コピー車ではないがトヨタを模範としているようにも見える
TATAブースへ行くと“ハリアー”が置いてあった。その存在は知っていたが、実車を見るのはもちろん初めてである。車名こそ日本でも有名だが、日本のトヨタ・ハリアーとはなんの共通性もないし、ましてやコピー車ではない。
国内専売モデルとはいえ、日本からアジア各国に中古車等として個人輸出されている。当然ながら現地での販売価格はかなり高額なのだが、金に糸目をつけないアジアの富裕層がこぞって乗るほどの人気モデルとなっている。
TATAのほうのハリアーは全長4598×全幅1894×全高1706mm。ホイールベース2741mm。搭載エンジンは170馬力を発生する2リッター直4ディーゼルとなり、これに6速ATと6速MTが組み合わされている。ブレーキはフロントがベンチレーテッドディスクでリヤはドラムとなり、駆動方式はFFのみとなっている。プラットフォームは傘下のジャガー&ランドローバーと共同開発した、“OMEGARC”というものが採用されている。価格はオートマチックのXZA+ ダークエディションで202万5000ルピー(約311万円)となっている。
いまインドでの新車を買う人は「増車」の場合が多い
今回のAUTO EXPOでは、2020年モデルとして新排ガス規制“BS6”対応エンジンの搭載と6速ATが追加され展示されていた。また、ハリアーベースの3列シートを採用した多人数モデル“グラビタス”がデビューしている。
インドでのトヨタ最小セダンとなるエティオスは全長が4メートル以内となっていない(他メーカーでは全長4メートル以内の“4メーターセダン”をラインアップしている)。エティオスはあえて全長を4メートル超えとして、ほかの4メーターセダン車より、“ちょっと上の層”を狙っているのである。コンパクトカーをせっせと売るトヨタ以外のメーカーから見れば、利幅の多い大型車を売りまくるトヨタのビジネスモデルはまさに“おいしく”見えるのである。そのため、トヨタ以外のメーカーのプレスリリースを見ていると、“ライバルはフォーチュナー”といった表記をよく見かけた。

TATAとしても本命は今回発表したグラビタスがイチ押しなのは間違いない。会場で、「インドで新車販売市場が伸びているが(いまは深刻な販売不振となっているが)、新規にクルマを持ったというケースが意外に少なく、目立ったのは富裕層の“増車”だった」という興味深い話を聞くことができた。メインの4メーターセダンもニーズが多いといっても、タクシーやウーバーなどのライドシェア専用車ばかり。もちろん新規需要もはずせないところだが、インドの富裕層も外せないのは確かな話。
今回のAUTO EXPOを見ると、TATAやマヒンドラといったインド勢がフォーチュナーやイノーバを意識したモデルを出品させていたのも特徴のひとつといえよう。