この記事をまとめると
■ホンダのベストセラーコンパクトミニバンのフリードが3代目にフルモデルチェンジ■新型フリードは「AIR」と「CROSSTAR」の2タイプをラインアップ
■新型フリードはミニバンとしても使えて車内の使い勝手も格段によくなっている
「よゆう」のキーワードをしたがえて3代目フリードがデビュー
「ちょうどいいHonda」というキャッチコピーとともに初代が2008年に誕生して以来、子育てファミリーを中心に多くのユーザーに支持されてきたフリード。2016年に2代目へとスイッチし、コンパクトミニバンの決定版として不動の地位を築きあげたが、ついに待望の3代目へとフルモデルチェンジが行われた。
3代目となった新型フリードのキーワードは「よゆう」ということで、これまでのように扱いやすいサイズ、優秀な使い勝手とパッケージ、乗り心地と素直な走行性能をさらに磨き上げ、笑顔の毎日を実現するコンパクトミニバンに進化。
まずデザインは、大きく2タイプが用意された。ひとつはステップワゴンでスタートした、上質でフレンドリーな癒し系キャラでもある「AIR」がフリードにも登場。快適さや自由さを感じさせるディテールは、誰にでも似合う洗練された印象となっている。
もうひとつは、2代目で登場したアウトドアテイストのCROSSTARが、よりアクティブでタフなデザインとなって“遊べるミニバン”をアピールする。

この2タイプのデザイン展開にともない、グレード構成も少し変更されている。3列シート7人乗りは、AIRのみに設定されてFFのみ。3列シート6人乗りは、AIRとCROSSTARの両方に設定され、FFとAWDが選べる。2列シート5人乗りはCROSSTARのみで、FFとAWDの設定がある。

また、福祉車両としてはサイドリフトアップ仕様は廃止となり、CROSSTARにスロープ仕様と助手席リフトアップ仕様が設定されている。パワートレインへの言及は最小限だが、ガソリンモデルに加えて、2モーターハイブリッド「e:HEV」搭載が目玉となる。
このように明確なキャラクターわけが行われた新型フリードは、肝となるパッケージのテーマを「思いやりが自然とできるパッケージ」として、それぞれに進化させている。
全長がどちらも+45mmの4310mmとなり、全幅はAIRが従来どおりの1695mm、CROSSTARは+25mmの1720mmとなった。全高は−105mmの1755mmだが、これはアンテナの形状が変わったためで、ルーフの高さには影響していないという。全長の拡大によって、1列目と2列目のゆとりがアップしたほか、3列目は横幅が+65mm広がり、2名が座っても余裕の空間。

実際に座ってみたところ、2列目を前にスライドせずとも、ひざまわりに大きな隙間があいており、ラクな姿勢が取れた。

少しサイズアップしたことで気になるのは最小回転半径をはじめとする取りまわし性能だが、詳細な数値は正式発表まで伏せたものの、「期待を裏切ることはないと思います」という言葉をいただいた。
客室も荷室も使い勝手が大幅にアップ
室内は従来どおり、コンパクトサイズとは思えない広々とした気もちのいい空間。とくに進化したのは3つのポイントで、まずひとつめがどの席に座っても開放的で、すっきりとした視界。運転席からは、ノイズレスな水平基調の視界が広がり、Aピラーを1本化したこともあり、高いアイポイントからは前方だけでなく近くの斜め下方向も見やすく、安心感と自信がもてそうな視界となっている。

3列目では、リヤクォーターウインドウが四角く大きな形状となり、外からの光が取り込めて閉塞感のない明るい視界が心地よい。

そしてふたつめは、コンパクトミニバンならではの機能の進化。キャプテンシートのモデルでは、ユーザーにとって大きなメリットといえるセンターウォークスルーがしやすくなった。これは2列目シートの肩口の形状をシェイプしたり、アームレストも邪魔にならないよう配慮したことによるもの。
また、ロングスライド機能のある2列目シートを引き寄せる際もつかみやすく、運転席に近づけて子どものケアをしたり、後ろにスライドすれば足もとに買い物かごが置けるほどの余裕のスペースが生まれる。チャイルドシートを装着しても、左右や1列目・3列目に自在に移動でき、車内での着替えやオムツ替えなど、さまざまな用途に使いやすくなっている。
3つめは、荷室の使い勝手が進化したこと。フリードは3列目が跳ね上げ格納式だが、その操作が格段にスムースになっていて感心。これは、シートの固定位置が先代より90mm低くなり、開口部に近い位置となったことで、もち上げる際や最後にストラップを引っかける動作も、小柄な人でもスムースにできるようになっている。

さらに、格納時の張り出しも薄くなり、左右を格納した際には従来より160mmも増えた荷室幅が確保できるように。これによって、自転車などの大きな荷物が積みやすくなったほか、荷室に置いたクーラーボックスがそのまま開け閉めできるなど、使いやすさが広がっている。
もちろん、運転席まわりや後席の収納スペースも「サッと置けてパッと使える」をキーワードに進化。助手席の前には、スマホもリップもなんでも置きやすいインパネトレーや小物入れにもなるカップホルダー、ボックスティッシュが隠しておける大容量のインパネボックスなどがある。傷がつきにくく、もしついても目立ちにくい素材にこだわったところもうれしいポイント。

これはシートでも同じで、手触りのいい素材ながら、汚れにくく掃除がしやすい撥水撥油機能のあるファブリック「FABTECT」を採用。外から見えるところは明るいカラーでも、座ったりよく触ったりするところがダーク系のカラーとなるツートーンで、いつまでもきれいが保ちやすくなっている。
そして、CROSSTARの2列シート5人乗り仕様では、超低床を活かしてラゲッジを2段収納として使えるアイディアが実現した。後席をダブルフォールディングするとちょうどフラットになる高さにボードがあり、その下も大容量の収納スペースとなる。また、工夫次第で積みたい荷物や使いたいモノに合わせた収納にアレンジしやすい、ユーティリティサイドパネルや6個のユーティリティナットが装備されているので、フリードをより自分に合わせて、人とはちがった楽しみ方ができるのも大きな魅力だ。
そんな、「自分らしさ」をもっと追求したい人に向けて、ホンダアクセスからは「普段美」をテーマとしたさまざまな純正アクセサリーが登場。エクステリアでは、AIRをベースとしてもっと上質な存在感を手にいれる「Superior Style」があり、フロントグリルやエアロバンパーなどで洗練された表情に。CROSSTARでは、より頼もしく力強い「Active-Tough Style」が登場し、フロントガーニッシュやボディサイドモールが個性的で、ギア感がアップするエクステリアとなっている。

インテリアでは、キャプテンシートに装着できる折りたたみテーブルやUSB PDチャージャーといった、室内をより快適にするアイテムが豊富。また、CROSSTARでアウトドアレジャーを思いっきり楽しみたい人に、バッグゲートを開けた状態でタープが3枚までつけられるテールゲートタープや、高い天井を有効活用するルーフラック、小物を整理整頓するのに重宝するトランクサイドボックスなど、思わず欲しくなるアイテムが揃っている。

こうして内外装を見ているだけでも、「これいいな、欲しいな」とウキウキしてくる新型フリード。小さくてもしっかりミニバンとして使えるという、フリードならではの魅力がさらに高まっており、これはファミリーだけでなくアクティブな趣味を持つシングル世代や、子育てを終えて再びやりたいことを楽しみたい熟年世代にも、ガツンと響く1台になっていると感じる。

価格や詳細の正式発表は2024年6月の予定だ。