お客にルートの確認などを行うよう指導されている
これはあるタクシー運転士から聞いた話。「新人のころ、東京都世田谷区の三軒茶屋で年配の女性が手を挙げたので、停めて乗せました。すると『千鳥町までお願いします』というので、千葉県市川市の千鳥町かと思い、『やったロングだ!』と内心思いながら、『高速使いますか?』と聞くと、『違うわよ、大田区のほうよ、みんな千葉の方だと思うのよね』といわれました」とのことだった。
さまざまな投稿で、「タクシーに乗ると、プロなのに運転士がいちいち経路を聞いてくる」というものがあるが、タクシー運転士はお客を乗せたときには必ず“経路確認”するように指導されている。もっとも短距離のルートで目的地まで向かわなければならないのだが、乗客のなかには“こだわりのルート”で向かってほしいというケースもある。「風水で導かれたとか、このルートで向かったらよいことがあったなど縁起を担いだりして、独自のルートを指定されるお客さまもいらっしゃいますので、経路は必ず聞くようにいわれています」とは前出の運転士。
経路確認をすることで、ある程度目的地を間違えることは防げるのだが、初めて向かうところでは経路を聞かれても、「お任せで……」というしかないのも確か。いまどきはタクシーにはたいていカーナビがついているので、目的地の住所などがわかっていればルート検索すれば、間違いは防ぐことができるだろう。

それでも目的地とは違うところに連れていかれたときの料金は支払わなければならないのだろうか。答えは料金メーターに表示された料金は支払うことになる。ただ、違う場所に連れていかれたのは確かなので、その後法人タクシーならば、当該タクシー事業者に事情を話し、個別で返金要求をしていくことになるのだろうが……。
運転士が独自の判断で料金を値引きしトラブルを解決する場合も
ただし、目的地を間違えられたからとして、その場でタクシーを降りることはまずないだろう。たいていはそのまま本当の目的地まで、当該タクシーに乗り続けることになる。
「結果的には目的地まで遠まわりされたということになります。遠回りされたとき、本当はいけないのですが、その場で運転士ごとに対応は異なりますが必ずしもメーター料金そのままを支払うことにはならないでしょう」(事情通)。

初めての場所でない限りは、途中で「なんか道間違っているような(遠回りしているような)」と思うはず。「いつもの場所で、いつもの場所までタクシーに乗ったときに、経路確認もしないで発車して、しかもそれまで走ったことのないルートを走り出したので、『運転士さん、このルート初めてなんだけど』と聞きました。すると遠回りに気が付いたのか、『お客さん、いつもいくらぐらいで乗っていますか?』と聞いてきたので、『2000円前後かなあ』と伝えたら、目的地についた時に『2000円だけでいいですよ(メーターは2000円を軽くオーバーしていた)』と言ってきました」(事情通)。

途中でメーターを上げてしまうと、メーターの不正使用となるので、目的地までメーターを入れたままにして、「2000円でいいですよ」ということになったらしい。目的地を間違ったときも、本当はいけないのだが現場でこのように運転士が事実上の“メーター料金からの値引き”をして解決しているのが実状のようである。
いまどきは“スマホ”という便利ツールを持っているひとが大半なので、目的地が載っている地図画面や、目的地の住所を表示するなどして見せて確実に目的地まで運んでもらえるように“自衛”したほうがいいだろう。そして、途中で「何かおかしい」と思ったら(よくわからない素振りで運転しているなど)、遠慮なく運転士に話しかけることが大事だ。