【ボクシング】井上拓真vs.那須川天心 在米記者4人の勝敗予...の画像はこちら >>

後編:在米記者4人が占う「井上拓真vs. 那須川天心」再戦

9月27日、トヨタアリーナ東京で行なわれるWBC世界バンタム級王者・井上拓真(大橋)と挑戦者の那須川天心(帝拳)の一戦。前戦では井上拓真が3-0の判定で勝利を収めており、那須川にとっては敗戦からわずか10カ月でのリマッチとなるが、両者それぞれのポイントはどこになるのか。

前編では、「前戦の振り返り」と「再戦における井上拓真のポイント」を識者4人にそれぞれの視点で挙げてもらったが、後編では那須川が意識すべきポイント、そしてズバリこの試合の行方を予想してもらった。

前編〉〉〉「初戦の振り返りと、拓真が注意すべき点」

【パネリスト】

◆エイブラハム・ゴンサレス(ロサンゼルス在住。FightsATW.comの創始者であり、リングマガジンのランキング選定委員 X : @abeG718)

◆スティーブ・キム(ロサンゼルス在住。元ESPN.comのシニアライターで現在もフリーランスライター/ポッドキャスターとして活動 X : @SteveKim323)

◆ブレンダン・テイラー(ノースカロライナ在住。YouTubeチャンネル「TRU SCHOOL SPORTS」を運営する X : @TRUSCHOOLSPORTS)

◆カーラン・バティア(ニュージャージー在住。ESPN、DAZNなどでインタビュアー、ホスト、実況を務める X : @CurranBhatia)

3.初戦に敗れた那須川はその雪辱を果たすため、何を変える必要があると思うか

ゴンサレス : 初戦で天心が力を発揮したのは、中間距離より外側に距離を保って戦っていたときだった。天心は遠い距離から正確に狙い打つことができ、それが拓真を苦しめた。また、拓真が前に出る際、時には勢い余って飛び込ませるような場面も作っていた。天心が69.5インチ(176.5センチ)のリーチを生かしながら初戦のような距離を維持し、相手が前に出てきたときにはフットワークを使って横へ外れることができれば、よりスムーズに動くことも可能だと思う。

キム : 天心は自分が経験豊富なプロと対峙していることを理解しなければならない。拓真ほど積極的に動いていないという印象をジャッジに与えてしまう時間を頻繁に作ってはいけない。連打を繰り出してチャンスを見つけ、距離を詰めるにつれて手を動かしていく必要がある。

距離があるところでは、初戦で拓真のほうがジャブを出し続け、試合のテンポをコントロールすることに成功していた。

テイラー : 天心は、試合序盤のペース配分をもっとうまくしなければならない。初戦では、序盤からあまりにも攻撃的だった。そして、最初のアジャストメントを加えられたあとは、アイデアが尽きてしまったように見えた。

もっと成熟した天心を見たい。拓真よりも多くジャブを出し、KOを狙おうと焦りすぎてはならない。そういう形で試合に臨めば、皮肉なことに、ストップ勝ちにつながる可能性がむしろ高くなると思う。

バティア : まったく違うゲームプランが必要だ。それを最初の4ラウンドだけではなく、12ラウンドすべてにわたって実行する必要がある。初戦での天心は序盤から仕掛け、うまくいった。ところがその後に大きくペースを落とした。拓真は序盤の猛攻を耐え抜き、試合の後半をコントロールした。

 今回、天心が変化させる必要があるのは、持続的なエネルギーと攻撃だ。拓真はあまりにも経験豊富であり、12ラウンドを通して安定しているから、天心は序盤にすべてを使い果たし、そのリードを守ることを期待するような戦い方をすべきではない。距離をコントロールするために、もっとコンスタントにジャブを使う必要もある。天心は特別なアスリートだが、才能だけでは十分ではない。規律を持ち、12ラウンドを通してフルに戦い抜く必要がある。

4.再戦はどのような展開になると予想するか。そして、どちらが勝つと思うか

ゴンサレス : 拓真の判定勝ち 最終的に経験が勝敗を分けることになる。その点では拓真に分がある。拓真はすでに天心が何を持っているのかを実際に体験しており、そのうえで必要な修正を加えてくるはずだ。天心にはまだ拓真ほどの世界レベルでの経験がない。今回も試合の中で攻撃の波が断続的になる可能性がある。それが初戦では判定を落とす要因になった。

 拓真が序盤からボディーをえぐり、距離を詰めていくと私は考えている。カウンターの左フックを初戦より多く当て、最終的には3-0判定で天心を返り討ちにすると予想する。

キム : 天心の判定勝ち 初戦では天心の経験不足が敗因になった。その後、天心は元世界王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)を9ラウンドでストップしている。今回はもう少し速いペースでより頻繁にプレッシャーをかけ、拓真に打ち合いを強いると思う。今回の天心は"ファイト"にしなければならないが、私は彼がそれをやり遂げると思う。そして、僅差の判定勝利を手繰り寄せるだろう。

テイラー : 拓真の判定勝ち 拓真には経験の部分で非常に大きなアドバンテージがある。ここまで拓真は通算227ラウンドを戦っているのに対し、天心は71ラウンド。ここ数試合で、拓真は自分自身のアイデンティティーを見つけたように感じられる。もう単なる「尚弥の弟」ではなく、彼自身が非常に優れたボクサーに成長した。これまで誰も拓真をアウトボックスしたことはなく、彼に勝つには手数で上回らなければならない。

これまでのキャリアがそれを証明している。

 今回も拓真はいくつか厳しい局面を乗り越えなければならないと思うが、それでも彼は天心より成熟している。私の見立てでは、かなり衰えたバージョンのエストラーダと戦っただけでは、再戦で拓真に勝つ準備ができたとは言えない。私は拓真が再戦でもポイント争いで上回ると予想する。

バティア : 拓真の判定勝ち 私は実際、初戦以上に拓真に有利だと思っている。ボクシングの歴史を見ても、あるパターンが存在する。再戦はカウンターパンチャーに有利になる傾向があるんだ。カウンターパンチャーは相手のスピードを見て、タイミングを体で感じ、何が来るのかがすでにわかっている。第1戦での拓真は12ラウンドをかけて、天心が何をするのかをすべて読み取った。そして、すでに一度それを解決している。

 今回も天心は速いスタートを切り、スピードや角度を生かして見せ場を作ると思う。それでも拓真は初戦以上にカウンターとボディー攻撃を鋭くして、前回よりも早い段階で試合をコントロールすると予想している。

いずれにしても、このライバル関係はボクシングにとってすばらしいものだ。日本が世界最高レベルの軽量級ボクサーたちを擁し、世界最高レベルのボクシングが見られる国であることを改めて思い起こさせてくれる。

杉浦大介●取材・文 text by Daisuke Sugiura

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