佐藤水菜から「敬語は使わないでください」も年上・大浦彩瑛は「...の画像はこちら >>
 4月24日(金)から26日(日)にかけて松戸競輪場でGⅠ「第4回オールガールズクラシック」が開催される。期間中の全レースが女子選手だけで編成される、まさにガールズケイリンの祭典だ。
この開催におけるニューヒロイン候補のひとりが、大浦彩瑛(神奈川・126期)。一度は就職して社会人を経験したのち、ガールズケイリンの道を志した異色の経歴の持ち主であり、2024年に28歳でデビュー。昨年は初のGⅠ決勝も経験し、今年も好調をキープしている大浦に大舞台へ向かう意気込みを聞いた。

【好調の要因は「緊張しい」を経ての落ち着き】

――2026年に入ってから大浦選手はコンスタントにレースに参加されていて、決勝の常連選手となっています。非常に好調に映りますが、状態面はどう感じていますか。

 今年に入ってから毎月3開催のペースで走っていて、昨年より練習に使える時間が少ないので、状態はそこまで上がっている感覚はないんです。それでも今の時点で4回優勝できているのは、自分が変わってきている証拠かなとも思います。昨年までは練習のほうが本番よりいいことが多かったんですけど、それが段々と練習よりも競走のほうが走れている実感が持てるようになってきました。

――練習よりも本番で本領を発揮するのは簡単なことではないと思いますが、それができるようになってきた要因はどこにあると考えていますか。

 やっぱり慣れていくことの効果は大きいのかなと思います。自分はかなり「緊張しい」で、今でもまだまだ緊張はしているんですけれど、初めての競輪場だと特に緊張しやすいので、それが2回目、3回目になってきたことで落ち着いて臨めるようになってきました。

――昨年は初のGⅠ出場も経験しましたが、大舞台では一段と緊張もあったのではないでしょうか。

 もちろん緊張はしていたんですけれど、あまり注目されていなかったと思うので、その点では走りやすかったかなとも思います。

――出場するメンバーのレベルも高く、大勢のお客さんの前でのレースとなると、やはり普段の開催とは違いましたか。

 雰囲気からレベルまで何もかもが違いましたね。なかでも(レースの)速度域が全然違うというのはすごく感じましたし、仕掛ける意識やタイミングも「みんなどんどん行く」みたいな感じで、普段とはまったく違いました。

――昨年11月の「競輪祭女子王座戦」では初日1着、準決勝2着で見事決勝へ駒を進めました。決勝ではアクシデントもあり(落車後に5着で入線)完全燃焼というレースではなかったと思いますが、それでもGⅠの決勝に乗ったことは自信につながる結果と言えるのではないでしょうか。

 そうですね。ただ、いい流れになったので「ツイてたな」と自分で思う面もちょっとあります。自分は機会こそ多くないんですけれど、練習で男子のS級選手につかせてもらうこともあって、その速度域に近いところでの展開になったので、自分のよさが生きたのかなと思っています。

【負けたくない同期と、女王サトミナへの意識】

――今年3月にはデビュー2年未満の選手から選抜される「ガールズフレッシュクイーン」に2年連続で出場し(今年は3着)、同期のなかでも一歩リードする立場にあります。大浦選手は社会人を経てガールズケイリン選手へ転身された異色の経歴の持ち主でもあって、同期のなかでも年長者にあたりますが、同期や後輩に負けられない意識はありますか。

 やっぱり意識はします。自分が強いとは全然思ってなくて、同期の126期だけでなく、128期もどんどん強い人が出てきていますし、先日南関東合宿に行った時には、その次の130期にも強い人がいるなと感じたので、「もっと力をつけないと」と思わされました。

――もっと伸ばすべきと感じているポイントはどこでしょうか。

 ちょっとひとつには絞れないですね。やっぱり自力でやるためには脚力が足りていなくて、最後に抜かれることも多いですし、(自力で)行ける距離が短いので戦術の幅が狭いと感じています。GⅠのような大舞台で自力で戦うにはまだまだですね。

――昨年11月の「競輪祭女子王座戦」では佐藤水菜選手(神奈川・114期)が大浦選手のことを褒めていたのが印象的でした。

 本当に数回しか一緒に練習させてもらったことはないんですけれど、千切れずにつけたことがあったので、それで言っていただけているだけじゃないでしょうか(笑)。実際のところは全然だと思います。

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競輪祭女子王座戦での決勝選手紹介。一番左が佐藤。左から3人目が大浦。佐藤が優勝を飾った photo by Manabu Takahashi
――今のガールズケイリン界の中心と言える佐藤選手からは学ぶことも多いのでしょうか。

