この記事をまとめると
■国産車オーナーが乗り換えても違和感を感じなさそうな輸入車ブランドを考える■スバルとアウディ、日産とBMWはエンジニアのクルマへの姿勢が似ている!?
■プジョーとルノーは新しもの好きなホンダと共通している部分が多い!?
スバルとアウディに共通するクルマ作りの理念に共感するはず
日本車は「メンテなしで故障知らず」や「“痒いトコロに手が届く”使い勝手の良さ」で、日本国内はもちろん世界中で評価されています。その筆頭がトヨタで、2022年の世界の販売台数は1048万3024台と世界1位! 2位のフォルクスワーゲンが826万2800台、3位のヒョンデが684万1898台ですから、トヨタは圧倒的な差を付けております。アメリカの有名自動車専門誌の統計によると、世界で生産されているすべての自動車のうち、その3割を日本の自動車メーカーのクルマが占めているとか。
それほどに世界で大評価を受けている日本車ですが、一方で「イマイチ面白みに欠ける」とか「無難だけど没個性!」とか、ネガティブな声も聞こえます。長年日本車を愛し、その性能を信頼して乗り続けている方々のなかにも、「個性的でカッコいい輸入車に乗り換えようかな!?」と思っていらっしゃるんじゃないでしょうか。そして、「でもなぁ、急に輸入車に乗り換えたはいいけど、ちゃんと乗りこなせるかなぁ」と、心配している日本車オーナーも少なくないでしょう。
そこでWEB CARTOPが「国産車オーナーが違和感なく乗り換えられる輸入車ブランド」とその理由について解説しましょう。おっと、これはWEB CARTOP編集部の独断と偏見に満ちた意見なので、あくまでも「こういう見方もあるんだな」っていうくらいの感じで頭のなかに入れておき、クルマを買う際(選ぶ際)にふと思い出していただけたらと思います。ノークレームでお願いいたします。
さて、まずはスバルにお乗りの方にお薦めの輸入車ブランドをお教えしましょう。それはズバリ、アウディです。というのも、スバルもアウディも「後部座席の後ろにラゲッジスペースを配したクルマ」を“売り”にしているから! 後部座席の後ろにラゲッジスペースを設けたクルマとは、簡単に言えばステーションワゴンのことです。

「えっ? ワゴンなんてほかのメーカーも作っているじゃないか」って? いやいやいや、確かに日産もトヨタもBMWもメルセデス・ベンツもワゴンを製造・販売しておりますが、じつはアウディは自社の後部座席の後ろにラゲッジスペースを設けたクルマのことをワゴンとは呼んでいないのです。
というのも、アウディは「一般的にステーションワゴンと呼ばれるような荷物運搬用車両は取り扱わない」と謳い、それに類する形をした車種のことを「アバント」と名付けています。アウディはアバントにプレミアムセダンと同等の快適でラグジュアリーな居住空間を搭載し、またスポーツカー並みの動力性能も実現し、単に「ボディ後部に荷室拡大」しただけの荷物運搬用車両とはきっちりと区別したのです。

一方、スバルは1989年にレガシィツーリングワゴンを発売。車名にはワゴンという単語が入っていますが、セダンモデルと同等かそれ以上のインテリアとツインターボで武装したハイパフォーマンスを搭載し、当時の業務用バンとは一線を画したのです。

これってまさにアウディのクルマ作りの理念・発想と、まんま一緒でしょう!? そうそう、一緒と言えば両車は「4輪駆動システムが自慢」であることも共通してますね。
また、じつはスバルもアウディも会社に属している人たちのほとんどが、かなりの「理系」らしいのです。筆者がまだバリバリのクルマ業界人だった頃(平成ですな)、スバルの関係者から聞いた話なんですが……。東京モーターショーでスバルの展示ブースにアウディのスタッフが見学にきた際、みんな手に手にマイクロメーターやノギスを持ち、展示車両のパーツやディテールの数値を計測して帰っていった……とか。その話を聞いた筆者はそんなに驚きませんでしたっけ。だって、話してくれたスバルのスタッフも、精密測定器片手に各メーカーのブースをまわっていたんですから。
そういう理系ヲタクな両社ですから“先進”とか“技術”といった言葉が大好きで、それぞれのクルマには「水平対向エンジン」「V10エンジン」「シーケンシャルターボ」「quattro」など、自慢の高性能が満載。

