この記事をまとめると
■2035年にはガソリンエンジン車の販売が禁止されるカリフォルニア州LAのモーターショーに潜入



■かつてはHVさえ否定していたアメリカ3大メーカーいずれもがラインアップにEVを設定している



■2022年のLAオートショーは派手さこそなかったが時代の変化を感じるには十分のショーになっていた



いまやビッグ3全車がEVをラインアップの主軸に据えている

デッドライン(締め切り)は2035年。それは今年の夏にアメリカ、カリフォルニア州が表明した「2035年以降州内でのガソリンエンジン搭載車の販売を禁止する」という法案を意味している。すでにこのカリフォルニア州の法案に追従することを表明した州も存在するから、自動車メーカーにとっては電動化に舵を切ることは、将来に向けてそれはもはや後戻りのできない計画ともいえる。



アメリカのGMやフォード、そしてクライスラーを傘下に収めるステランティスは、すでに2035年までにガソリン車の生産を中止するという中期計画を発表している。そのプロセスにはHEV、PHEVといったモデルも登場し、あるいは燃料電池車、FCVも独自の進化を続けるのかもしれないが、内燃機関がこれから縮小される傾向にあることは確かだ。日常的にガソリンスタンドではなく自宅で、あるいは充電スポットで自動車を走行させるためのエネルギー源を得る。そんな時代が、あと10数年後には確実に訪れるのだ。



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そのような状況のなかで開催された2022年のオートモビリティ・ロサンゼルス(ロサンゼルス・オートショー)での主役は、やはりBEVやFCVといったゼロエミッションカー。すなわち一切の排気ガスを出さないモデルだった。その数はすべての展示車のなかで半数以上の数字で、EVへのシフトが本格的に始まっていることを実感させられた。



とくに印象的だったのは、かつてはHEVさえ否定していたアメリカの大手自動車メーカー3社が、いずれも売れ筋のモデルにEVを設定してきたことにあった。



たとえばGMのシボレー・ディビジョンは、自らの「CHEVROLET」の文字の「E」と「V」のみをブルーにカラーリングする演出で、エキノックス、ブレーザー、シルバーラード、同RSTの4モデルを同時に発表。



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いずれもアメリカでは高い人気を持つモデルだけに、そのEV化が与える影響は当然他社にも及ぶだろう。ちなみに最大航続距離はブレーザーで約512km。実用性は十分に得られている。



続々とEVを発表してで勢いに乗るヒョンデ

ヒョンデや、その高級ブランドのジェネシス、そしてKIAなどの韓国ブランドも、完成度の高いEVをこのオートモビリティ・ロサンゼルスに持ち込んできた。とくにKIAのニロは、スタンダードなガソリンエンジン搭載モデルから、HV、PHEV、BEVと幅広いラインアップを揃えるトールスタイルのワゴンモデル。



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今回はそのすべてに試乗してみることができたが、EV仕様のスムース、かつ力強い走りは大いに印象的だった。いまや韓国車は、性能もデザインも、そしてクオリティも世界のライバルに肩を並べる存在にまで成長したと評価してもよいだろう。



ちなみに今回ヒョンデが発表したニューモデルのBEV、アイオニック6は、2023年春に発売が予定されている。



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また、同社からは1974年に発表されたポニークーペをオマージュしたトータル630馬力のツインモーターを搭載するスポーツクーペ、Nビジョン74も公開。BEVの世界がさまざまな広がりを見せることをそのコンセプトカーは主張していた。



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BEVの新興勢力、ヴィンファストは、昨年に続き今年もこのショーに出展した。彼らの主力商品は7人乗りSUVのVF8と、同じくVF9の2モデルだが、さらにコンパクトなSUVもそのラインアップには存在する。近くサウスカロライナ州に工場を新設するというヴィンファスト。はたしてそれは市場でどのように評価されるだろうか。



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日本メーカーからのトピックスは、やはりトヨタの新型プリウスとスバルの新型インプレッサのワールドプレミアだろう。

いずれもその詳細はすでに多数報じられているので省略させていただくが、はたしてこの次の世代には両車はどのようなメカニズムに姿を変えているのだろうか。もちろん彼らにとっても2035年のデッドラインは変わることはないのだから。多少の出遅れ感は否めない。



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伝統の911シリーズのオフロードモデルともいえるダカール、そしてリヤシートを廃止するなど軽量コンセプトに徹した911Tを発表したポルシェ。あるいは新型のコルベットZ06を披露したシボレー。



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今回のオートモビリティ・ロサンゼルスは、けして派手ではなかったものの、時代の変化を感じる見るべき点が非常に多かった。今後の各社の動きからは、やはり目を離すことができない。

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