GTSはまったくの未経験でありながら突如JeGTへ参戦することに!

ある日、会社で突如発せられた「WEB CARTOPとしてeモータースポーツ大会に参戦します!」という編集長の言葉は、編集部員たちにとって寝耳に水だったことだろう。



eモータースポーツに対する私のイメージは、世界大会も行われているほど盛んなゲームという程度だ。使用するのは家庭用ゲーム機であるプレイステーション4(PS4)用のドライビングシミュレーターソフト「グランツーリスモスポーツ」。

リアルなクルマの動きやモータースポーツの緊張感を手軽に楽しめるとして、人気を集めている。



話題のeモータースポーツ「JeGT第4戦」ついに終幕! 初体...の画像はこちら >>



クルマが好きな私にとっては魅力的なゲームだが、じつはパッド(PS4付属のコントローラー)でもプレイしたことのない超ド素人である。「無理だ……」おそらく声には出さなかったと思うが、私は確信した。実車でのレース経験もないのだ。まともに走ることすらできないだろう。



コロナ以前にeモータースポーツのオフラインイベントを見たことがあるが、参加している人たちはいわゆる「ガチ勢」ばかり。本番までの間に多少練習できる機会があるとはいえ、付け焼き刃で敵う相手ではないのだ。



だが、そんな不安は一瞬で吹き飛ぶことになる。WEB CARTOP RACINGの参加目的は「勝ちを目指すわけではない」、参戦してeモータースポーツの魅力を伝えられれば良いということだ。こうして私は半ば無理やり、eモータースポーツの世界へ足を踏み入れることになったのだった。



今回参戦するのは「AUTOBACS JeGT GRAND PRIX」。全4戦行われ、1戦につき2~3人のドライバーが交代で走るというもの。

マシンはGr.3を使用することになっており、WEB CARTOP RACINGはホンダNSXを選択した。MRレイアウトでちょっとクセのあるマシンだ。



話題のeモータースポーツ「JeGT第4戦」ついに終幕! 初体験の女性編集部員が見た波乱の結末とは



マシンは決まったものの、ほとんど素人集団の我々だけで走るのはさすがに無茶だ。そこは配慮されており、JeGTでは規定タイムをクリアした認定ドライバーをチームメンバーとして加えることができる。WEB CARTOP RACINGでは大田夏輝選手と兒島弘訓選手の2人とともに、毎戦1人ずつ編集部員が交代して参戦することになり、私は第4戦を走ることになった。



初戦を終えたその日、私は今までになく危機感を覚えていた。それまでなんとなく気乗りしなかったのもあり、まったく練習をしていなかったのだが、レースのレベルの高さ、大会の空気感に触れ、改めて本番を迎えることが恐ろしく感じられたのだ。



私のような素人は我流でやるよりもコツを教えてもらう方が手っ取り早いと思い、認定ドライバーの2人に時間を作ってもらっては練習に明け暮れることになる。



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練習初日。社内に用意された筐体の椅子に腰をかけると、実車のようなホールド感に驚いた。思っていた以上に本格的である。ハンドルコントローラーにはボタンがいくつも付いていてまるでF1マシンのハンドルのようだ。



私が担当する第4戦はウィロースプリングス・レースウェイ ビッグウィロー。アメリカに実在するコースだが、コースアウトしてしまえば広大な荒野を駆けることになり、レースは終わったも同然と言えるほど、初心者にはかなりハードルの高いレイアウトだ。このコースを5周走らなければならない。



「練習時間がたっぷり取れる」という理由から第4戦のドライバーになり少しホッとしていたのだが、このコースを見た瞬間にそんな気持ちは吹き飛んだ。



試しに1周走ってみるが、コースをはみ出し、壁にぶつかり、とにかくひどい有りさまだった。私のど素人加減には認定ドライバー諸氏も驚いたことだろう。



そこで、今度は各コースに設定されているセクターごとに分けて練習していくことにした。まずは1周まともに走れるようにならなければいけないのだ。私も必死だった。



ブレーキポイントやラインはとにかく重複して刷り込んでいく。そうすると、少しずつタイムが縮まっていき、自分の成長を感じられると嬉しかった。



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なんとか1周走れるようになったころ、さらなる問題が発生する。

私の現状のタイムでは、まともに走れたとしてもかなり厳しいところ。勝ちを望まないとはいえ、せっかくやるなら、多少はやって良かったと思えるようにしたい。私のそんなわがままにも快く付き合ってもらい、タイムを縮めるべく、アクセルを踏めるところはしっかりと踏んでいく練習が始まった。