また、寸法をきっちり合わせることは理系の“性(さが)”なんでしょうかね!? スバルとアウディのクルマを見ると、ボディのチリ(パネルとパネルのすき間)がどちらもギリギリまで狭く細く仕上がっているんです。これって、パネルの素材や設計、そして形成がよっぽどきちんとしてないと実現できませんから。
こうした先進の技術に裏付けされたパフォーマンスとか、正確無比&質実剛健な仕上がりとかは、まさにスバルとアウディの真骨頂と言えるんですが、じつはスバルに乗っているオーナーもこういうことが大好きなはず。
日産とBMWは走りで悩みホンダとプジョーとルノーは新しモノ好き
お次は日産にお乗りの方に、BMWをお薦めしましょう。両社に共通するのは、どちらも「良い走りとは何なのか?」とか「どうしたら気持ち良い走りが実現するのか?」とか、四六時中考えていること。
日産の人たちって、それこそ胃に潰瘍ができちゃうくらい考えに考え抜いて、良い走りの実現のために邁進しているとか。スカイラインなんて、そんな悩み……じゃなかった、努力の結晶と言えるでしょう。そもそもセダンの居住性も両立させなければいけないという時点で、スカイラインは良い走りの実現にハンディを背負ったようなもの。

デカくて重いボディ(とくにノーズヘビー!)のスカイラインを単に速く走らせるのならまだ容易なんですが、日産の人たちは「速いだけじゃなく、気持ち良い走り」を追求しているのですから、それはそれは骨の折れる仕事です。
筆者がスカイライン400Rを取材したとき、テストドライバーの方が「1日中、気持ち良い走りのことを考えてます。それこそ寝てるときも夢に出てきます(笑)」と笑ってましたっけ。その方が悩んでいたのは、「思いっきりカッ飛んでいるときだけじゃなく、それこそコンビニまでスカイラインで出かけるときも気持ち良さをお客さまに感じていただくには、どうしたら良いんだろう?」だそうです。
そんな日産の走りへの思いと共通するのが、BMWの理念「駆け抜ける歓び」でしょうか。なにしろBMWも単に「速く走る」だけではなく、日産と同じく「歓び」を追求していますから。
なので、スカイラインを乗っていた方は、BMWの5シリーズ……それも「M」モデルならすんなりと乗り換えられるんじゃないかと思います。

そして、ホンダ車オーナーの方は、フランスのプジョーかルノーに乗り換えてもいいんじゃないかと思います。というのも、この3メーカーには(オーナーには?)“新しモノ好き”というスタンスが共通している気がします。
たとえばホンダは、1999年に2シーターのハイブリッドカー「インサイト」を発売。2年前に登場したプリウスに対抗するべく35.0km/Lという世界一の低燃費を実現したんですが、エコカーとスポーツカーを両立させたパッケージングはあまりに斬新過ぎて、世の中には受け入れられませんでした。

また、トールボーイスタイルの元祖ともいうべき初代シティのターボII、通称"ブルドッグ"も、そのスタイリングが新し過ぎて売れ行きはパッとせず……。

そんな失敗作を見ると思い出すのが、プジョー1007です。
プジョー1007はコンパクトカーに自動スライドドアを搭載した画期的なクルマだったのですが、いまでこそスライドタイプのドアの小型車は一般的になりましたが、デビューした2006年当時はかなり斬新でした。

また、“斬新過ぎる”というのであれば、ルノーもそうかもしれません。なにしろ過去にはミニバンのようなボディをしながら、じつはBピラーを持たない2ドアクーペ「アヴァンタイム」という、あとにも先にもこんな奇抜なのは見たことないクルマを発売しているのです。

2001年の試乗会でちょい乗りして感動し、思わず衝動買いしようかと思った筆者でしたが、その斬新さが一般には受け入れられず、このクルマも短命に終わったのでした。
かように、新しモノ好きな3メーカーですし、そのクルマに乗っているオーナーはきっと新しモノ好きのはずですから、乗り換えるのに違和感はないと思いますよ。
そのほか、もともとは大衆車に力を入れていたのにいつしかプレミアムカーを売りにするメーカーになった……という点で、トヨタとフォルクスワーゲンが似通っているかもしれません。皆さんもドライブに出かけたときに、「この国産車メーカーとあの輸入車ブランドって、ちょっと似ているんじゃないの!?」と共通点を探してみてください。なんであれば、各メーカーのクルマ作りの理念や、そのクルマの生い立ちやパッケージングを調べてみても楽しいですよ。