この記事をまとめると
■車両代金を支払ったのに車が納車されないというトラブルが報じられることがよくある



■無用なトラブルに巻き込まれないようにと段階的に車両代金を支払うようになった



■セールススタッフが尋常ではないノリで全額支払いを要求してきたらまずは何かあると疑うべきだ



全額支払いを急いてくる販売店は疑ったほうがいい

ときおり「新車を発注して車両代金を全額支払ったのに納車されない」というトラブルが報じられる。メーカー系正規ディーラーではほぼ発生しないトラブルであるが、メーカー系正規ディーラーから新車を仕入れて販売する業者からの新車購入では、警戒しなければならないトラブルともいえよう。



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このようなトラブルが起きる過程では、残念ながら業者はすでに車両代金の持ち逃げ前提で動いているので、車両代金全額の払い込みを積極的に要求してくるはずである。



新車販売の世界では、現金一括払いで注文書を交わした段階で車両購入申込金ともされる、車両代金の一部を支払うのが一般的。とはいっても、数十万円単位の現金を普段から持ち歩いている人はそういないだろう。そのため、数万円ほどを注文書を交わしたときに払って欲しいとセールススタッフはいってくる。そしてその後、納車までに販売諸経費分ぐらいが相場だが、さらに支払い総額の一部を支払い、納車時に残金を払うというのがスタンダードな流れとされてきた。



もちろん、いまどきは現金を直接やりとりすることはまずなく、最初の数万円程度の申込金は別としても、ディーラー指定口座へ振り込むのが一般的となっている。また、現金一括払いでは納車までに全額払い込むのが大原則であり、最悪は全額払い込みが確認できないと車両引き渡しを拒まれることもあるようだ。



お金を払ったのに納車されない……なんてウソみたいな事件も起こりうる! 全額支払いを急がされたら要注意
車両の納車のイメージ



段階的に払うことがスタンダードとされた背景には、昭和のころにはメーカー系正規ディーラーといえども、けっして“お行儀”がよくなかったことがある。いまもまったくなくなったわけではないが、セールススタッフによる車両代金の持ち逃げなどの不正行為は多く、そのようなトラブルに巻き込まれないためにも、段階的に車両代金を払っていたといっていいだろう。



いまどきは現金での直接取引はディーラー側も歓迎しない

もちろん、注文書を交わしたときに全額払い込んでも構わないし、どのように支払っていくかはあくまで個人の自由だが、納車されてから「あとから入金します」は通らないのが大原則なのは変わらない。契約時に全額現金にて払うなど、あまりにも金払いがいいと、いまどきは資金洗浄を疑われる可能性もあるともいえるだろう。



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新車販売店での契約書の作成



そのため、輸入車などでは現金での支払いを受け付けないところもあると聞いている。口座振り込みなどの記録が残る形での入金にして、資金洗浄を防ぐなど反社会的勢力との直接取り引きを予防しようとしているようである。

残価設定ローンの普及が進んできた背景でも、ファイナンス会社での審査により、購入者のチェックができるという部分もあるのかもしれない。



商談が店頭での短期決戦(1回だけなど)となっている。昔のように何回も、しかもお客の自宅を訪問して商談していた時代では、セールススタッフ個々がお客の生活実態などを把握できたが、いまではそれはできないのでセールススタッフもいろいろと警戒しながら商談しているのも現状といえるだろう(世の中にはそれだけ悪い人が増えているのだ)。



セールススタッフや店側が「お金を、お金を(払ってくれ)」と尋常ではないノリで要求してきたら、まずは何かあると疑うことをおすすめする。

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