移動式オービスには事前警告の看板を設置しないと言い切っている

 以前リポートしたように、現在、オービスによる取り締まりに異変が起きている。固定式のオービスが続々と撤去され、代わりに移動オービスの導入が急ピッチで進んでいるのだ。移動オービスはとはその名のとおり、三脚の上に小さな箱形のレーザー測定機&カメラが付いているもので、どこにでも設置できる機動力の高さが特徴だ。



 神出鬼没という点では、移動オービスとネズミ獲りは同じに思えるが、速度を自動で測定して、記録までしてくれるという点でネズミ獲りとは大きく異なる。少人数で運用できるのは大きなメリットだし、なにより、どこでも取り締まりができるのは今までにない点となる。



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 しかし、移動オービスについて、問題はいろいろと指摘されている。そのひとつが、事前警告がないということ。固定式の場合、「速度自動取り締まり中」や「速度超過」といった警告板があり、その先に設置されていたが、移動オービスの場合はそれがないし、運用元の警察も設置するつもりはないと言い切っている。



もともと事前警告に法的な定めはない

 もともと、事前警告には法的な定めはなく、警察権力の乱用を防止するために、置かれていたというのが背景にある。最近は見かけないが、ミニパトが「ナンバー●●の運転手さ~ん、移動してくださ~い」と言っていたのも、まずは警告が必要という表われだった。最近では取り締まり全般について問答無用の傾向が強いように思う。



【取り締まり中の看板は必要ない?】移動オービスに事前警告がないワケ

 オービスによる撮影自体も曖昧で、判例によると肖像権やプライバシーの問題から、明らかに犯罪を犯していると認められるなら撮ってもいいという程度。赤切符になるようなドライバーは重篤な犯罪者だから問題ないという理屈で、運用されている。



【取り締まり中の看板は必要ない?】移動オービスに事前警告がないワケ

 職務質問も同じで、本来はその行使は最少限にとどめて、明らかに怪しいものだけにするとされているが、歩行者であればオタク風であったり、クルマだと過度にドレスアップしたセダンやミニバンはあっという間に車内を捜索されるだけに、警察自体にあまり自制はないと思っていいだろう。「悪いことをしていないなら協力できるハズ」というのは現場の警察官がよく言う言葉だ。



 加えて、各都道府県警は取り締まり情報を公開するようになってきているが、これを事前警告の代わりにしている節はある。そもそも事前警告には法的根拠がないと言われればそれまで。またGPS付きレーダー探知機の普及で、オービスによる取り締まり件数は減少しているだけに、それをカバーするというのもあるだろう。いずれにしても、移動オービスのレーザー波に対応したレーダー探知機を付けつつ、安全運転に務めるしかないというのが現実だ。

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