この記事をまとめると
■初代シビックタイプRの隠れたライバル「日産パルサーVZ-R・N1」



■1.6リッターSR16VE型エンジンはシビックタイプRを上まわる200馬力を発揮



■専用サスやマフラーで武装した「VZ-R・N1 Version II」もあった



1990年代にテンロクで200馬力を実現した実力車

1990年代に数多く登場したテンロク(1.6リッター)エンジンを搭載したホットハッチのなかで、多くの人が最強と評価するのは1997年8月に登場した初代ホンダ シビックタイプRだろう。すでに高い評価を集めていた1.6リッターのDOHC VTECエンジンをベースにさらなるチューニングを施し、排気量はそのままに185馬力を絞り出すB16B型エンジンは、いまでも多くのファンを魅了してやまない名機となっている。



ただ、そのライバルとして存在していたパルサー(当代の正式名称はパルサーセリエ)のホットモデル「VZ-R・N1」も忘れてはならない1台だ。



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1995年1月に5代目モデルが登場したパルサーは、先代に存在していたラリーベース車GTI-Rのようなホッテストモデルはラインアップされていなかったが、1997年9月に実施したマイナーチェンジのタイミングで1.6リッターのNEO VVLを採用したSR16VE型エンジンを搭載した「VZ-R」を追加する。



さらに、同時にオーテックジャパン(当時)が手がける「VZ-R・N1」も200台限定で同時に設定されたのだが、これは車名のとおりスーパーN1耐久シリーズ参戦用のベース車となっており、そのエンジンパワーはシビックタイプRをも上まわる200馬力を発生していたのだった。



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日産パルサーセリエVZ-R・N1のリヤスタイリング



このN1用エンジンは、専用のシリンダーヘッドや吸排気に加え、クランクシャフトやフライホイールのバランス取り、ポート&燃焼室の研磨、吸排気マニホールドの研磨までするという本気仕様。



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日産パルサーセリエVZ-R・N1のエンジン



それに合わせてラジエターの放熱能力や電動ファンの容量をアップし、クラッチもケーブル式から油圧式に変更するなど、耐久レースを勝ち抜くために必要なチューニングがすでに施されていたのである。



足まわりを強化した「Version II」が登場するも第一印象は拭えず

ただこのモデルは一般ユーザー向けにも販売されていたものの、あくまでレースベース車という位置づけが強かったため、レギュレーションで変更が認められている足まわりやシート、ボディ補強などはベース車のままとなっており、工場出荷状態での総合的な戦闘力はシビックタイプRのほうが優れていた。



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日産パルサーセリエVZ-R・N1のインテリア



そのため、当時の新車メディアなどでのサーキット対決企画などではタイプRが勝利するケースが多かったのである。



そこでメーカーも1998年10月に「VZ-R・N1 Version II」を300台限定でリリース。



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日産パルサーセリエVZ-R・N1 Version IIのフロントスタイリング



このモデルは、専用のサスペンションやストラットタワーバー、205/50VR15サイズのタイヤやフジツボ製の専用メインマフラーを装着し、室内ではMOMO製のステアリングホイールやR33スカイラインGT-Rと同形状のモノフォルムバケットシートを採用するなど、素の状態でも特別感が味わえるモデルに進化していたのだ(それとは別に装備を簡素化したモータースポーツベース車も継続設定)。



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日産パルサーセリエVZ-R・N1 Version IIのインテリア



ただ登場時のイメージが影響したのか、現在においてもシビックタイプRの影に隠れる存在となってしまったのは残念だが、そのポテンシャルは言うまでもなくいまでも一級品なのである。

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