回すエンジンならやっぱりNA!
自動車の電動化が叫ばれる現在では、今後純粋な内燃機関のみを搭載した車両というのは消滅していく運命にある。
といっても現状では少しでもモーターでアシストすれば電動車という括りになるため、まだまだ楽しいクルマが出てくる可能性はあるのだが、それは置いておいて今回は高回転域まで回すことができる国産エンジンをいま一度振り返ってみたいと思う。
1)ホンダ E07A
ホンダのエンジンというとVTECに代表される高回転型ユニットというイメージが強いが、個人的に推したいのはビートに搭載されたE07A型エンジンである。
SOHC3気筒のNAエンジンと、このスペックをみるだけではそこまでハイスペックなエンジンの印象がないかもしれないが、多連スロットルと2つの燃料噴射制御マップ切り換え方式によるハイレスポンス・エンジンコントロールシステム、MTRECを搭載したビート用エンジンは、現時点ではNAエンジンとして唯一の自主規制値MAXとなる64馬力を発生していたのである。

しかもその最高出力を発生させるのは8100回転であり、まごう事なき高回転型エンジンということができるだろう。
テンロクで200馬力を発揮するエンジンも!
2)日産 SR16VE N1
日産のSRエンジンというとシルビアなどに搭載されたSR20ターボのイメージが強く、高回転NAという印象は薄いかもしれない。しかし、1997年に登場したパルサーVZ-R N1に搭載されていたSR16VE型エンジンは、7800回転で200馬力を叩き出す高回転NAエンジンだったのだ。

このVZ-R N1はその名の通りN1レースに出場するために作られたものであり、通常のVZ-Rに搭載されていた175馬力を発生するものをベースにチューニングが施されていた。通常のSR16VEと区別するためにヘッドカバーが赤く塗られていたのが特徴である(通常モデルは青)。※画像は通常モデルのSR16VE

当時のテンロクNAといえばEK9型シビックタイプRが知られるところだが、シビックタイプRの185馬力を上まわるパワーを絞り出していたこのエンジンもまた名機と言えるのではないだろうか。
3)マツダ 13B-MSP
モーターのような、と形容されることが多いロータリーエンジン。もはや実際にモーターを搭載した電気自動車が存在する現代ではあるが、ロータリーエンジンの回転フィールはモーターよりもモーターらしいといっても過言ではないだろう。
とくに現時点で最後のロータリーエンジン搭載車であるRX-8に搭載されていた13B-MSP型ロータリーエンジンは、それまでのターボからNAになっただけでなく、ポートやハウジングを含めほとんどを新設計されたスペシャルなもの。

とくに前期型のハイパワー版(カタログ値250馬力)は最高出力を8500回転で発生するもので、オーバーレブを防ぐためのブザー音も、どこまでも回っていくようなフィーリングだからこそ備わっているともいえるのである。