そうして、プロドライバーには到底及ばないまでも、がんばれば1分13秒台にはギリギリ乗せられるようになっていた。終業後のみの練習だったが、にわか仕込みとしては十分ではないかと思う。



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© 2017 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
“Gran Turismo” logos are registered trademarks or trademarks of Sony Interactive Entertainment Inc.
※「PlayStation」は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標です。



悔しいけど「ハマる」! そんな魅力がGTSにはある

レース当日。出社したときから妙な緊張感が漂っていた。すでに3戦を終え、オフラインで開かれる最終戦への切符はかなり難しいことは分かっていたのだが、自分にとっては大一番の瞬間である。



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予選はA、Bとグループごとに行われるのだが、事前抽選の結果、WEB CARTOP RACINGはEVANGELION e-RACING 、KOSHIDO RACING、HKS e-MotorSport、Beatrush by LAILE 、AKUA RACING With PAK、Team EMC×sti、D’station Racingといった錚々たるメンバーを有するチームと戦うことに。



私が走るのはレース2。直前まで兒島さんにアドバイスをもらいながら自分の練習をしていたこともあり、レース1の様子を見ている余裕がなかったのだが、大田選手が予選で2番手という好タイムを叩き出していた。

さらに決勝も素晴らしい走りを決めてくれた。トータルタイム6:08:753でなんと2位スタート!



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まさかそんなことになっていると知らなかった私は顔面蒼白。正直なところ、この時点からの記憶はほとんどない。



順位が後退するのは当然。わかっていても、コーナーを通過するたび、後ろから怒涛の勢いで抜かれていくことに徐々に焦りを募らせていく。練習でのタイムトライアルとは違って他車がいることもあって思い通りに走ることができず、もはやパニック状態に……。そんな心理状態では練習の成果が出せるわけもなく、直前の練習ではしなかったようなミスを連発してコース外に飛び出し、スピンしてしまい、結果は7位。



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それでも、レース1とレース2の合計順位で決勝に進むチームが決まるというルールによって、ストレートで決勝を迎えることになった。



決勝はレイク・マジョーレ・サーキットGPで行われた。ウィロースプリングスしか走ったことのない私にとっては未知のコース。ここは兒島選手に託すしかない。認定ドライバーの2人による練習&作戦会議も行われ、予選は7位。

グリッド前後のマシンはミディアムタイヤを選択していることからピットストップの作戦に出ていると読み、我がWEB CARTOP RACINGチームはハードタイヤでノーピット作戦という大胆な策に打って出た。



話題のeモータースポーツ「JeGT第4戦」ついに終幕! 初体験の女性編集部員が見た波乱の結末とは



序盤はハードタイヤであることからミディアムタイヤを履く他車に抜かれるという厳しい展開に。それでも一時は5位まで順位を上げる力走ぶりだった。しかし、タイヤが消費されていくことによるタイムダウンが大きく、最終結果は8位。



トータルでは、1戦目、2戦目が無ポイント、3戦目が総合10位で3ポイント、4戦目が総合8位で5ポイント、トータルで8ポイント13位という結果だった。我々のようなほぼ初心者集団にとってはJeGT GRAND PRIXの壁は非常に高く感じられた。



私にとっては悔いが残る不甲斐ないレースになってしまったが、今回のレースに参戦できたことは、自分のなかで大きな糧になったと思っている。WEB CARTOPに入ってからというもの、さまざまな企画に携わり、新しいことに挑戦するという機会は数多くあった。そうしたなかで、今回は超ど素人としてeモータースポーツに初参戦。実車のレースのような目まぐるしい展開、練習通りにいかない難しさ、本番前の緊迫感など……どれも自分で走ったからこそ感じられたことだ。



話題のeモータースポーツ「JeGT第4戦」ついに終幕! 初体験の女性編集部員が見た波乱の結末とは



今回のように、賞金の出る大きなレースから初心者でも気軽に参加できるレースまで、実力に合わせて出場できるイベントはたくさん用意されているという。私自身、リベンジとはいかないまでも、また機会があればやってみたいと感じた。

そう思えるほど、eモータースポーツは「ハマる」要素を持っている。



社内にはまだ筐体が置いてあるため、終業後にこっそりレース気分を味わうこともある。好きなクルマで好きなコースを自由に走る。それもまた、グランツーリスモスポーツの楽しみ方のひとつだろう。



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