この記事をまとめると
■ひと昔前まではラリードライバーは夜な夜な峠をアタックして運転技術を磨いていた



■ラリードライバーでも公道を使用した練習は走行できないが、ミニサーキットやダートコースでも技術の習得は可能だ



■選手権とは別の地方ラリーに参戦することでマシンのセットアップを行うこともある



ラリードライバーはどこで練習する?

封鎖した公道や私道でタイムアタックを展開。ラリー競技の舞台、スペシャルステージは、まさに人気漫画、「頭文字(イニシャル)D」を彷彿とさせるシチュエーションだが、ラリー競技で活躍するドライバーたちは、どのような練習を行っているのか?



ひと昔前までは、夜な夜な峠でアタック……といったことが当たり前に行われており、実際に2005年および2007年のPWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)のチャンピオン、新井敏弘も「週4回は峠に走りに行っていた。お金がなかったから、タイヤは中古で履き潰れるまで練習していた」と若かりし日々を懐古している。



大昔は「夜の峠」で走り込み……じゃあイマドキのラリードライバ...の画像はこちら >>



そのほか、勝田範彦、奴田原文雄など、全日本ラリー選手権の最高峰クラスでタイトルを獲得してきたチャンピオンたちも、新井と同様にルーキー時代は夜の峠でテクニックを磨いてきた。



とはいえ、現在のJN1クラス車両はナンバーがないほか、新井はスバル、勝田はトヨタGAZOOレーシング、奴田原はヨコハマの契約ドライバーであることから、コンプライアンス的に峠でのテストはNGで、近年はマシンのテストにおいてもターマックならミニサーキット、グラベルならダートコースといったようにガレージ近郊のコースを使用している。



大昔は「夜の峠」で走り込み……じゃあイマドキのラリードライバーは「どこ」で練習してる?
練習走行をしている写真



シュコダ・ファビアR5を武器に2022年および2023年のJN1クラスで2連覇を果たしたヘイッキ・コバライネンも、シーズンオフの国内テストはミニサーキットで行っているようだ。



意外と身近なところでラリーへ向けたトレーニングは可能!

このようにラリードライバーでも、普段から公道&私道を使用したSSは走行できないが、ミニサーキットやダートコースでも十分にマシンのコントロール技術は習得可能である。



さらに、ワイディングだけでなく市街地を法定速度で走りながらでも、ペースノートの作成は行えるし、過去のインカービデオのペースノートを聴きながら、自宅でイメージトレーニングを行うこともスキルアップに効果的だ。



大昔は「夜の峠」で走り込み……じゃあイマドキのラリードライバーは「どこ」で練習してる?
コ・ドライバーが使用する「ペースノート」



そのほか、奴田原が主宰するヌタハラ・ラリースクールに参加することも効果的なトレーニングのひとつで、座学だけでなく、車両を使用した実習も充実していることから、マシンのコントロール技術を習得可能。



しかも、データロガーを活用していることから理論的にテクニックを身につけられるうえ、コ・ドライバーとともに参加すれば、ペースノートのブラッシュアップもできる。



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奴田原文雄選手が主催する「ヌタハラ・ラリースクール」



ちなみに、ヌタハラ・ラリースクールの実習は、パイロンコースのほか全日本ラリー選手権でも使用されているSSを占有したり、陸別オフロードサーキットを貸し切ったりと充実しているだけに、より実戦的なトレーニングが行えることだろう。



もちろん、ラリー競技においてもっとも効果的なトレーニングが実戦に参加することで、入門者向けの競技にエントリーすることも上達の近道といえる。事実、全日本ラリー選手権に参戦しているドライバーが、シーズンオフやインターバルに地方ラリー選手権に参戦することも多く、彼らは実戦のなかでマシンのセットアップを行い、ペースノートの精度やリーディングを確認している。



大昔は「夜の峠」で走り込み……じゃあイマドキのラリードライバーは「どこ」で練習してる?
ラリー大会に出場する奴田原文雄選手の走り



このようにラリードライバーの練習方法も時代に合わせて変化しており、現在は常設コースを活用しながらテストを実施しているのである。

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