この記事をまとめると
トヨタがハリアーにプラグインハイブリッドを導入したのを機にその表記を「PHEV」に変更した



■かつてトヨタは「PHV」の表記を採用しており、ハイブリッドカーの延長であるという姿勢をとっていた



■EVが普及してモーター駆動の魅力が拡散したことで「PHEV」へと表記変更したといえそうだ



電動車であることを明確にするために「PHEV」へと表記変更

トヨタはハリアーにプラグインハイブリッド車を追加したところで、その表記をPHEV(プラグイン・ハイブリッド・エレクトリック・ヴィークル)へと変更した。これに伴い、それまでPHV(プラグイン・ハイブリッド・ヴィークル)の表記であったRAV4も、PHEVとしている。



トヨタがプラグインハイブリッドの表記を「PHV」から「PHE...の画像はこちら >>



PHVからPHEVへの表記変更について、トヨタ広報は「電動車であることを明確化するため」と回答し、同時に「海外と表記を統一するため」でもあるという。



プラグインハイブリッド車は、2代目プリウスの時代に米国カリフォルニア州で電気自動車(EV)に精通した消費者が、荷室床下に追加バッテリーを車載してプラグインハイブリッド化して自慢したことにはじまる。



トヨタがプラグインハイブリッドの表記を「PHV」から「PHEV」に変更! たった「1文字の追加」に込められた重要な意味



カリフォルニア州では、1990年からZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)法が施行されたが、量産市販EVはなかなか登場していなかった。そうした折、HVとはいえ市販車でモーター走行も多少できるプリウスの存在は、EV愛好者でコンバートEV(エンジン車からの改造車)などを通じて電気の知識を得ていた人々に、より長いモーター走行を手に入れる手段として好材料となったのだ。



そしてトヨタは、3代目プリウスでPHVのリース販売を2009年にはじめ、12年から広く一般へ市販した。



トヨタがプラグインハイブリッドの表記を「PHV」から「PHEV」に変更! たった「1文字の追加」に込められた重要な意味



電動車の魅力が知れ渡った現在は電動車アピールをするほうが有利だ

プラグインハイブリッド車については、三菱自動車工業もアウトランダーPHEVを2012年に発表し、翌年1月に発売した。三菱自は、当初からPHEVの表記である。



トヨタがプラグインハイブリッドの表記を「PHV」から「PHEV」に変更! たった「1文字の追加」に込められた重要な意味



それぞれで表記が違うのは、トヨタと三菱自でプラグインハイブリッド車の成り立ちが異なるからだろう。



トヨタは、1997年の初代プリウスにはじまるハイブリッドシステムを基に、車載バッテリーの容量を増大してプラグインハイブリッド化しており、その手法は今日も変わらない。



これに対し三菱自は、2009年に発売を開始した電気自動車(EV)i-MiEVのモーターとバッテリーを活用してプラグインハイブリッド化している。



トヨタがプラグインハイブリッドの表記を「PHV」から「PHEV」に変更! たった「1文字の追加」に込められた重要な意味



つまり、トヨタはガソリンエンジンの低燃費化のためモーターとエンジンを駆動に利用するハイブリッドを基にしているが、三菱自はEVのモーター駆動を基にしているので、仕組みが異なるのである。



もちろん、車載バッテリーに十分な電力が充電されている間はモーター駆動であることに違いはないが、たとえば現在のハリアーPHEVとアウトランダーPHEVを比較試乗すると、ハリアーはエンジンが早めに始動するが、アウトランダーはかなりモーター駆動を継続する。HVの延長と考えるか、EVの一歩手前と考えるかの違いだろう。



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HVにおいても、日産のe-POWERの人気と、HVでもアクセルでのワンペダル的な運転ができることの魅力など、モーター駆動を主体とすることによる利点が浮き彫りになり、人気を呼び出した。そしてトヨタも、新型アクアではモーター駆動領域を増やし、e-POWERに通じる運転感覚を持ち味にしている。



環境適合性の向上はもちろんだが、EVが次第に普及しはじめることにより、モーター駆動であることの魅力が拡散してきた市場動向を反映したPHEVへの表記変更といえそうだ。

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