ハイパーカーの明確な基準はないが「100万ドル超」が目安

団塊ジュニアから下の世代の方は、リアルタイムではご存じないかもしれませんが、かつて日本で「スーパーカーブーム」が巻き起こったことがあります。



1970年代のわずかな期間でしたが、当時の小中学生は「フェラーリ512BB」、「ランボルギーニ・カウンタックLP500」といった、『ミッドシップ』に『マルチシリンダーエンジン』を積み、『リトラクタブルヘッドライト』の欧州生まれのスーパースポーツカーを「スーパーカー」と称して、憧れたのです。



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ブームの最中では、V6エンジンやFRレイアウトのモデルでも『リトラクタブルヘッドライト』でさえあればスーパーカーにカテゴライズされるなど、スーパーカー自体に明確な基準があるわけではなく、あくまで市場が「スーパーだ」と思うスポーツカーがあれば、それがスーパーカーに分類されるという雰囲気重視の基準といえます。



三つ子の魂百までではありませんが、その当時の価値観に影響を受けた人は多く、いまでもフェラーリやランボルギーニはスーパーカー・ブランドとして人気です。もちろん、スーパーカーブームをリアルタイムに知らない世代にとっても、この2つのブランドはスーパーカーの代表格です。



「スーパーカー」はわかるけど最近聞く「ハイパーカー」って何もの?



さて、最近ではそうしたスーパーカーの上をいく『ハイパーカー』と呼ばれるカテゴリーが生まれています。スーパーカーが「すごいスポーツカー」という曖昧な基準であるように「ハイパーカー」にも、なにか明確な条件があるわけではありません。しかし、市場がハイパーカーと呼ぶための最低条件というのがあります。



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そのひとつである、わかりやすい基準が「100万ドルを超える価格」です。日本でいうと「1億円以上の車両価格」といった言葉から受けるイメージを想像するといいでしょうか。ネットスラング的に小並感でいうと「すごい高価なスーパーカー」であることがハイパーカーの条件といえます。



ハイパーカーには飛び抜けた個性が必要

しかし、それだけでは“ハイパーカー”には足りません。パフォーマンスの面でもスーパーカーを超えることが求められます。それもちょっと馬力が多いといったレベルでは満足できません。



エンジンにしても量産モデルのハイチューン仕様というのではなく、専用エンジンであることがハイパーカーとしては理想といえます。

さらにカーボンパーツを多用するなどして量産車としては考えられないレベルで軽量化をしているなど、とにかく突き抜けた部分がハイパーカーと呼ばれるクルマには求められるのです



たとえば、マクラーレン製のハイパーカー「セナ」は、一般的なスーパーカーでは備えていることが当然といえる快適装備を省き、サーキットスペシャルに仕立てています。アイルトン・セナにちなんだ車名も、そうしたストイックなクルマづくりの姿勢を強調します。



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また、メルセデスAMGが開発中で間もなく登場する予定の「AMG ONE」は1.6リッターV6エンジンというハイパーカーにしては小さなエンジンを積んでいますが、それはF1パワーユニットと同じブロックを使っているという由緒正しすぎるものとなっています。



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その意味ではトヨタGRカンパニーが開発中で、東京オートサロンなどで披露したことのある「GR SUPER SPORT」も立派にハイパーカーといえます。このモデルはル・マン24時間を制したトヨタの純レーシングカー「TS050h」のV6ツインターボやハイブリッドシステムを、そのままストリート仕様として搭載すると発表されているからです。



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「ハイパーカー」にとってハイパーリンクは最低条件といえますが、単にハイパワーなだけでなく、バックボーンにしっかりとしたストーリーがあることも「ハイパーカー」と呼ばれるクルマには必要といえるでしょう。



そのストーリーというのは伝統的ブランドである必要はないのも「ハイパーカー」の特徴ではないでしょうか。小さなメーカーが生み出す生産台数一桁レベルのモデルであっても、突き抜けたクルマを作ろうという開発者や創業者の意思がストーリーとしてプラスされることで立派な「ハイパーカー」として認知されます。



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そうしたブランドは世間一般では知られていないかもしれませんが、ごく一部のまさしく「100万ドルのハイパーカー」を購入できる、限られた富裕層だけを対象としていますから、知る人ぞ知るとなるのは当然かもしれません。限られたハイソサエティのなかだけで密かに広がっていくこともハイパーカーのストーリーづくりにつながることがあるのです。

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