この記事をまとめると
■1983年にスズキ・セルボをピックアップ化した「マイティボーイ」が発売された■テレビCMの影響もあって「スズキのマー坊」という愛称で親しまれていた
■セルボがモデルチェンジした1987年に終売となったがその後継モデルは存在していない
「スズキのマー坊と呼んでくれ」のCMが忘れられない
軽トラックといえば、ビジネスの相棒として使われることが一般的だが、近年ではその維持費の安さや使い勝手のよさ、そしてアフターパーツの豊富さもあって、一般ユーザーが趣味のために購入するケースも増えている。
そんな軽トラックだが、いまから40年も前に、一般ユーザーをターゲットとしたモデルが販売されていた。それが1983年に登場したマイティボーイである。
このマイティボーイは一般的な軽トラックのようなキャブオーバータイプではなく、しっかりとしたボンネットを備えるピックアップトラックのスタイルとなっていた。
じつはこのマイティボーイ、前年に登場した軽スペシャリティクーペモデルのセルボをベースにBピラーより後方を荷台としたものであり、実用的な軽トラックというよりは、遊び心あふれるモデルというキャラクターだったのだ。
そんなマイティボーイは若者がターゲットとなっていたため、価格を抑えるためにインテリアはプラットフォームを共有する初代アルトのダッシュボードやシートが流用され、ヘッドライトも丸型のシールドビームを採用するなどしたことで、45万円からという低価格を実現。

※ウッドのステアリングはノンオリジナル
スズキ自身もCMのなかで「金は無いけどマイティボーイ」というフレーズを用いた曲を使用するなど、低価格であることをアピールしていたほか、「スズキのマー坊とでも呼んでくれ」というキャッチフレーズも用いていたため、『マー坊』という愛称が浸透しているのもCM発だった。
セルボの終売と同時にマー坊も消えた
パワートレインはセルボと同じく550ccの排気量を持つ4ストロークエンジンのF5A型が搭載され、セルボにはのちにターボモデルが追加されたが、マイティボーイにはNAエンジンのみが採用され続けた。

ただ、1985年2月のマイナーチェンジではヘッドライトが角型に改められたほか、上級グレードには12インチのタイヤホイールにフロントディスクブレーキが採用され、MTは4速から5速に。さらに内装もセルボと同じものになるなど、大幅にアップグレードがなされている。

結局、マイティボーイはベースとなったセルボがフルモデルチェンジを果たす1987年末で終売となり、後継車種も存在していないが、いま同様のコンセプトのモデルが存在していたら面白いことになるかもしれない。
このように遊び心溢れるマイティボーイだったが、じつは1983年の東京モーターショーに「マイティボーイ1000 4WD」と名付けられたモデルが参考出品されていた。

このモデルは1リッターエンジンを搭載したジムニー1000のシャシーをベースにマイティボーイのホイールベースに合わせてフレームを延長し、その上にマイティボーイのボディを被せたもので、メーカー自ら飛び道具的な車両を展示するのも驚きだが、マイティボーイがもっと売れていたらもしかしたら市販化されていたのかも?