この記事をまとめると
■クラウンスポーツのプロトモデルに試乗■クラウンスポーツは今秋発売予定
■今回は先に販売されているクラウンクロスオーバーとの違いを比較
クラウンスポーツはクラウンクロスオーバーとどう違うのか
昨年7月にクラウンがワールドプレミアした際、「クロスオーバー」、「スポーツ」、「エステート」、そして「セダン」という4つのタイプが発表された。今回はそのなかでもすでに発売済みの「クロスオーバー」と、あと少しで登場する「スポーツ」の2台を比較してみることにする。とはいえ、「スポーツ」の試乗はプロトタイプでクローズドコースを数周したのみ。
2台のサイズをまずは比較してみると、「スポーツ」の「全長×全幅×全高」は4710×1880×1560mmでホイールベースは2770mm。「クロスオーバー」は4930×1840×1540mmでホイールベースは2850mm。つまり、「スポーツ」は長さ方向に凝縮されると同時に、幅にボリュームを持たせ、高さを引き上げたことになる。これが同じシリーズなのかと首を傾げたくなるほどの違いがあるのだ。

チーフデザイナーの宮崎満則氏は「つくりたかったのはカッコ良くて美しいSUV、これに尽きると思います。街なかでこのクルマを見られたときに2度見してしまうような存在感、強さを表現したいと考えています。この手のクルマにありがちな武骨さを持たせず、サイドビューは凝縮感と伸びやかさを持たせていることは特徴的。また、それぞれの断面がひとつとして同じところがない形状としています。トヨタで言うとスープラやセリカのようなスポーティさをこのクルマでは体現しております。もっとも売りとなるのはリヤの張り出しやタイヤの存在感を強調した部分です」と語っている。

だが、違いはもちろんカッコだけじゃない。
まず足もとだが、「クロスオーバー」より「スポーツ」のほうがタイヤを大きくしていることが印象的だ。「クロスオーバー」が225/45R21だったのに対し、「スポーツ」は235/45R21となり、これにより外径が20mmほどアップしている。足まわりについても20mmのリフトアップを行っており、車高は全体で40mmほど上げられているという。さらにホイールベースを80mmも短くしたり、後輪操舵のDRS(ダイナミック・リア・ステアリング)のセッティング見直しも行っている。

名前のとおりスポーツしている! けど”らしさ”は健在
そんな「スポーツ」を富士スピードウェイのショートコースで走らせる。大切な最終プロトタイプということで速度制限が設けられ、80km/h以下で走って欲しいとのこと。けれども、ここのコースでは80km/hものスピードで旋回できるようなコーナーはほとんどないだろうから、それでも十分に「クロスオーバー」との違いは理解できるだろう。

走り出してまず感じることは静粛性の高さだった。「今回はハイブリッドモードのみで試乗してください」とのことだったが、モーター領域が広がり、さらに滑らかさと静粛性が高められたことはPHEVの恩恵のひとつ。アクセルを深く踏み込めばエンジンが始動してしまうが、その際にもノイズが抑えられていたことが印象的だ。
そして、旋回性がかなり高いことも強烈に脳裏に焼き付いている。

思い返せば「クロスオーバー」も同様の感触があったことを思い出す。21インチタイヤを装着し、腰高になったクロスオーバーではあったが、その割にはキビキビさもしなやかさも担保していた。「スポーツ」に比べるとホイールベースも長く、ゆったりとした旋回特性に感じるが、これでもDRSの恩恵があり、コチラもまた旋回性高く仕立てられていた。歴代と比べるとかなり変化した「クロスオーバー」もまたクラウンらしい所作を忘れてはいなかった。

クラウンの担当主査である本間裕二氏は「おひとりおひとりに合ったクラウンをと4つのモデルを展開しますが、このスポーツは、上質でありながらも、俊敏でスポーティな走りを提供できるように開発を行ってきました。新たなカタチのスポーツSUVを提案したいと思っております」と語っていた。

間も無く登場すると予測される「クラウンスポーツPHEV」は、プロトタイプからどう進化して登場するのか? また、HEVの乗り味はどんな仕上がりなのかも興味深いポイントだ。秋から冬にかけて公道を走り始めるであろう姿がいまから楽しみだ。