この記事をまとめると
■なんとなく社用車っぽいビジュアルと雰囲気を持つクルマを探してみた■かつて商用車の代表だったアクア・ヤリス・フィットなどはかなりお洒落なモデルになっていた
■唯一、カローラアクシオだけはどんなボディカラーでもいまだ商用車っぽさが抜けていない
もしかして営業車に見られてるかも……
30代になってからは無精ひげを生やし始めたせいか、いまはそんなこともないのだが、20代後半頃の筆者はしばしば「店員」に間違われた。ホームセンターへ買い物に行けば「すみません、電ノコの棚はどこですか?」と尋ねられ、家電量販店へ行けば「プラズマテレビと液晶テレビ、どっちがおすすめなの?」と、年配女性に尋ねられた。自分ではよくわからないが、なんとなく店員さんっぽいビジュアルと雰囲気だったのだろう。
これと同様にクルマにも、「なんとなく社用車っぽいビジュアルと雰囲気」を備えたモデルが存在するはずだ。ユーザー自身はれっきとしたプライベートカーとして使っているにもかかわらず、周囲から「あぁ、社用車だな」と確信されてしまうクルマである。
そんな「社用車っぽい現行モデル」をいくつか、ヒマなのでピックアップしてみることにしよう。
まず考えられるのは現行型トヨタ・アクアだ。あれのホワイト系やシルバー系であれば、問答無用で「中堅企業がリースしている営業車」に見えるに違いない……と思って調査したのだが、意外とそうでもなかった。
いや確かに、パールなどの加工が入っていない「スーパーホワイトII」のアクアであれば問答無用で営業車に見えるのだが、そもそも外装色にスーパーホワイトIIを選ぶのは、ビジネスグレードである「B」を選ぶ人だけだ。そしてビジネスグレードがビジネス車に見えるのは、当たり前のことでしかない
一般的な「X」以上の白いアクアでは、ちょっと真珠のような光沢がある「プラチナパールホワイトマイカ」が主に選ばれており、この色をベーシックグレードである「X」に組み合わせても、残念ながらあまり社用車っぽくは見えないのだ。いや何が「残念」なのか、自分でもわからないが。
とはいえ無難な「シルバーメタリック」を選ぶと、やはり現行型アクアは途端に社用車っぽくなる。しかし、これもグレード不問なわけではない。

中間グレードである「G」以上はフロントグリルモールにペールゴールド塗装が施されているため、これがワンポイントとなって、地味で無難なシルバーメタリックを合わせても社用車っぽくは見えないのである。

ただしグリルモールがブラックとなるベーシックグレード「X」にシルバーメタリックを合わせるとたちまち社用車っぽくなるため、注意が必要である。
現行型アクアとおおむね同世代のコンパクトカーである現行型トヨタ・ヤリスも、グレードとボディカラーによっては社用車っぽく見えるクルマだろう。とくに、もっともベーシックな「X」のホワイト系は完全無欠の社用車風になるだろうと思ったが……これも意外とそうでもなかった。

もちろんスーパーホワイトIIであれば営業車っぽく見えるのだろうが、実際の「白いヤリスX 1.0」は、ほとんどが「ホワイトパールクリスタルシャイン」。このパールがかった白にヤリスのアグレッシブなフロントマスクと低く構えた姿勢、そして意外とシャープなデザインの樹脂ホイールキャップが組み合わされると、「カッコいい!」とまではさすがに思わないが、まぁ普通のプライベートカーには見えるのだ。
ヤリスにおいて注意が必要なボディカラーは「シルバーメタリック」だろう。これもなかなか上品で重厚感のある色ではあるが、ベーシックな「X」は言うに及ばず、最上級グレードである「Z」であっても、足もとが標準の樹脂ホイールキャップだとかなり営業車っぽく見える。

