1月4日、東西で金杯が開催されて2026年の中央競馬の幕が明けた。しかし、中央競馬における2025年の幕はまだ、完全に閉じてはいない。

というのも、2025年度の年度代表馬をはじめとした『JRA賞』の発表が控えているからだ。

 競走馬部門の各JRA賞は、JRAの年間表彰制度で、中央競馬の記者クラブに所属する各種新聞(一般紙、スポーツ紙、競馬専門紙)、民放テレビ・ラジオなどの記者と、元記者の会友による投票で決まる。対象となるのは、JRA所属馬のほか、その年内にJRAで行なわれたレースに出走した馬で、表彰対象は年齢や性別、距離などによって10部門に分かれている。そして、そのなかから年度代表馬が選出される。

 2025年度の各部門の表彰馬は1月6日に発表されるが、とりわけ注目を集めているのは年度代表馬。というよりも、ダートを主戦場とするフォーエバーヤング(牡5歳)が同賞を受賞できるのかどうか、である。

まもなく発表されるJRA賞 フォーエバーヤングはダート馬初の...の画像はこちら >>
 フォーエバーヤングは一昨年(2024年)の3歳時から海外を主戦場とし、各国のトップレベルのレースで躍動。GⅢサウジダービー(キングアブドゥルアジーズ・ダート1600m)、GⅡUAEダービー(メイダン・ダート1900m)と連勝すると、本場アメリカのGIケンタッキーダービー(チャーチルダウンズ・ダート2000m)、GIブリーダーズカップクラシック(デルマー・ダート2000m)でも、ともに3着と奮闘した。

 その間、国内でも地方交流JpnIジャパンダートクラシック(大井・ダート2000m)、地方交流GI東京大賞典(大井・ダート2000m)で勝利。世代の頂点に立つとともに、既存の国内ダート界のトップクラスを難なく一蹴している。

 結果、そうした功績が称えられてJRA賞の特別賞を授与された。だが、肝心の最優秀3歳牡馬、最優秀ダートホースの両部門での受賞はならなかった。

 迎えた2025年は、より一層の活躍を見せた。まず春には、世界最高賞金レースであるGIサウジカップ(キングアブドゥルアジーズ・ダート1800m)を制覇。香港最強馬ロマンチックウォリアーとの激戦を制してのタイトル奪取だった。

 その後、GIドバイワールドカップ(メイダン・ダート2000m)こそ3着に終わったものの、秋には前年に3着だったブリーダーズカップクラシックで悲願達成。同世代の強豪シエラレオーネ、フィアースネスを完封し、日本調教馬として初めて同レースでの戴冠を遂げた。

 ブリーダーズカップクラシックと言えば、ダートの本場アメリカにおける最高峰のレースだ。創設は1984年と欧米の大レースと比べて歴史は浅いものの、2024年までの41回で北米以外の調教馬が勝ったケースはわずか2回。日本調教馬にとっては、芝のGI凱旋門賞(パリロンシャン・芝2400m)に並ぶほどの分厚い壁だった。

 それほどのレースを、フォーエバーヤングは制したのである。であれば、2025年度こそ、JRA賞の最優秀ダートホースの受賞はもちろん、ダート馬による初の年度代表馬という栄誉を手にしてもおかしくない。

 ところが、これだけの実績を残したフォーエバーヤングであっても、年度代表馬受賞を絶対視されていない。だからこそ、その行方が大いに注目されているのだ。

 フォーエバーヤングが年度代表馬の有力候補であっても断然ではない理由は、第一に記者投票であること。なにしろ、そこには多様な価値基準が存在しているからだ。

 さまざまある価値基準の主なものとしては、「『JRA賞』という名称から、JRAのレースでの実績が重要」といったものから、「芝での実績」「年間を通してのGIでの成績」「(国内)八大競争の実績」などである。

 そうした観点からか、JRAのレース未出走だった2024年のフォーエバーヤングは、最優秀ダートホース部門ではJRAのGI2勝のレモンポップ(160票。フォーエバーヤング=96票)に及ばず、最優秀3歳牡馬部門でもGI日本ダービー(東京・芝2400m)を制したダノンデサイル(144票。フォーエバーヤング=103票)に屈した。

 そうなると、JRAのレース未出走の2025年度も最優秀ダートホースは確実だとしても、やはり年度代表馬においては断然の存在とは言えなくなる。

 強力なライバルとなるのは、GI皐月賞(中山・芝2000m)とGI有馬記念(中山・芝2500m)を快勝し、GI天皇賞・秋(東京・芝2000m)でも2着に入ったミュージアムマイル(牡4歳)と、マイルGIの春秋制覇を果たしたジャンタルマンタル(牡5歳)か。特にミュージアムマイルは、GIの成績だけ見れば2勝、2着1回で、2勝、3着1回のフォーエバーヤングを上回る。

 ほかにも、GIの勝利数では劣るものの、天皇賞・秋の覇者でダービー2着、GIジャパンカップ(東京・芝2400m)2着のマスカレードボール(牡4歳)や、GI大阪杯(阪神・芝2000m)を勝って、GI宝塚記念(阪神・芝2200m)、海外GIの香港カップ(シャティン・芝2000m)で2着と好走したベラジオオペラ、さらにはジャパンカップを制した外国馬カランダガン(せん5歳)などに票が流れてもおかしくない。

 ただ、過去を振り返ってみれば、1999年にフランスへ長期遠征してGIサンクルー大賞(サンクルー・芝2400m)を勝って、凱旋門賞でも2着となったエルコンドルパサーがJRAのレース未出走ながら、天皇賞の春秋制覇に加えてジャパンカップも勝っているスペシャルウィークに、そのスペシャルウィークを下してグランプリの春秋制覇を遂げたグラスワンダーといった2頭を抑えて、年度代表馬に選出された事例がある。

 この結果については、当時はもちろんのこと、今でも議論になることがある。

凱旋門賞2着という価値が当時と現在とでは異なる点が、今になっても議論が白熱する要因となっているのだろう。

 いずれにしても、例年にも増して関心度が高まっているJRA賞の行方。はたして、ダート馬初の年度代表馬誕生はあるのだろうか。

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