キャパオーバーというより当初の目標数に達したことが原因か
電動車両ファンが期待を込めて待っていたトヨタRAV4PHVが、6月の発売から3週間ほどで年内の予定販売台数を受注し、以後、当面注文を受けられない状況になった。理由は、トヨタとパナソニックが合弁会社として設立したプライムプラネットエナジー・アンド・ソリューションズの姫路工場で製造するリチウムイオンバッテリーが、年度内分の生産量に達したためとのことである。
ただ、同社のリチウムイオンバッテリーの生産能力がそれしかないというわけではない。

とはいえ、世界的に電動化が進められるなかで、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)という、リチウムイオンバッテリー搭載量の多い車種が今後の方向性となってきている折に、トヨタのリチウムイオンバッテリー生産計画が消極的であったといわざるを得ないのではないか。RAV4PHVの月販予定台数は300台で、6月からの年度内という9カ月分で試算すると2700台分でしかない。通常の量産市販車であれば、1カ月で売りたい台数だ。それでも、一般社団法人日本自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位の30位前後という控えめな数字である。

トヨタの予測よりもユーザーのニーズが上まわってしまった
トヨタは、国内向けEVの市場導入を2030年までにと公表しており、10年という年月がある。つまり、国内には当面リチウムイオンバッテリーを多く搭載しなければならない車両の発売は多くならないかもしれないという考えが潜んでいると解釈できる。理由は、プリウスPHVがそれほど売れていない現状があるのではないか。同時に、トヨタはハイブリッド車(HV)ですでに十分な実績を上げ、燃費の点では世界的に誇れる市販車を販売してきた経緯がある。

EVやPHEVは、家庭などで200Vの普通充電をして初めて最大の機能を発揮できる電動車両であり、国内にはマンションなど集合住宅の管理組合問題という障壁がある。富裕層を含め多くの人が住む集合住宅の駐車場で、普通充電の設備を設置できない状況が過去10年を経て解決されていない。

ところが、近年のSUV(スポーツ多目的車)の流行とともに、RAV4自体も人気が高く、そのPHVとなったとき、消費者は反応したというわけだ。

世界では、リチウムイオンバッテリーの入手争いが起きている。同時にまた、リチウム資源には限界もある。先を読み誤ると、トヨタといえども敗者となる可能性はゼロではない。