ストライプが入ったボンネットが印象的!
今ではすっかりファーストカーとして、実用にも耐えうるほど性能面でも機能面でも高いレベルとなった軽自動車。そんな軽自動車の元祖とも言える存在が1958年に登場したスバル360ではないだろうか。
限られたサイズながら大人4人が乗車することができ、比較的安価で十分な実用性を持ち合わせていたスバル360は、当時の国民車構想に沿ったモデルとして多くのユーザーに歓迎されたモデルとなっていた。
そんなスバル360は、発売翌年にはキャンバストップを備えたコンバーチブルや商用モデルのコマーシャルを追加したほか、1963年には車体後部を商用バン形状としたカスタムを投入するなど派生車種が多いことでも知られている。
そのなかでもホットモデルとも言えるのが、モデル末期の1968年に登場した「ヤングSS」である。

すでに登場から10年が経過していたスバル360には、遅れて登場した他メーカーのライバル車も多く存在しており、販売台数にも陰りが見え始めていた。
リッター100馬力の「36馬力」エンジンを搭載!
そんなとき1967年にホンダがリリースしたN360は、バイク譲りの4ストロークエンジンを搭載し、他社が20馬力程度の出力だったところ、31馬力という圧倒的な高性能を売りにしていたのである。
そこでスバルはソレックスのツインキャブレターを装着し、36馬力を発生させるエンジンを搭載したヤングSSを投入したというワケだ。

高出力のエンジンのほか、ストライプ入りのボンネットやヘッドライトカバーに加え、黒を基調としたスポーティな内装にはバケットタイプのフロントシートと8000回転まで刻まれたタコメーターも標準装備。
さらにエンジンはベース車と同じ25馬力仕様だが、外観をヤングSS仕様とした「ヤングS」もラインアップし、若年層を取り込もうとしたのである。
しかし、如何せん基本設計の古いスバル360は他メーカーの新型車に太刀打ちすることが難しくなり、1969年には後継車種のR-2へとバトンタッチ。しばらくは併売されていたものの、1970年5月には生産を終了し、一世代を築いたスバル360は終焉を迎えることとなったのだった。