 競輪祭女子王座戦でも後ろについたんですが、踏み出しのモーションがないのにすごく進んでいて、「ものが違うな」という感覚でしたし、そこからの踏み直しがものすごくて、後ろについたからと言って(最後に)差せる感触ではなかったですね。実際に決勝では千切れてしまいました。

 普段の競走を見ていても、どんな戦法でも勝てますし、(佐藤選手は)世界の舞台で結果を出している、今のガールズケイリンのトップ選手だと思うので、本当に刺激になっています。

――グランプリをはじめ、タイトルを見据えるうえでは倒さなければならない存在でもあります。

 練習で佐藤選手と同じかそれ以上の速度域の男子選手につかせてもらうと、よく師匠に「ここで差せないということはサトミナ(佐藤選手)も差せないってことだぞ」と言われています。

やっぱりそのスピード感での練習がまだ足りていないと思うので、増やしていかなければいけないですね。

――練習でもイメージする相手ではあるということですね。ちなみに佐藤選手のほうが競輪界では先輩ですが、年齢は大浦選手のほうが上になります。なんと呼び合っていますか。

 私は「ミナちゃん」で、向こうからは「サエさん」と呼ばれています。「敬語は使わないでください」ってめっちゃ言われているんですけれど、慣れるまではなかなか難しいです(笑)。

【武器は持ち味のスピード。瞬時の判断がカギ】

――そんな佐藤選手との戦いも含め、今回のGⅠ「オールガールズクラシック」では期待されているファンの方も多いと思います。どのような意気込みで臨みますか。

 人数も多くてレベルが高いので簡単ではないと思いますが、やっぱり(地元地区の)南関東である松戸開催とあって、なるべく上に行きたいレースですね。スケジュール的には今月3本目で、中3日でのレースが続くので、そのあたりの調整が難しくなってくると感じています。

――現時点で、勝ち上がりのために重要になる、意識すべきと考えているポイントをお話しいただける範囲で教えてください。

「行くチャンスがあれば行く」ような、瞬時の判断がすごく大切になると思います。立ち回りも含めてうまくやれたらいいですね。

――中3日が続くこともよくあり、ハードスケジュールに加えて各競輪場への遠征で環境の変化が激しいのも競輪選手の難しさのひとつだと思います。大変な遠征を乗り切っていくための心がけや楽しみはありますか。

 旅行が好きなので、遠くへの遠征になったら観光や美味しいものを食べに行くのが結構楽しみなんです。競輪場から離れたところへ足を伸ばしちゃうときもありますね。逆に今回のような詰まった日程だとすぐに帰ってきて、自分で食事を作って摂るようにすると元気に過ごしやすい感触もあって、コンディションの整え方にも慣れてきました。

 ただ、今年になってからは(練習で)本数を走ることを意識しているので、短い期間であまり(コンディションが)落ちないようにする練習は、まだ今も少し手探りの段階です。

佐藤水菜から「敬語は使わないでください」も年上・大浦彩瑛は「難しい(笑)」 社会人から転身し3度目のGⅠ挑戦と最強女王との差
安定して好成績をたたき出している大浦。オールガールズクラシックでも期待がかかる photo by Manabu Takahashi
――大浦選手は過去に「3年でガールズグランプリ出場」という目標を掲げていると伺いました。その3年目に入り、今回を含めたGⅠ開催は貴重なチャンスになりますね。

 賞金ランキングでのグランプリへの出場権争いを考えると、GⅠで決勝まで勝ち上がっていかないと厳しくなってきますよね。それから、普段の開催で優勝できていることと、GⅠの決勝で戦いに参加できることはまた違ったものだと感じています。

GⅠにはGⅠの戦い方があると思うので、そういったところも意識しながら一戦一戦気持ちを引き締めながらやりたいです。

――最後にオールガールズクラシックでは、自分のこういうところを見てほしいとか、こういうところを応援してほしいみたいなものってありますか。

 なかなかアピールするのは苦手なんですけれど......(笑)。やっぱり普段から持ち味にしているスピード感は出していきたいですし、成長していく自分を見てもらえたらいいなと思います。

【Profile】
大浦彩瑛(おおうら・さえ)
1995年10月8日生まれ、京都府出身。中学・高校と陸上短距離競技に励み、その後は競技を続けず、社会人を経験。結婚を経て競輪選手を目指す。27歳の時に自転車競技未経験者が受験する適性試験で日本競輪選手養成所へ入所。第3回記録会では最上位ランクとなるゴールデンキャップを獲得した。2024年にデビューを果たし、翌2025年には2度GⅠに出場。11月の競輪祭女子王座戦では決勝に進出している。

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