現行クラウンはパトカーになるための条件を満たしていない
ここのところ“生産中止”や、“FFになる”、“後継モデルはSUV”など、さまざまな情報がネットを飛び交っているトヨタ・クラウン。現行15代目ではパトカーは存在しないとの話も出ているが、それを決定づけるような情報が入ってきた。「じつはパトカー車両として採用される規格として、一定以上のトランク容量の確保というものがあるのですが、現行クラウンではその容量を確保していないのです」とは事情通。
調べてみると、パトカー(無線警ら車)には、細かい仕様が決まっており、そのなかに“トランク容量は450リットル以上であること”という項目があるようだ。そこで現行クラウンのトランク容量はどうなっているのかと調べてみると、430リットルとのことなので集めた情報を照合すると、確かに現行クラウンのトランク容量ではパトカーとしての仕様を満たしていないことになる。警察活動に必要なさまざまな器具などを搭載しなければならないので、一定量以上のトランク容量が必要ということらしい。
しかし、ここで謎が残る。
今後クラウンにパトカー仕様は設定されないだろう
いまのパトカーの仕様は、初代クラウンをベースに、トラック用直6エンジンを搭載するため、エンジンルームを延長するなどしたパトカー専用車“トヨタ・パトロール”の規格が基本となり、それ以来クラウンベースのパトカーありきで、仕様の改定が行われてきた(スバル・レガシィパトカー導入の時には、レガシィがパトカーになるように改定されたとのこと)。歴史的に“クラウンありき”で日本のパトカーが進化してきたのに、トヨタが15代目でパトカーとしての仕様を満たさないトランク容量にしたのならば、自らパトカー仕様を設定することを“拒否”したとも受け取れる。
しかも、トヨタがタクシーでいうところのJPNタクシーのように、“こちらを今後のパトカーに”という代替えモデルを新設定するわけでもなく、“次世代の日本のパトカーはどうなる”という状況になっているのもいまひとつ納得ができない。ただ、“もうクラウン自体が生産終了を予定しているため、クラウン抜きのパトカーの在り方を考えて欲しい”というトヨタのメッセージというのならば、わからなくもない。

過去、タクシー車両について細かい規格があったころには、初代マークXをタクシー車両に使おうとしたら、後部座席の乗降のための開口面積がほんの少し足りなかったことがあった。しかし、タクシーとして使いたいというオファーが多かったようで、最初は手作業で面積を広げて規格を満たすようにし、その後専用パーツで対応するようになったという話を聞いたことを思い出した。
タクシーについても、現行クラウンが少ないと感じていたら、「いまは個人タクシーでもJPNタクシーが使われることが多いようです」と、前出事情通が教えてくれた。現行モデルでは物理的理由もあり、クラウンベースでのパトカーは存在しない様子。