この記事をまとめると
■ヒョンデ・コナに「N Line」が追加設定された■N Lineは装備や外観の意匠に特化した仕様
■内外装の詳細や試乗インプレッションをお届けする
別のクルマと見紛うほどアグレッシブな外観
ヒョンデのコンパクトスポーツSUV BEV「コナ(KONA)」にスポーツライクなモデルとして「N Line」が追加設定された。早速公道試乗の機会が得られたのでリポートしよう。
コナ N Lineの車体ディメンションは全長4385mm。
N Lineのネーミングはヒョンデが展開するWRC(世界選手権ラリー)やTCR(ツーリングカーレース)などのモータースポーツ活動から培われた技術やブランドイメージを市販車にフィードバックしたモデルに授けられる。国内では先だって発売されたアイオニック5の「N」が、その圧倒的なパフォーマンスで話題となったが、N Lineは装備や外観の意匠に特化した仕様となっている。メルセデス・ベンツのAMGラインやBMWのMスポーツ、またレクサスのFスポーツなどに近いイメージだ。
ヒョンデはNやN Lineを主要なモデルに設定していてグローバルで展開している。それらは「Nパフォーマンス」として広くモータースポーツファンに支持されているのだ。
外観を見てみると、ベースモデルのコナとは別のクルマと感じるほどアグレッシブにリデザインされている。フロントマスクはバンパーグリルのデザインや配色が変更され、スポーティなものとなった。やや大人しいイメージでインパクトに欠けていたベースモデルとは大きく印象を変えている。
ボディサイドはサイドモールディングがボディカラー同色となり、サイドシルが追加されてブラック仕上げとなっている。
室内に乗り込むとブラックに統一されたインテリアカラーが精悍だ。ピラーやルーフのインナーライナーもブラックでスポーティモデルのトレンドに則っている。
インパネまわりのデザイン、ステアリング、シートやペダルなど、配色と仕上げが見直され極めて質感が高く好印象。スイッチ類は物理スイッチメインで配され、使い勝手もよさそうだ。
専用シートは見栄えも座り心地もよく、またサポート性にも優れている。ヒップポジションが低く感じたが、市街地を走る際は電動シートリフターが備わっているのでアジャストできる。
見た目はスポーティだが乗り味はマイルド
システムを起動しステアリングコラム右手のダイヤルレバー式シフトセレクターをDにセットすれば走行可能だ。ちなみにウインカーレバーも右側にあり国産車と同じレイアウトなのはありがたい。
ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツから選択でき、デフォルトはノーマルだ。その選択はセンターコンソールのダイヤル式スイッチで行う。スポーツを選択するとスロットルレスポンスが向上しトルクピックアップが鋭くなるが、ステアリングやサスペンション特性は変わらない。一方、エコでもドライバビリティは大きく変化しないので市街地、一般道ではノーマルモードがお勧めだ。
タイヤは19インチの韓国製クムホ・エクスタPS71を装着。スポーティな見た目の割に乗り味はマイルドで市街地では快適だ。
高速道路に入り車速を上げてみると、今度はロードノイズとハーシュの強さが気になってきた。19インチで235/45というサイズを考慮すれば想定内。むしろ市街地が快適すぎたということだ。
路面の継ぎ目が連続する場面ではあることに気がついた。それはシャシー剛性のバランスだ。コナは同じシャシーでガソリン、HV(ハイブリッド)、BEVとバリエーションを展開している。
一方、クルマのシャシーはサスペンション機構とフロアが適度にいなし合いながら捻れ、曲げ、振動特性を連携し合っている。どうもコナ N Lineはサスペンションが受けて伝える振動や衝撃を堅牢なバッテリーハウジングが遮断してしまうので、力が分散されずにそのままサスペンションマウントに返されてしまうようだ。
そのため、段差や継ぎ目ではハーシュがスムースに収束されず、一旦増強された衝撃がドライバーに伝わってくる。それが前後サスペンションで位相がずれて起こるので快適性が損なわれやすい。BEV専用シャシーならサスペンションピックアップとバッテリー内臓フロアの連続性が得られるのだろうが、ほかのパワートレインと共有する場合は起こりやすい特性といえる。パワートレインの選択肢は増えるが、デメリットもあるということだ。
リヤシートは広く、全席シートヒーター装備でラゲッジスペースも広くパッケージングや装備は充実している。
今後はNブランドの認知度を高め、ブランドイメージを正しく構築するために、国内でのモータースポーツ活動推進にも期待している。