この記事をまとめると
■2023年12月に5代目スズキ・スイフトが正式発売された



■新開発3気筒エンジンCVTを組み合わせる新型スイフトには軽快感を強く感じる



■インド市場で販売されているスイフトベースのセダン「ディザイア」の新型に期待が膨らむ



軽快感が高まった5代目スイフト

2023年12月に通算5代目となる、新型スズキ・スイフトが正式発売された。スイフトは2代目よりグローバル戦略モデルとして大きくキャラクターを変えている。



インドじゃ超過酷な使われ方をするスイフトセダンの「ディザイア...の画像はこちら >>



2代目以降は比較的オーソドックスなコンパクトハッチバックスタイルとなっていたのだが、新型ではかなり意欲的なフロントフェイスを採用するなど、個性を強調したスタイルを採用している。



先代のNA(自然吸気)エンジンは4気筒だったのだが、今回は新開発3気筒エンジンを搭載、CVTも軽量化された新開発タイプが組み合わされた。試乗してみると乗り出した瞬間から「軽いなぁ」とすぐわかるほど、その軽快なイメージを強く感じることができた。



インドじゃ超過酷な使われ方をするスイフトセダンの「ディザイア」! だからこそ日本で発売された新型スイフトも耐久力には期待大!!
スズキ・スイフト(5代目)のエンジンルーム



欧州車ではスイフトの格上となるVW(フォルクスワーゲン)ゴルフクラスでも3気筒エンジン搭載は珍しくない。車体軽量化も影響しているようだが、日本でもトヨタ・カローラセダンやツーリングのガソリンエンジン車は1.5リッター3気筒エンジンを搭載している。調べてみると、FF車は全グレード車両重量が1トン以下となり、軽自動車のホンダN-BOXと同レベルとなっていた。



しかも1.2リッターの3気筒で元気のよいエンジンと聞くと、坂道を上るときなどアクセルを踏み込むシチュエーションでは結構エンジンが頑張ってしまうのでエンジン音が気になってしまうのだが、そもそもそこまでアクセルを踏み込む必要はないし、静粛性も高まっているのでとくに気にならずにスムースに坂道を登っていった。



交差点を左折して再加速するときの立ち上がりもじつにスムースで気持ちがいい。CVTとの相性もバッチリといったイメージを受けストレスを感じさせない走りを見せた。



インドの劣悪な環境下でも活躍する国民車

スライドドアを持つ同クラスMPV(多目的車)となるソリオをラインアップしていることもあるのか、着座位置も低めとなっており、積載性能も必要にして十分なスペースに抑えるなど、コンパクトハッチバックならではの運転したときの気持ちよさを重視しているように見えた。



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スズキ・スイフト(5代目)の前席



同クラスのホンダ・フィットは、ホンダにはソリオのようなモデルがないので、そのようなモデルのニーズもカバーしようとしたのか着座位置は高めとなり、積載性能やそれに伴う使い勝手もかなり考慮されており、1.5リッター4気筒エンジン搭載ということもあるが、ハイブリッドではないガソリンエンジン車にスイフトから乗り換えると「重たい」という印象をすぐに受けてしまった。



スイフトはインドでは「国民車」といっていいほど街に溢れている。ただし、溢れているのはハッチバックではなく、小さいトランクをつけたセダン「ディザイア」となる。

インドでは全長が4メートル以内になると税制面などで優遇されることもあり、「4メートルセダン」というものが複数メーカーでラインアップされている。



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スズキ・ディザイア(3代目)



ディザイアはその初代が4メートルセダンの先駆けとしてデビュー、以降プライベートタクシー(貸し切りタクシー)を経て、いまではライドシェア車両として多く使われている。しかし、旅行用スーツケースがトランクに入るわけはなく、トランクリッド半開き状態で載せられたり、ルーフラックに載せられたりする。筆者は今回、新型のデビューと同時に、この新型をベースとした「ディザイア」がどうなるのかが密かな楽しみとなってしまった。



それにしてもインドではクルマを取り巻く環境はまだまだ劣悪というレベルになっている。道路環境は最悪で舗装道路といえども「これで舗装道路?」と思うような道路ばかりで良好な状態を見たことはない。

そのため、スマホで呼んだライドシェア車(ほとんどディザイアもしくは、ひとつクラスが下ならワゴンR)のフロントガラスはたいてい派手な亀裂が入っており、強度がほとんどないなか営業運行している。計器盤をのぞき込めば、ありとあらゆる警告灯が灯ったままとなっている。走行距離を見てもかなりの過走行状態となっているのが一般的なようであり、「使いっぱなし」にしか見えない。



インドじゃ超過酷な使われ方をするスイフトセダンの「ディザイア」! だからこそ日本で発売された新型スイフトも耐久力には期待大!!
インドの田舎道



日本仕様とインド仕様はほとんど同じということなので、かなり劣悪なインドの使用環境であっても、インドの人に高い評価を受けながらたくさん走っているのを見ると、耐久性などクルマの基本性能も太鼓判となっているといっていいかもしれない。購入したら長く乗り続ける人や、走行距離がやたら多くなる人には、スイフトが実用車としてぴったりかもしれない。



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スズキ・スイフト(5代目)のリヤ走行



気になる新型ディザイアのインドデビューは2025年開催予定のデリーオートエキスポあたりかなと考え、いまからその姿を見るのを楽しみにしている。