装備にも「お国柄」は現れる!

クルマ選びの最初の段階で、国産しか候補にあげないというユーザーは少なくないでしょう。たしかに購入できるディーラーや、輸入車に強い整備工場は限られていますし、全国津々浦々で考えると国産車を選んだほうが安心かもしれません。



しかし、輸入車でなければ味わうことのできない世界があるのも事実です。

輸入車には国産車とは異なる「定量化するのが難しい独特の空気感」を持っているという部分を魅力として捉えているユーザーも多いことでしょう。また、輸入車ならではの装備というものもあったりします。グローバル化が進んでも、やはり生まれた国の影響を受けるものです。お国柄から優先順位の高いアイテムがあったり、その逆に機能に対する割り切りがあったりします。



そうしたバックボーンにある影響を感じるのも、また輸入車を選ぶ理由なのかもしれません。ここでは、そうした視点からユニークな装備を持つ輸入車5モデルを選んでみました。



1)シトロエンC3(エアバンプ)

まず紹介するのは、ユニークな輸入車といえば、イの一番に思いつくブランド「シトロエン」のコンパクトカー「C3」です。内外装の各部にアクセントを配したヴィヴィッドなカラーリングもお洒落なムードを高めますが、なによりユニークなのがドアサイドに貼られた「エアバンプ」でしょう。軽い接触からボディを守るという機能性アイテムでありながら、より大胆なデザインとすることで、シトロエンならではの個性を演出します。



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縦列駐車でバンパーをぶつけるのも当たり前というのがフランスの自動車文化。「エアバンプ」が生まれた、そうした背景も考えると単なる個性的なスタイリングを味わうだけでなく、異なる文化に触れる経験という意味合いもあるのだなあ、と感じられることでしょう。



「ドアがあっても座席がない」「ぶつける前提のボディ」日本人の発想が追いつかない輸入車「珍装備」5つ



2)ジープ・ラングラー ブラック&タン(ソフトトップ)

続いて紹介するのは「ジープ・ラングラー」に登場した150台限定の特別仕様車「ラングラー・ブラック&タン」。標準のラングラーは3分割にして脱着可能なハードトップ「フリーダムトップ」を備えていますが、この特別仕様車はブラックの車体にタンカラーのソフトトップを組み合わせているのが“特別”な装備となっています。



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「フリーダムトップ」も前席の部分を取り外すこともできますが、こちらのソフトトップはスパッと折り曲げるようにオープン化できるようになっています。

そうなると「気軽にオープンが楽しめる」と言いたくなりますが、そうは問屋が卸しません。メーカーによるソフトトップの開閉方法では、大人の男性(背の高いアメリカ人)が二人がかりで行なうことが推奨されています。つまり、なんのアシストもない手動開閉式なのです。開閉した状態もかなりワイルドで、まさにアメリカンというイメージそのまま。もっと洗練されていたほうが便利なのは間違いありませんが、このワイルドな感じもジープ・ラングラーらしいと思わせるのは、国産車で味わえない世界観ではないでしょうか。



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※参考動画(https://www.youtube.com/watch?v=I6W5XMOK8i4)



走りに特化するあまりドアはあるのに座席がないクルマも

3)BMW i3(狭幅・大径タイヤ)

BMW iシリーズというのは、電動車両専用のサブブランドといえるもので、その中心的モデルが「i3」。量産車ながら、アルミ製プラットフォームとカーボン製ボディを組み合わせるといった構造、リヤ駆動にこだわったモーターレイアウトなどBMWらしい技術要素を詰め込んでいますが、なかでもほかのモデルで見ることがないといえるのが「狭幅・大径タイヤ」でしょう。



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標準装備サイズは155/70R19、オプションとして用意されているインチアップ仕様では、フロント155/60R20、リヤ175/55R20となっています。この数字だけを見ると実感できないかもしれませんが、タイヤの偏平率というのは幅と断面高の比率ですから、155/60ということは、計算上の断面高は93mmしかないことになるのです。235/40タイヤが同じくらいの断面高ですから、幅に対してどれほど薄いプロフィールなのかわかるでしょう。このような狭幅・大径タイヤを履いているは現在のところi3だけです。ちなみに、こうした幅が狭くて、大径なタイヤのメリットは空気抵抗を減らしつつ、さらにタイヤの変形によるロスも軽減できること。エコ性能のためにi3をロジカルに作り込んだBMWの思いが伝わってくるタイヤ選定といえます。



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4)ルノー・メガーヌR.S.(リヤドアがあるのに2人乗り)

さて、先日鈴鹿サーキットにおけるFF最速タイムを奪取したと発表したホンダ・シビックタイプRと「FF最速」の座を競い合っているのがルノー・メガーヌR.S.。その最速グレードである「トロフィーR」には、なんと後部座席がありません。



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基本となるボディはメガーヌのままですからリヤドアは存在していますが、ドアを開けてもそこにシートはなく、タイヤを積みやすい形状とされたラゲッジフロアに変身しているのです。これは最速タイムを目指して軽量化をするための判断ですが、ドアがあってもシートがないというクルマには、なかなかお目にかかれるものではありません。荷物の積み下ろしでしか使わないドアですから窓も固定タイプとなっているのも徹底した軽量化を思わせます。こんな割り切ったスポーツカー、国産車ではまず見ることはできません。まさに輸入車だからこその珍仕様です。



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5)ボルボやVWのインテグレーテッドチャイルドシート

最後の紹介するのは、一部の欧州車に見られる「インテグレーテッドチャイルドシート」です。日本で正規販売されているモデルでも、フォルクスワーゲンやボルボで見かける、このシートは座面がせりあがることで、体の小さな子供でもちゃんと肩にシートベルトがかかるようになるというもので、機能的にはジュニアシートに相当するもの。



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フォルクスワーゲンのミニバン(ゴルフトゥーランやシャラン)ではヘッドレストも頭の横までカバーする専用品に変えることで、より安心して子供を乗せられるようになっているのです。これこそ、至れり尽くせりをウリにする国産ミニバンにオプション設定するなどの展開を望みたいものです。

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