この記事をまとめると
■2024年1月単月の新車販売台数統計では前年より数字を落とすもN-BOXがトップだった



スズキはダイハツの出荷停止などの影響から売り上げを伸ばした



■登録車でも数モデルで気になる順位変動が見られた



相変わらずのN-BOXのヒットっぷり。しかし数字は……

2024年1月単月の新車販売台数統計は、ダイハツの一連の不正問題による出荷停止の影響が本格的に出始めるタイミングとなる。

そのなかで自販連(日本自動車販売協会連合会)と全軽自協(全国軽自動車協会連合会)が公表した、2024年1月単月の車名(通称名)別新車販売ランキングを合算(含軽統計)してみると、やはりその影響が大きかったのが明らかとなった。



含軽ランキングでトップとなったのはホンダN-BOX。2023暦年締め年間新車販売台数第1位、つまり2023暦年でもっとも売れた新車の勢いを、そのまま年が明けてもそのまま維持しているようにも見えるが、前年同期比で88.1%と少々奮わないように見える。



現行ホンダN-BOXは2023年10月に正式発売となっている。気になる納期は遅れているどころか短納期傾向となっており、販売に影響を与えていない。ダイハツ車が出荷停止となり、思うように販売促進活動ができないなか、ダイハツ車を検討しているお客を取り込んで販売台数の上積みを狙うチャンスなのだが、十分にそのチャンスを活かしきれていないように見える。



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一方で、ダイハツ車を検討しているお客の取り込みに成功しているのがスズキといえるだろう。スズキの売れ筋軽自動車の前年同期比をみると、スペーシアで111.1%、ハスラーで114.4%となっている。1月上旬の初売りセールのタイミングでスズキディーラーを訪れると、「ダイハツさんは初売りを自粛していますから、ダイハツさんを検討されているお客さまを取り込むことも含め、前年比30%増しの集客を目標としています」とスタッフは意気込みを語ってくれた。



ダイハツの不正があったのにN-BOXの数字が伸びていない! 1月の新車販売台数を分析して見えた意外な事実
スズキ・スペーシア(3代目)



ホンダも初売りや、年度末決算セールを熱心に行っているし、N-BOXは大事な稼ぎ頭なので、何もダイハツ対策を講じていないとは思えないのだが……。



この動きを見ると、やはりダイハツ、スズキといった軽自動車をメインに扱うメーカーと、ホンダや日産など登録車の販売比重もそれなりにあるなか軽自動車をラインアップするメーカーの間でのそれぞれ「かぶらない軽自動車ユーザー」の存在を感じてしまう。



いまどきは軽自動車を「オンリーワン」として所有する人は少なくない。

若者や女性だけではなく、年金生活に入っている層など幅広く軽自動車1台ですべてを賄っているユーザーは多い。



ダイハツの不正があったのにN-BOXの数字が伸びていない! 1月の新車販売台数を分析して見えた意外な事実
3台の軽自動車の走行写真



ダイハツからのOEM車は一気に順位が下落

しかし、登録車からダウンサイズして軽自動車に乗り換えるといったユーザー層のなかでは、登録車も広く販売しているからとしてホンダや日産の軽自動車を選ぶ人も目立つ。また、ホンダや日産の登録車に乗っているユーザーのセカンドカーとしての需要も目立つ。



トヨタディーラーが軽自動車のピクシスシリーズや一部ダイハツブランドの軽自動車の委託販売を行っているのも、トヨタ車ユーザーがセカンドカーとしてトヨタとの関係の薄いブランドへ安易に流れないようにするという目的があると聞いたことがある。



ダイハツの不正があったのにN-BOXの数字が伸びていない! 1月の新車販売台数を分析して見えた意外な事実
トヨタ・ピクシスJOY



ダイハツが混乱しているなか、ダイハツ車購入検討客をスズキは見事に取り込んでいるように統計数字から見ることができた。



登録車では含軽統計2位にトヨタ・カローラが入っている。

登録車販売トップ常連のヤリスはわずか400台ほどの差で登録車2位となっている。ヤリスシリーズは2024年1月17日に改良を行っているので、改良の端境期というものも影響しているほか、能登半島地震の影響ともされている。それもあってか、改良後モデルの生産が一時停止となったとも聞いているので、この情報が確かで生産停止がなければ、2024年1月も登録車販売トップとなっていたかもしれない。



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トヨタ・ヤリス(一部改良モデル)



日産ノートが含軽統計7位、登録車のみで5位に入っている。ノートは2023年12月にマイナーチェンジを実施し、発表当時1月下旬に発売するとしているので、2024年1月の販売台数のほとんどはマイナーチェンジ前のモデルが結構含まれていると見ていいかもしれない。事実筆者も1月上旬に日産ディーラーを訪れると、「マイナーチェンジ前モデルも若干残っています」といった案内を受けた。



ダイハツの不正があったのにN-BOXの数字が伸びていない! 1月の新車販売台数を分析して見えた意外な事実
日産ノートe-POWER(3代目のマイナーチェンジモデル)



一方で、トヨタ・ルーミーが登録車のみで21位まで大きくランキングを下げている。トヨタ車のなかでは「ドル箱」の1台だが、ダイハツからのOEM(相手先ブランド供給)車なので出荷停止となってしまい、ここまでランキングを落としてしまっている。



ダイハツの不正があったのにN-BOXの数字が伸びていない! 1月の新車販売台数を分析して見えた意外な事実
トヨタ・ルーミーカスタム



軽自動車を中心にダイハツ不正問題の影響がランキングにも色濃く出てきた。今後は出荷停止となっているダイハツ車の出荷再開が順次行われるだろうが、ブランドイメージの悪化などもあり、出荷停止前の状況にすぐ戻すことは難しいものと考えている。