この記事をまとめると
■現代のクルマにはさまざまなところに多数のセンサーが取り付けられている



■センサーはそれ単体、あるいは他のセンシング情報と複合して各部機能が最適な状態になるように使われる



■人間同様にクルマも「情報収集」が重要な役割を果たしている



センサーはクルマの基本運動3要素に深く関わっている

自動車の性能進化を5年、10年の単位で眺めてみると、凄まじいほどの性能進化を遂げていることに気付く。とくに現代の車両は、高出力を発揮しながら環境性能(燃費性能、二酸化炭素排出量)も高いレベルで実現していることに驚かされてしまう。



もちろん、動力のハイブリッド化などという側面もあるが、基本となる車両各部の制御を繊細緻密に行うことができるようになった、技術面での進化を見逃すことはできない。

いいかえれば、電子制御技術の進化ということだが、こうした制御は、すべて自動車の基本運動3要素である「走る、曲がる、止まる」に関わってくるものだ。



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この電子制御システムを構築する(実用化する)うえで、ひとつのポイントとなるデバイスが「センサー」である。センサー、すなわち検出器、検出装置のことで、ある特定事象の状態(動的/静的)を検知、計測し、それを電気信号に置き換えて演算装置(正確には制御機構も含む=CPU、中央演算処理装置)に送る働きをする。現状での制御は、ほとんどが電子制御方式で、センサーから送られる信号は、微少電流による信号電流だ。



さて、センサーを使って制御される自動車各部だが、ユニットごとに分けていくと、やはりもっとも多く使われている箇所がエンジンである。実際に、どんなセンサーが使われているのか個別に挙げてみたいが、じつをいうと、現在はあまりに多くのセンサーが用いられ、また日々システムの進化が進んでいるため、ひょっとしたら見落としがあるかもしれない。この点はご容赦願いたい。



現代の自動車に求められる高性能(動力性能、運動性能、環境性能など)を確立するうえで、各部の状態を検出するセンサーは、それら単体、あるいはほかのセンシング情報と複合するかたちで、自動車各部の機能が最適な状態になるように使われている。



情報収集なくしていまのクルマは走れない! じっくり見るとセンサーだらけだった
トヨタ・プリウスPHEV(5代目)のエンジンルーム



現状、エンジンで使われている各種センサーは、吸気温、吸気圧、燃料温、燃料圧、カム角、EGRガス温、排気温、空燃比、酸素(O2)、車速、クランク角、ノッキング、エアフローメーター、スロットル開度など、思いつくだけでも10数種類のセンサーが用いられている。



最近は自動運転のための情報収集用センサーが話題

最近、注目度の高い自動運転装置についていえば、カメラ、3D-LIDAR(3Dライダー)、ミリ波レーダー、超音波センサー、GPSセンサー、加速度/ジャイロセンサーが走行情報を収集するセンサーとして、これに自動ブレーキシステム(ABSシステム)、さらには車両挙動制御システム、自動舵角システム、自動スロットルバルブ開閉システム(クルーズコントロール)などを組み合わせてシステムを構築している。



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高速道路上で自動運転支援技術を作動させている写真



細かな点にまで目をやれば、ATとエンジンの協調制御を行う際、よりきめ細やか(精緻、微細、連続的)な制御を行うため、非接触方式によるトランスミッションの入力軸(=エンジン出力軸)トルクを検出する磁歪式トルクセンサーといったものまで開発されている。



ATのセンシング機構といえば、入/出力軸の速度を測るセンサーが一般的に知られているが、軸トルクの変動を検知して効率的な変速作業につなげようという狙いを持った新たなセンサーが考え出されているのだ。



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トルクコンバーター式ATのカットモデル



では、1台の車両に使われているセンサーの数だが、当然ながら車両の種類、性格によって異なり、よりハイレベルな性能(=制御)を意図したモデルのほうが多くなる。ざっと見積もったところで、30~35箇所ぐらいとなるだろうか。



内燃機関を使う現状の自動車では、物理的な動きを電気信号に置き換える専用のセンサーを必要としているが、機関が電気信号のみで作動するEVの場合、センサーの種類や数が異なってくるのは当然だ。



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日産サクラの走行写真



人間の日常生活もまったく同じだが、生活していくため、生きていくための「情報収集」が重要な役割を果たしていることは、自動車の場合もまったく同じである。

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