どうしてもシルバーメタリックのヤリスZが欲しい場合は、オプションの16インチアルミホイールを選択することをおすすめしたい。もちろん「むしろ営業車コスプレをしたいんです」という人は別だが。
どのクルマもシルバー系はなかなか難しい
「ベーシックグレード+白という組み合わせでも、意外と社用車っぽく見えないクルマ」というのはけっこうあって、現行型ホンダ・フィットもそんな一台だ。

もっともベーシックなフィットである「BASIC」を白く塗れば営業車っぽく見えそうなものだが、実際には、白といっても光沢のある「プラチナホワイト・パール」であるということと、まぁそんなに悪くはない樹脂ホイールキャップのデザインが影響し、さほど営業車っぽさは感じない。
とはいえそんなフィットも、ベーシックなグレードに「ルナシルバー・メタリック」を組み合わせると、若干の社用車っぽさは炸裂する。

シルバー系というのは難しい色のようで、斬新でモダンなエクステリアデザインが特徴となる現行型日産ノートも、もちろんほとんどのボディカラーにおいては社用車っぽくなど見えないのだが、唯一の例外として「ブリリアントシルバー(M)」だけは、若干の社用車感が醸し出される。もちろん悪い色ではないので、ブリリアントシルバー(M)のノートを買うのもご勝手ではあるが、購入後はワイシャツ姿では乗らないほうがいいだろう。余計なお世話だが。
さて、「ノーマルだと社用車っぽく見えるクルマ」のナンバーワンは、なんといっても古い車台のまま製造販売が続けられている「現行型トヨタ・カローラフィールダー」なのではないか? と思う人もいるかもしれない。筆者も調査前はそのように思っていたのだが、実際は違った。確かにホワイト系とシルバー系のカローラ フィールダーは「ザ・社用車」としか言いようのない味わいだが、その他のボディカラーだと、「このサイズ感が好きで乗ってる人のプライベートなステーションワゴン」にしか見えないのだ。

そして調査の結果、真のナンバーワンは「トヨタ・カローラアクシオ」であることが判明した。ご承知のとおり、新型カローラが2019年9月に発売されて以降も販売が継続されている、2012年デビューの5ナンバーセダンである。

これがなかなかの強者(つわもの)だった。同世代の5ナンバーステーションワゴンであるカローラフィールダーの場合は、前述のとおり「ザ・社用車」に見えるのは白とシルバーだけで、その他のカラーだと意外とそうでもない。
だがカローラアクシオは、何をどうしたってダメなのだ。
白やシルバーは当然として、「アバンギャルドブロンズメタリック」であっても「零細企業の役員車」のようであり、「ヴィンテージブラウンパールクリスタルシャイン」を適用してみても、結果はほぼ同様。なんとなくIWAKURAの浩太社長が乗っていそうな雰囲気がある。

そして地味な水色メタである「ライトブルーメタリック」のカローラ アクシオは当然ながらザ・社用車なわけだが、試しに「大径アルミホイールに履き替えたライトブルーメタリックのカローラアクシオ」の画像を見てみたら、「不良社員によって勝手にホイールを替えられてしまった中小企業の社用車」にしか見えなかった。
そんな強力な磁場を持つカローラ アクシオのなかで社用車っぽっく見えないのは、2016年5月に発売された特別仕様車「W×B(ダブルバイビー)」だけである。

フロントアッパーグリルにスモーク塗装とメッキ装飾を施し、フロントロワグリルにもメッキ装飾を施したドットパターンを採用。そしてブラックエクステンションを用いたBi-Beam LEDヘッドランプ+LEDクリアランスランプを採用し、16インチのタイヤ&アルミホイールを装備したカローラ アクシオW×Bは、さすがに社用車には見えない。「……5ナンバーサイズのセダンが大好きなカーマニアが乗ってるんだろうな」みたいな感じである。
とはいえ、「そこまでやらないとプライベートカーには見えない」というカローラアクシオも、それはそれで逆にすごいクルマだな……とも思うわけだが。