自然な言葉でルート案内や注意喚起を行える
三菱電機がカーナビゲーションのガイドを大きく変える新技術「Scene-Aware Interaction(シーン・アウェア・インタラクション)」を開発した。意味を理解する自然言語処理技術に加え、物体認識や移動体の動作解析などを組み合わせることで実現したもので、リアリティな案内によってルートガイドや注意喚起などに役立つ新技術として注目できる。
これまでカーナビは定型の交差点模式図や音声ガイドをもとに、ドライバーが実際の状況と照合して判断しはじめてルートガイドとして成立していた。
たとえば、人がドライバーに道案内するとき、分岐点付近で「前方の黒いクルマに続いて曲がってください」と指示を出すのはよくあることだ。これは人がリアルタイムで得た周辺の状況をもとに解析し、そのうえで判断することで成立している。つまり、これをシステムで自動化したのがシーン・アウェア・インタラクションなのだ。

この技術で見逃せないのは、地図データに含まれていない情報に対しても案内できることにある。これにより工事や事故などのアクシデントなど突発的な路上障害も案内にも対応でき、さらにはカメラで取得した風景をもとに案内することも可能となる。この機能は注意喚起に対しても有効で、横断歩道を渡っている歩行者を発見すれば「左から歩行者が道を渡ろうとしています」となる。
もちろん、これが実際の案内でどこまで有効なのかは使ってみなければわからない。夜間での運用でどこまで有効なのかも気になるところだ。
三菱のナビは自ら学習することで賢さを増す!
たとえば、最近搭載され始めているAR(Augmented Reality/拡張現実)によるナビゲーションで体験すると、リアルな情報が表示されるだけにわずかな違いも違和感として伝わって余計な情報として感じることもある。要はこの案内がかえってドライバーが解析・判断することが増えてしまうことになりはしないかという懸念だ。
ただ、この技術ではエンドツーエンド深層学習を採用しており、画像データ、マイクで収集した音、Li-DARやレーダーで取得した位置情報など、マルチモーダルな入出力のサンプルだけで学習できるようになっているという。センサーが取得した情報を積み上げ、経験を重ねることでどんどん賢くなっていくというわけだ。
三菱電機ではこの技術をカーナビゲーションだけでなく、人からの音声で動作するFA機器や、遠隔地の監督者と口頭での意思疎通ができるロボット、家族が同居しているかのような生活管理や緊急対応のできる見守りサービスなどにも活用していく考え。昨今のソーシャルディタンスに対しても状況を判断して指示を与えられるという。
カーナビゲーションに限らず、人が判断すべき内容をロボットが代行することで、見落としや注意喚起、さらには管理システムの効率化につながる技術として注目したい。
出典元:三菱電機