3台それぞれに個性と魅力が詰まっている!
最近ではスーパーハイト軽ワゴンが人気の中心となっている軽自動車。そのなかにハスラーやタフトといったクロスオーバーSUVタイプも割って入り車種のバラエティーが増加していることはご存じのとおり。
しかし、平成初期にはさらにバラエティー豊かなキャラクターを持った「平成ABCトリオ」というものが存在していた。
これはオートザムAZ-1、ホンダ・ビート、スズキ・カプチーノの車名の頭文字を取ったもので、どれも軽自動車ながら圧倒的な個性を持ったモデルだったのだ。そんな平成ABCトリオがリリースされてまもなく30年、今狙うのであればどのモデルがいいのか、比較してみたい。
1)動力性能は?
AZ-1とカプチーノはターボ、ビートのみがNAエンジンとなるが、じつは3車種とも馬力は自主規制値いっぱいの64馬力を発生する。NAエンジンで自主規制値を達成した軽自動車はあとにも先にもビートのみと言えば、どれだけハイチューンなのかわかるだろう。
なお、AZ-1とカプチーノの前期型はともにF6A型ターボエンジンを搭載しており、スペックもまったく同じ。車両重量はカプチーノの方が20kg軽量ではあるが、AZ-1はトラクションに優れるMRレイアウトということで、実際の加速力は同等といえるだろう。

いま維持しやすいのはビート
2)室内空間広さや快適さは?
3車種ともに2シーターとなるが、ビートは運転席を助手席側にオフセットさせたレイアウトで、ドライバー中心となっており、AZ-1は剛性を重視したサイドシルの高いモノコックフレームを採用している。
一方のカプチーノは3車種のなかではもっとも乗用車的なレイアウトとなっているが、ロングノーズショートデッキのスタイルから決して広いとはいいがたい。

しかし、ラゲッジスペースはAZ-1はほぼ皆無、ビートも後端にトランクスペースはあるものの、スーツケースやゴルフバッグを乗せるのは難しいほどミニマムなもの。それに対してカプチーノは脱着できるルーフパネルを収納できるほどのトランクスペースが備わっているため、日常使いもなんとかなるレベルと言える。

快適さに関してはどれもスポーティな走りがウリのモデルのため、コンフォータブルな乗り味という点ではどれも似たり寄ったりであるが、唯一カプチーノの後期型には3速AT仕様が追加されているため、イージードライブという点ではカプチーノに軍配が上がる。
3)購入のしやすさは?
3車種のなかでもっとも販売期間と台数がミニマムなのがAZ-1で、わずか4500台弱のみとなっている。逆にもっとも販売台数が多いのはビートのおよそ3.4万台。カプチーノはおよそ2.6万台とビートには及ばないものの、98年まで販売が続けられていたので、高年式モデルが狙えるという点が挙げられる。

価格としては手ごろなものが多いのはビート。次点がカプチーノで、AZ-1は台数が少ないこともあってプレミア価格。ビートは一部パーツをホンダが再販し始めているので、スタート価格の安さと部品の供給を考えるとビートがもっともオススメといえそうだ。

とはいえ、3車種ともそれぞれに魅力をもったモデルであることは間違いないので、欲しいと思ったモデルを買うのが一番であることはいうまでもないだろう。