この記事をまとめると
■音やフィーリングが素晴らしいエンジンを搭載したクルマを紹介■官能的なV8エンジンとレーシーなV10エンジン搭載モデルの超絶パフォーマンスに酔いしれたい
■小排気量エンジンを搭載したモデルにも気持ちいいクルマがある
官能的なイタリアンV8かレーシーなジャーマンV10か!?
アクセルを踏み込むにつれてグオォォ~ンと湧き上がるパワーには、クルマ好きなら誰でも血湧き肉躍ります。そこで、音やフィーリングが素晴らしいエンジンに焦点を当て、そのエンジンだけでも十分に乗る価値のあるクルマを紹介します。じつはそういうクルマって、セカンドマーケットでお買い得でもあるので、今後のクルマ選びの参考にしてくださいませ。
まず、いちばんお薦めなのが、マセラティ・クワトロポルテです。クワトロポルテとはイタリア語で「4枚のドア」っていうくらいですから、真面目な4ドアセダンと思いきや、このクワトロポルテはフェラーリと同じV8エンジンを積んでいるんです。とくにお薦めなのが、2003年モデルのクワトロポルテ! フェラーリと同じエンジンブロックを使い、マセラティ パワートレイン部門が設計。そしてイタリア・マラネロのフェラーリのファクトリーで生産された自然吸気4.2リッターV8エンジンは、まさしくフェラーリと同じ官能的なエンジンサウンドを奏で、怒涛の400馬力で4枚ドアの流麗なボディを目眩く世界へと加速させます。
そんな素晴らしいパフォーマンスを持ったイタリアン・ラグジュアリー4ドアサルーンにもかかわらず、セカンドマーケットでは200万円代で並んでいます。また、格安でゲットできるうえに、マセラティ・クワトロポルテのことはほとんどの人はよく知らないので、たとえそれが20年落ちの中古車であろうとも「おっ、マセラティか、カッチョいい!」と思ってくれるところが、2003年クワトロポルテのお薦め理由でもあります。
次にお薦めなのが、イタ車=マセラティとは対極の質実剛健なドイツ車、BMWのハイパフォーマンスセダンであるM5です。なぜなら2003~2010年に製造・販売されていた4代目M5には、モータースポーツの最高峰であるF1のマシンにも採用されていたのと同じ型式となるV10エンジンが搭載されているからです。

このM5のV10エンジンは、5リッターという大排気量ながら8000rpmを超えてもスムースにまわり、500馬力を楽に超えるパワーを発揮! そんなレーシングカー顔負けのモンスターカーにも関わらず、ベースはBMW自慢のミドルセダンですから、人も荷物もしっかり乗せることができ、買い物から旅行まで快適に使うことができるのもM5の魅力です。しかも、当時の新車価格は1300万円オーバーだったのに、いまではセカンドマーケットで300万円台から500万円台で並んでいます。2005年あたりのM5を買って、「俺のクルマって、F1と同じエンジンなんだぜ」と自慢してくださいませ。
同じV10エンジンなら、アウディRS6アヴァントもいいでしょう。

こんな怪物ワゴンでも、セカンドマーケットでは400万円弱で売っております(当時の新車価格は1600万円超え!)。お買い得なRS6アヴァントに乗って、キャンプに行くのもいいかもしれませんね。
イタリアとフランスのクルマは走りが気持ちいい!
さて、前半ではイタリアとドイツの名機=名エンジンを搭載したクルマを紹介しました。が、「そういう高級車ならエンジンが良いのは当然だろ!?」という声(クレーム?)が聞こえそうなので、後半ではもっと小さくて実用的で、それでいて魅力的なエンジンをリストしました。
その一番手は、イタリアの名門・アルファロメオが1992~1997年に製造・販売していたアルファロメオ155です。この155には2リッターの直4エンジンと2.5リッターのV6エンジンの2タイプを搭載。DTM(ドイツツーリングカー選手権)に参戦していたマシンのベースであるV6エンジンも捨て難いのですが、サウンドとフィーリングにおいては、格別に魅力的な直4エンジンがお薦め!

買うとしたら、1995年にマイナーチェンジして8バルブから16バルブになったアルファロメオ155 2.0ツインスパーク16Vが良いでしょう。たった4気筒、わずか2リッターなのに、アクセルを踏んだ途端にモリモリとパワーが湧き出て高回転まで澱みなく吹き上がるのです。エンジン&エキゾーストサウンドは決してスーパーカーのような高音ではないのに、なぜか五感を刺激しまくり。5速MTを駆使してのドライビングはまさに快感そのもの!
その快感に魅せられた当時のクルマ専門誌編集者やモータージャーナリストは、こぞって155を買っていましたっけ。
最後にもっと排気量が小さく、さらに気筒数が少ないエンジンを紹介します。それはルノー・トゥインゴです。そもそもトゥインゴは1993年にデビューした、ユニークで可愛らしいスタイリングのフレンチコンパクトカーですが、お薦めは2014年にRR(リヤエンジン・リヤドライブ)としてリニューアルした3代目です。

とくに2020年に追加されたトゥインゴSという異色のモデルがよろしいかと思います。というのも、この2020年トゥインゴSは998ccの直列3気筒と5速MTを組み合わせたパワートレインを搭載しているから! 1リッターにも満たない排気量の3気筒エンジン(しかもターボじゃない!)は73馬力しか発揮しないため、はっきり言って「遅い」のひと言……(当時の試乗インプレッションでは遅いと明言しているモータージャーナリストが多数)。でも、コロコロと軽やかにまわるエンジンはとても気持ちよく、街なか~山道のドライブは快感そのものだったそうです。

ちなみに、2020年式トゥインゴSの中古車価格は、当時の新車価格179万円からマイナス79万円ほど。つまり100万円そこそこで、こんなに可愛くて気持ちいいコンパクトカーに乗れるのです。いかがですか?
クルマの電動化が進む昨今、ガソリンを燃やして走ることの気持ち良さを堪能できるのは、あとわずかかもしれません。いまのうちに気持ちいいエンジン、楽しいドライビングを味わっておいてはいかがでしょうか。