかり)。もういいって。

五十嵐 輝に行くと大体いろんな人がいるので......野球の話をしましょうか(笑)。

真中 野球の話をしよう。

つづく>>

Profile
真中満(まなか・みつる)/1971年1月6日、栃木県大田原市出身。1992年にドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。2001年にはリーグ優勝、日本一に貢献。2014年からはヤクルトの監督を務め1年目でリーグ優勝を達成。現在は野球解説者として、テレビやYouTubeなど幅広く活躍している。

五十嵐亮太(いがらし・りょうた)/1979年5月28日、北海道出身。1997年にドラフト2位でヤクルトスワローズに入団。リリーフエースとして活躍し、メジャーでもプレー。2013年にはソフトバンクに移籍し日本一に貢献。2020年に現役を引退。現在は野球解説者として、テレビやYouTubeなど幅広く活躍している。

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