この記事をまとめると
■MAZDA6は2024年4月に販売を終え、アテンザとしての登場から12年の歴史に幕を閉じる



■国内のセダンやワゴンタイプの売れ行きが低迷し、次期モデルは開発が未定である



マツダが目指す運転の楽しさを大切にする考えが、このMAZDA6に詰め込まれている



目に見えない走りの本質を突いたクルマだった

2024年4月に、国内向けMAZDA6の販売を終了すると発表された。現行MAZDA6がアテンザの車名で登場したのは2012年だから、約12年を経過して販売を終える。この点について販売店に尋ねると以下のように返答された。



「MAZDA6は2024年4月に生産を終えるが、この生産枠は、2024年2月の時点で埋まっていた。従って受注はすでに停止している。次期MAZDA6の発売予定は、メーカーから聞いていない。少なくとも今後1年以内に、新型MAZDA6が登場することはないだろう。最近はセダンとワゴンの売れ行きが下がり、新型コロナウイルスの影響もあって、次期MAZDA6は開発と発売が先送りされている」。



ちなみに初代CX-5も2012年に発売されたが、5年後の2017年には、2代目の現行型に切り替わった。MAZDA6が12年間もフルモデルチェンジを受けられなかったのは、販売店のコメントどおり、セダンとワゴンの人気が全般的に低迷しているからだ。



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しかし、販売の低迷を理由に、MAZDA6の商品力が低いと判断することはできない。MAZDA6には、さまざまなセダンやワゴンのよさがあるからだ。



MAZDA6のセダンボディは、全高が1450mmだから、CX-5に比べて240mm低い。全幅は1840mmでCX-5と同程度だから、MAZDA6では重心が下がる。しかもセダンとあって、後席とトランクスペースの間に骨格が入り、ボディ剛性を高めやすい。



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MAZDA6のフロントビュー



そのために、MAZDA6の運転感覚をCX-5などのSUVと比べると、低重心と高剛性ボディのメリットを実感できる。たとえば峠道のカーブを曲がるときも、MAZDA6は左右に振られにくい。下り坂のカーブで危険を避けるような車両挙動が不安定になる場面でも、4輪がしっかりと接地している。



さらにセダンなら、後輪が居住空間から隔離されたトランクスペースの部分に収まるため、後輪の走行音を遮断する上でも有利になる。車内は静かだ。MAZDA6は発売から12年経過するため、基本設計は古くなったが、それでもこれらのセダンのよさは健在だ。



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MAZDA6ワゴンのフロントビュー



欧州車と同様にセダンとワゴン両方をラインアップ

MAZDA6ワゴンについては、セダンに比べるとリヤオーバーハング(ボディが後輪よりも後ろ側へ張り出した部分)を伸ばして荷室容量を拡大するため、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)がセダンよりも80mm短い。



そのために走行安定性もセダンを少し下まわり、後輪の走行音も居住空間に入りやすいが、低重心の走りは満喫できる。



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MAZDA6のインテリア



このセダンとワゴンの走行安定性と快適性は、ドライバーの疲労を抑えて安全性を向上させる。そのためにセダンとワゴンの売れ行きが下がっている今でも、ドイツ車を中心とした欧州車には、ラインアップが根強く残っている。欧州では高速走行の機会が多く、走行安定性とドライバーの快適性が重視されるからだ。



そしてマツダのドライバーとの一体感や運転の楽しさを大切にする考え方と、先に述べたセダン&ワゴンの特徴は親和性が高い。

マツダの考え方をもっとも明確に表現できるカテゴリーがセダンとワゴンだ。従ってMAZDA6は、マツダにとって欠かせない車種に位置づけられる。次期MAZDA6は、CX-60のプラットフォームを使った後輪駆動のセダン&ワゴンとして、必ず登場するだろう。

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