この記事をまとめると
■次に大雪が降ったときのためにあらためてタイヤチェーンの正しい装着方法をおさらい■タイヤチェーンは駆動輪に装着するが、4WDは前輪指定と後輪指定があるので要確認
■金属チェーン以外にも非金属チェーンや布製チェーンもありそれぞれメリット・デメリットがある
チェーンは駆動輪に装着するのが基本
2024年2月5日、関東地方の広範囲で大雪が降った日、ニュース番組を見ていると、箱根の山のなかでアコードの後輪に布チェーンを装着してスタックしているカップルの姿が映っていた……。いうまでもなく、アコードはFF車でチェーンは後輪に装着しても無意味なのだが、彼らのように正しいタイヤチェーンの装着方法を知らない人はけっこう多い!
そこで次の大雪に備えて、もっともオーソドックスな、ラダータイプの金属チェーンの装着方法を復習しておこう。
チェーンの着脱は、PAやSA、駐車場など、平地で交通量の少ない安全な場所で行なうのが大前提。
被せたら、タイヤの裏側のフックから留める。

続いて、表側のフックもロック。チェーンが固くてフックが届かないときもあるが、そうしたときはチェーン全体を揺すってゆらしてゆるめてやれば届くようになるはず。
最後にチェーンの内側(ホイール前)にゴムバンドを均等に張れば終了。ゴムバンドのフックも、タイヤ側ではなく、外側に向くようにして引っかけること。

そして、チェーン装着で肝心なことは、必ず駆動輪に装着すること! 先述の箱根のアコードが悪い例だが、笑いごとではない。思い込みや先入観での間違いを防ぐために、必ず取扱説明書を開いて、チェーンの装着位置を確認する手間を惜しまないようにしよう。
とくに4WDは車種によって前輪指定、後輪指定の2とおりあるので要注意。スバル車を例にすると、BRZやサンバーなどは後輪指定だが、レヴォーグなどそのほかの車種は、FF、AWDともに前輪指定。

反対にスズキのジムニーなどは後輪指定で前輪への装着はNG。
ちなみにフロントタイヤにチェーンを装着するとき、ハンドルをフルロックさせておくと作業がしやすくなるので覚えておこう(例:右タイヤに巻くときは、ハンドルを右に最大限切る。左タイヤに巻くときは左方向へ最大限切る)。
金属・非金属・布それぞれにメリットとデメリットがある
そのほか、非金属チェーンや、装着の容易さをウリにしているチェーンも多数出まわっているが、製品によって装着方法が異なるので、これらは購入した製品の取扱説明書、付属のDVD、動画などを、雪が降る前に何度か見直し、熟知し、実際に着脱の練習をしておくことが大切。
また、JAFの会員であればロードサービスを呼んで、タイヤチェーンを無料で装着してもらうことも可能。雪が降る直前、直後に依頼しても長時間待たされることになるので、もっと余裕があるときにJAFに依頼し、一度チェーンの取り付けを目の前でやってもらうと、要領が掴めていいかもしれない(チェーンは依頼者が用意する)。

最後にチェーンの選び方についても触れておこう。市販されているタイヤチェーンには、大別して次のようなタイプがある。
金属チェーン
文字どおり、金属の鎖で出来たザ・チェーン。ベーシックなラダータイプは、安価で凍結路に強いのがメリット。その代わり、走行時の振動が大きく、脱着の作業性はイマイチ。

その発展型として、亀甲型があり、こちらはチェーンのリングが小さく、乗り心地もラダータイプよりマシ。ラダータイプは縦方向のグリップは十分だが、横方向のグリップは得意としないが、亀甲型は縦方向、横方向ともにグリップを発揮。装着方法も工夫され、イージーなタイプもある。
非金属チェーン
ゴムやウレタンなど金属素材以外を使ったチェーン。軽量で装着性に優れ、グリップも良好。素材が柔らかいので、振動や騒音が少なく乗り心地がいいのもメリット。

デメリットは、価格が高いことと収納時にスペースをとること(金属チェーンのようには、細かく折りたためない)。
布製チェーン
スノーソックスとも呼ばれ、タイヤにすっぽり被せて使うタイプ。装着作業性はダントツでいいが、基本的には緊急時の脱出用といった位置づけで長距離走行には不向き。耐久性も期待できない。

選ぶときは、まずタイヤサイズを確認し、装着できるサイズからセレクト。あとは少々高価でも、装着しやすいチェーンがおすすめだ(布製チェーンを除く)。