この記事をまとめると
■2023年に発売された新型車のなかから注目度の高かったモデルの○と×をお届け■軽自動車は人気の軽スーパーハイトワゴン3台が新型車に変わった
■乗用車ではプリウスとアルファードというトヨタを代表するクルマがモデルチェンジを実施した
人気モデルが立て続けにモデルチェンジした軽自動車
2023年も多くの新型車が登場した。そこでここでは、2023年にフルモデルチェンジ、マイナーチェンジをした新型車のなかから、注目度の高かったモデルをピックアップし、それぞれの○と×をお届けする。
■軽自動車
ホンダN-BOX(10月登場)
2023年は軽自動車の当たり年だった。人気の高いスーパーハイトワゴンのN-BOX、スペーシア、厳密には大幅改良になるがデリカミニも登場した。
○:先代型と共通のエンジンやプラットフォームを使って走りを熟成させ、ステアリング操作に対する車両の反応、乗り心地、実用回転域の駆動力とアクセル操作に対する反応、視界などを向上させた。
×:先代型に比べると、インパネ周辺の質感が低下した。グローブボックスの容量は2倍に増えたが、収納設備の数は減った。助手席のロングスライド機能、標準ボディのターボも廃止された。

スズキ・スペーシア(11月登場)
N-BOXのライバル車になるスーパーハイトワゴンで、タントも含めて競争の激しいカテゴリーだから、渾身の開発を行っている。

○:まずWLTCモード燃費を大幅に向上させた。全車がマイルドハイブリッドを搭載して、価格がもっとも安い標準ボディのハイブリッドGは、全高が1700mmを上まわる軽自動車では最良の25.1km/Lであった。売れ筋グレードは23.9km/Lで、先代型から新型に乗り替えると、ガソリン代を10%以上節約できる。ターボでも21.9km/Lだから、N-BOXで最良になるノーマルエンジンの21.6km/Lよりも優れている。
また、売れ筋グレードの後席には、マルチユースフラップを装着した。ミニバンのオットマンに似た装備で、ふくらはぎを支える。

×:マルチユースフラップの装着で、後席の座面は前端部分が硬い。座り心地に違和感が生じた。乗り心地も硬めだ。ノーマルエンジンは実用回転域の駆動力が足りない。ターボはカスタムのみの設定で、標準ボディでは選べない。SUV風のスペーシアギアは、2024年に追加されるから、現時点では購入できない。商用車になるスペーシアベースは、従来型を継続生産している。
三菱デリカミニ(4月登場)
eKクロススペースのマイナーチェンジ版だ。eKクロススペースは「顔が怖い」という市場からの批判もあり、売れ行きが伸び悩んだ。そこで馴染みやすい表情に変えて、車名にも認知度の高い「デリカ」を採用した。

○:マイナーチェンジとしてはデザインのバランスが良い。
×:ノーマルエンジンは少しパワー不足。そこでターボを装着して走破力や乗り心地に優れたTプレミアム4WDを選ぶと、価格が223万8500円に達する。

トヨタを代表する2台に待ちに待った新型登場
■ミドルサイズハッチバック
プリウス(1月)
ハイブリッド専用車のプリウスがフルモデルチェンジを実施した。先代型の売れ行きは最盛期の10分の1まで落ち込み、クルマ作りの大幅な刷新を行った。

○:いまでは売れ筋のトヨタ車にはハイブリッドが設定され、プリウスは存在感を弱めていた。そこで新型は燃費ではなく「ハイブリッドの付加価値」に焦点を当てた。モーター駆動の滑らかでパワフルな走りを際立たせるため、エンジンを2リッターに拡大して動力性能も高めた。伝統のハッチバックスタイルは、天井を低く抑えてた5ドアクーペに仕上げることで、デザイン面の特徴を一層強めている。
×:天井を低く、ピラー(柱)を寝かせたことで、乗降性が前後席ともに悪い。後席は着座位置が低めで窮屈だ。価格は大半のグレードが300万円を超える。

■ミニバン
アルファード&ヴェルファイア(6月登場)
Lサイズミニバンの代表とされるアルファード&ヴェルファイアがフルモデルチェンジを行った。

○:内装は豪華で、乗り心地も向上させた。3列目のシートは、足を前方へ投げ出す着座姿勢と、サポート性の不満も解消している。

×:周囲の車両を蹴散らすようなデザインのフロントマスクは、いまの殺伐とした時代には似合わない。ドライバーの高い視線とワイドなボディにより、遠方は見やすいが左側の死角は大きい。床を下げなかったため、前輪駆動のミニバンとしては乗降性が悪い。ノイズは全般的に小さいが、ハイブリッドのエンジン音は粗い印象で耳障りだ。足まわりが乗り心地を重視するアルファードに、19インチタイヤをオプション装着すると走りのバランスが下がる。また、アルファードの17インチ装着車は、乗り心地が快適な代わりに曲がる性能は低く、4WDを組み合わせたい。
なお2023年12月時点では、受注が停止している。定額制カーリースのKINTOなら受け付けているが、使用期間が終了すれば車両を返却せねばならず、ユーザーの買い取りはできない。