この記事をまとめると
■大排気量・高出力・高回転といった魅力的なエンジンを搭載した国産車を振り返る



■量産車ながらレーシングエンジンと言っても過言ではないスペックを備えたエンジンもある



■中古車で100万円程度から狙える名エンジン車もあるので安価に乗るならいまのうちだ



お金を出してでも乗っておきたい国産名エンジン車たち

脱炭素社会、カーボンニュートラルが叫ばれている昨今、いつまでガソリン車に乗れるのかわからなくなってきた……。しかし、エンジンの脈動は、動物の鼓動にも通じるほかには代えがたい魅力がある。だからこそ、いまのうちに乗っておきたい、国産の珠玉のエンジンを搭載したクルマをここにピックアップしてみよう。



V12代表

ガソリンエンジンの頂点ともいえるV12気筒エンジン。国産車ではトヨタの2代目センチュリーに搭載された1GZ-FE型が唯一無二の存在。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度...の画像はこちら >>



ベースになったのは80スープラなどに搭載された直列6気筒の2JZエンジンだ。1JZのボアを81.0mmに狭めて、コンロッドを軽量薄型化し、直6×2で12気筒化したエンジンともいえる。その証拠にショーファードリブンカーでありながら、1GZはいわゆるトヨタのハイメカツインカムのDOHC4バルブを採用(吸気側にVVTも)。5リッターNAで、280馬力、460Nm/4000rpmというスペックを誇った。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



一方、ショーファードリブンらしい特徴としては、片バンクにトラブルが発生しても、もう片バンクで走り続けられるフェイルセーフが与えられている点。もちろん、V12気筒ならではのスムースさと静かさは比類ない。そんな2代目センチュリーの中古車平均価格は、なんと190万円(新車時は1200万円)。ドライバーズカーではないが、夢の12気筒オーナーになるチャンスがある。



V10代表

V12より軽量コンパクトで軽く、V8よりパワフルでより高回転までまわせるとして、1998~2005年代までは、F1でも全チームが採用していたV10エンジン(3リッターNA時代)。ダッジ・バイパー、ランボルギーニ・ガヤルド、ウラカン、アウディR8、BMW M5などが、V10エンジン搭載車だが、国産車だとレクサスLFAが最初。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



LFAのためだけに開発されたV10エンジンである1LR-GUEは、国産ではじめて500馬力をオーバーしたエンジンでもある(560馬力)。レッドゾーンは9000回転で、スロットルは各気筒独立。

レース用のエンジンではおなじみのドライサンプで、チタン合金製吸排気バルブにコンロッド、DLCコーティングされたロッカーアームなど、エンジン単体でも1000万円クラスと言われた。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



LFAの生産台数はわずか500台なので、中古車でも価格応談というのがほとんど(6000万円前後かそれ以上とも言われている)。ちょっと手が届かないかもしれない……。



いまでも快音が楽しめる大排気量車が新車が買える!

V8代表

V8エンジンと言えば、フェラーリF355のV8(5バルブ)が、パワー、フィーリング、そして何よりサウンドが飛び抜けてよかった。国産車で言えば、まず初代セルシオの1UZ-FE。4リッターNA、32バルブDOHCというスペックで、260馬力/36.0kg-mを発生。スポーツカー並の動力性能と、当時世界ナンバー1の静粛性を達成。いまなら平均価格100万円で手に入る。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



もうひとつは最新のレクサスIS500Fスポーツ パフォーマンスに搭載された2UR-GSE。5リッターNAのV8で、最高出力481馬力、最大トルク535Nm。トルクは全域で余裕があり、アクセルを踏み込めば、トップエンドまでぐいぐい力強さを増していく。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



回転数が上がるにつれ、エキゾーストは澄んでいき、なかなか魅力的なエンジンと評判だ(新車で850万円~)。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



直6代表

二次振動のない完全バランスが味わえる直列6気筒。その代表は、なんといっても第二世代のスカイラインGT-Rの心臓、RB26DETTだ。

このエンジンこそ、ガソリンエンジンが大手を振って走れるうちに乗っておきたいエンジン。燃費も悪いし、低速トルクも大きいとはいえないが、インターセプトポイントから、レブリミットの8000回転までの加速感とエキゾーストノートは、無比無類の存在。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



R35GT-RのエアフロやR35GT-Rのインジェクターでアップデートし、高効率の最新タービンに交換・チューニングされているRB26DETTも格別だ。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



ただし、第二世代のスカイラインGT-Rは、R32、R33、R34ともに、中古車相場が高騰中……。R32で700万円前後、R33で750万円前後、R34だと2000万円といったプライスがついている。



直4代表

2リッター以下には直4の名機も多いが、ひとつ挙げるとするならホンダS2000のF20C。そのルーツはJTCCのレーシングエンジン、H22A改にあり、ほとんどレース用エンジンの発想で作られている。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



ロッカーアームはベアリング入りとなり、サイレントチェーンとギヤでカムを駆動。二分割ブロックでクランクの回転を支え、バルブスプリングはCARTのエンジンと同じ材質を使用。圧縮比は11.7を誇り、ピストンはホンダ初の鍛造ピストン。レッドゾーンは9000回転に設定され、ピストンスピードは25.3m/sとレーシングカー顔負けのスペック。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



VTECエンジンなので、高速域だけでなく中低速のドライバビリティも優れ、NAのスポーツエンジンとして歴史に残る傑作だ。ただS2000も価格高騰中の1台で、平均価格は約400万円。



RE(ロータリーエンジン)

最後はロータリーエンジン。ロータリーエンジンの強味は非常にコンパクトで軽量なこと。フロントミッドシップにするのに最適で、ハンドリングのいいマシンが作りやすい。ピストンの上下運動がなく、ローターの回転運動だけなので、振動も最小限。なめらかさでいえば、2ローターでもレシプロのV8並み、3ローターならV12気筒に匹敵する。また、非常にパワフルで、アクセルレスポンスがいいのも特徴。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



エンジンの機構がレシプロエンジンとはまったく違うので、当然フィーリングも独特。そこは好き嫌いが分かれるところだが、10年前、2012年にマツダのRX-8が生産中止になってから姿を消し、当面復活の見込みもないので、入手できるいまのうちに体験しておきたい1台。



筆舌に尽くしがたい快感と音! 4気筒から12気筒まで人生一度は味わいたい傑作国産エンジン7選



RX-8の中古車は、いまならギリギリ100万円以下(95万円前後が相場)。FD3Sは驚くほど高値になってきているので、RX-8の価格が高騰する前に……。

編集部おすすめ