この記事をまとめると
■MT車にはクラッチペダルがついている■クラッチペダルの操作に関する用語がいくつか存在
■蹴る/つなぐ/揉む/半クラ/切る/滑る/焼くを挙げた
クラッチペダルの操作に関する用語を解説
乗用車の新車販売に占めるAT率はおよそ99%で、いまやMT車の割合は1%台になっている。それゆえ、クラッチペダルのついた3ペダルのクルマはかなり貴重な存在になってきているが、こだわりの少数派が使うものだけに、その扱い方にAT派には意味不明の用語がいくつかある。
そうしたクラッチペダルの操作に関するナゾの用語をいくつか解説していこう。
クラッチを切る
これは極めて通常の動作。クラッチペダルを踏むことで、クラッチディスクとフライホイールを切り離し、その間にシフトを操作し、次のギヤに変速する。あるいはギヤを入れたまま停止するときにクラッチを踏んでエンストを防ぐ。
クラッチをつなぐ
踏んでいたクラッチペダルを戻すことで、切っていたクラッチを再びつなぐ操作。クラッチがつながっている状態=駆動力が伝わっている状態と思えばいい。
半クラッチ(半クラ)
止まっている物体には停止慣性が働くので、動き出しが一番抵抗が大きい。エンジンはある程度回転を上げないと大きなトルクを発揮しないわけだが、通常は高回転で発進するわけにも行かないので、低回転でもスムースに発進し、なおかつエンストしないよう、クラッチを切ってギヤを1速(もしくはリバース)に入れたあと、クラッチペダルを徐々に戻して、あえてクラッチを滑らせることでスムースな発進を実現させる方法。
この半クラッチのやり方次第で、発進時のスムースさに大きく差が出るところで、初心者が一番苦手とする操作のひとつでもある。
ドリフトをする際に使えるテクニックも!
クラッチが滑る
クラッチはきちんとつながった状態だと、フライホイールとクラッチフェーシング(摩擦材)が圧着され、滑ることはないが、前ページのように半クラッチでクラッチを滑らせると、フェーシングが摩耗し、やがてクラッチペダルを戻しきっても、半クラッチが続くような状態になる。このことを「クラッチが滑る」という。
クラッチは消耗品なので、長期間使用していればやがてどんなクルマでも摩耗し滑るようになるが、クラッチワークがラフな人、高回転でゼロヨンのスタート時のようなクラッチのつなぎ方を多用すると、クラッチの寿命は極端に短くなり、短期間で滑るようになってしまう。
クラッチを揉む
アクセルを抜く代わりにクラッチを微妙に踏むこと。コーナリング中、シフトダウンせずに、微妙に高回転をキープしたいときに、アクセルを戻さず、意図的に半クラッチを使って高回転を保ち、パワーバンドから外さないようにするために使う(当然、クラッチの負担は大きい)。
クラッチを蹴る
一瞬だけクラッチを切り無理やりエンジンの回転数を上げる方法。主にドリフトのテクニック。アクセルを踏んだまま一度クラッチを切り回転数を上げて一気にクラッチをつないでドリフト状態に持ち込むワザとして知られている。

クラッチが焼ける
半クラッチを多用しすぎるとクラッチが滑り、その摩擦熱でクラッチが焼けてしまうことがある。クラッチが焼けると、表面に歪みが出て、クラッチディスクの摩擦力が低下し、さらにクラッチが滑りやすくなり、ガタつきが起こることもある。
また、走行中にクラッチペダルに足をのせたままにしていると、無意識に左足に力が入って半クラッチ状態になることがあるので、クラッチ操作の必要がないときは、左足をフットレストに置くことを習慣にしておこう。
番外編 クラッチフルードのベーパーロック
余談だが、猛暑のときはクラッチフルードにも熱の影響で気泡が入り、クラッチペダルを踏んでもクラッチが切れなくなることがある。とくに劣化したフルードのまま、炎天下で渋滞に巻き込まれたときは要注意。
クラッチフルードのべーパーロックが起きたときは、日陰にクルマを止めて、ボンネットを開け、クラッチフルードの温度が下がるのを待てば、また走り出すことができるが、そうなる前にクラッチフルードを交換しておくことが大切。ブレーキフルードと同じく、2年に1度は交換しておきたい(フルード代+工賃で4000~5000円)。