ランエボの元祖ともいえるセダン
2016年に生産終了を終了して4年が経過しようとしているが、未だに多くのファンと新型の登場を望む声が絶えない三菱 ランサーエボリューション。そんな名車ランエボに、最終型のXを除きすべての代に搭載されていたのが、いわずと知れた4G63型エンジンである。
初代ランエボでは250馬力だったが、最終的には当時の自主規制値いっぱいの280馬力に達し、イギリスではFQ-360と呼ばれる360馬力オーバーのモデルがディーラーで販売されるほどの高いポテンシャルを誇っていた。

しかし、じつは4G63型エンジンを搭載したモデルはランエボだけに留まらず、他の多くのモデルにも搭載されていたのだ。今回はそんな4G63型エンジン搭載車を振り返ってみよう。
1)ギャラン(6代目)
ランエボ登場以前にWRCに挑戦していたのが、6代目ギャランVR-4だ。そもそもランエボ自体がギャランVR-4のエンジンと4WDシステムをよりコンパクトなランサーに搭載したものであり、ギャランに搭載されていたのは当然とも言える。

当初は205馬力だったエンジンだが、改良が重ねられ最終的には240馬力を発生するまでに進化。ギャランVR-4自体もWRCで勝利を手にしている。

なお、日本では販売されなかったが、2代目のランサーにも4G63型ターボエンジンを搭載したモデルが存在しており、ある意味ではランエボの元祖といえるかもしれない。
ミニバンの元祖もバカっ速エンジンを積んでいた!
2)シャリオ/RVR
初代日産プレーリーとともに、国産ミニバンの元祖とも称されるシャリオ。91年には2代目へとフルモデルチェンジを果たすが、モデル途中の95年に突如、リゾートランナーGTという4G63ターボ&4WDを搭載したモデルを追加。

最高出力こそ230馬力(5速MT車/AT車は220馬力)とランエボよりも落とされていたが、3列7人乗りの車両としては異例のパフォーマンスを誇るモデルとして、コアなファンを喜ばせた。

そして、このシャリオをベースにショートホイールベース化をしていわゆるクロスオーバーSUV風に仕上げたのがRVRで、こちらもモデル途中で4G63ターボエンジン搭載グレードが追加されている。

なお、シャリオはフルモデルチェンジで4G63ターボは廃止されたが、RVRは2代目にも継続搭載され、パワーも250馬力(MT車)に向上していた。
3)ディオン
トールタイプの5ナンバーミニバンを持たなかった三菱が、2000年に送り出したディオン。ライバルと同じく2リッターエンジンを搭載する3列7人乗り仕様でありながら、150万円台からという低価格が最大のウリとなっていた。

このディオンに搭載された2リッターこそが4G63型だった。とはいえ、ターボではなくNAということでスペックも135馬力と大人しめ。後にターボモデルも追加されるが、そちらは1.8リッターの4G93型だった。

なお、ディオン自体は手ごろな価格ではあったものの、スライドドアを持たなかったことが響いてライバル車の牙城を崩すことはできず、1代限りで姿を消している。
これ以外にも4G63型エンジンは多くの車種に搭載されており、三菱製時代のデリカバンや、トラックのキャンターにも搭載されたほか、アメ車のダッジ ラムにも採用されていた。ただし、本格的なアメ車のダッジ ラムではなく、三菱ストラーダのOEMモデルである。