この記事をまとめると
■日本を走るトラックのほとんどがキャブオーバー型だ



■一方でアメリカやカナダではボンネット型が主流



■ボンネット型のトラックが活躍する国の特徴について解説する



アメリカやカナダではボンネット型が主流

日本やヨーロッパなど世界各国のトラックは箱型のキャビンをもつキャブオーバー型が主流、いや、ほぼすべてのトラックがこのスタイルといってもいいだろう。



キャブオーバーとは、エンジンの上にキャビン(運転席)が載っている形式の車両の総称。エンジンとキャビンを2階建て構造にすることにより、そのぶん荷台を大きく、長くとることができる。



日本やヨーロッパ各国ではトラックの全長規制がかけられており、より効率的に荷物を運ぶために、このキャブオーバー型のトラックが一般化したわけだ。また、軽トラやワンボックスカーも、このキャブオーバーのレイアウトを採用している。



一方、アメリカやカナダなど北米大陸のトラックは、一部小型車を除き、大型車、中型車はすべてボンネット型のパッケージングになっている。



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アメリカでも1950~70年代にはキャブオーバー型のトラックが主流だったときがあったが、日欧などほかの各国とは逆に全長の規制が緩和されたため、いまではボンネット型のトラックが主流になっている。



これは単純な話、アメリカやカナダは国土が広いから。大陸を横断するような超長距離の輸送をする北米大陸は、道路のスケールも桁違い。そのため、クルマの全長を気にせずトラックを作る、走らせることが可能になっているわけだ。



広大な土地で活躍するトラックは室内も桁違い

アメリカの長距離を走る大型トラックは「SEMI(セムアイ)」と呼ばれるトラクタ。大きなトレーラーを牽引して大陸を横断するそのトラクタは車体のスケールも大きく、「ビッグリグ」とも呼ばれる。



前方に突き出た巨大なエンジンを収容するボンネットも存在感抜群だが、キャビンもそれまたビッグ。日本やヨーロッパのキャブオーバー型の大型トラックには運転席の後ろに寝台があり、とくにボルボやスカニアなどの欧州車はそのスペースが広く、また収納設備も充実しているが、ビッグリグの休息スペースは桁違い。



運転席・助手席とは別に「スリーパー」と呼ばれる部屋を設け、大きなものになると室内にベッドだけでなくキッチンや冷蔵庫、シャワールームまで設けた、もはや家のような快適空間になっている。

ロスアンゼルスからニューヨークまでの東西距離4500km。そのような広大な国土を何日も、何週間もかけて駆け巡る彼の国のドライバーにとっては、スリーパーはまさに我が家といっても過言ではないのだろう。



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ボンネット型のトラック



ボンネットトラックはピータービルトやケンワース、フレイトライナー・トラックス、マックス、などのアメリカのメーカーのほか、ボルボも北米向けに現地生産の車両をリリース。また、日本の日野自動車も中型と大型のボンネットラックを開発。こちらは北米以外の地域では販売されていない。



日本では、1960年代までのまだキャブオーバー型が一般的ではなかった時代にボンネットトラックは国内各メーカーでも生産され走っていたが、いまではマニアのコレクションや博物館の展示物として残るのみで、現役で活躍している車両は皆無といっていい。



また、アメリカ製のSEMI・ビッグリグを輸入して乗っているドライバーもまれにいるが、こちらも趣味のクルマとして活用。スリーパーを活用してキャンピングカー登録して乗っているマニアもいる。しかし、正規インポーターもディーラーもないビッグリグは整備や修理も困難。よほどメカの知識やノウハウをもっているエンスーでなければ日本での維持は難しいだろう。

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