セルフスタンドの普及が理由のひとつ
ガソリンスタンドの給油機には、一般的な固定式と天井からノズルが吊り下げられている懸垂式という、ふたつのタイプがある。最近、後者の吊り下げタイプをあまり見かけなくなった気がする。
理由としてまず一番最初に思い浮かぶのが、セルフの普及だ。吊り下げ式でもセルフにして問題はないようだが、さすがに一般ユーザーがノズルの下に合わせて停車させて、引っ張り下ろして給油するのは困難。しかも油種選択や支払いの機械、計量器を別のところに置かなければならず、現実的ではないだろう。やはりセルフは固定式ということになる。
各機能が別々にあるというのは、吊り下げ式そのもののデメリットになっていて、地中にあるタンクから天井までポンプでくみ上げる必要もある。つまり設備投資が大きくなるというわけで、ガソリンスタンド受難時代の昨今では、大きなハンデとなる。
もちろん吊り下げ式にはメリットもある。地面のスペースを取らないので、敷地が狭くても開業することが可能だ。都市部に多いのはそのためで、ノズルが伸びる範囲であれば、どこに給油するクルマを止めてもいいというフレキシブルさは吊り下げ式ならではだろう。
吊り下げ式のルーツは意外に古くて、前回の東京オリンピックあたりとされている。モータリゼーションの急激な発展でガソリンスタンドも急増したのだが、場所の確保が大変になったため、狭くても対応しやすい吊り下げ式が開発され、重宝されたという。