7割がライトトラックの国にもスポーツカーはある!
アメ車と聞いて、何を連想するだろうか?
近年では、SUVの本家本元として、シボレーならば「タホ」に「サバーバン」、これらと車体や一部エンジンを共有するキャデラック「エスカレード」やGMC「ユーコン」。
また、日本でもトヨタ「ハイラックス」のブームが到来しているが、トヨタ系のアメリカピックアップトラックといえば、「タンドラ」と「タコマ」。

アメリカ市場全体の7割が、SUVとピックアップトラックが属するライトトラックに占められている現在では、日本人のアメ車のイメージがライトトラック系に向くのは当然だろう。
では、スポーツカーについてはどうだろうか?
筆頭は、シボレー「コルベット」である。最新モデルはフェラーリライクなリヤミッドシップへと大変身し、コスパ最強のスーパーカーというイメージになった。

そもそも、コルベットはアメ車の中では特別な存在であり、単なるスポーツクーペではなく、いつの時代でも近未来を想定したアメリカ人にとってのドリームカーだった。
小型スポーツとしては、2000年代半ばに、ポンティアック「ソルスティス」とサターン「スカイ」という兄弟車があったが、西海岸でロードスター(NB)と乘り比べると、エンジンも車体も、なんとも大味で驚いた。結局、このカテゴリーでアメリカは根付かなかった。こうしたマーケットに、「86」と「BRZ」がスッポリまったいるといえるだろう。

欧州スポーツカーとは異なるマッスルカーというクルマ
一方で、アメ車の本格的スポーツとなると、マッスルカーを挙げないわけにはいかない。
そもそもは、フォード「マスタング」やシボレー「カマロ」など、庶民なの2ドアクーペのスポーティモデルとして大パワー&大トルクを楽しむクルマとして若者の注目を浴びた。「カマロ」の派生車である、ボンティアック「トランザム」もトップモデルではボンネットにファイアバードを描くという、いま思えばなんともアメリカンな演出だった。

その後、マスキー法をきっかけとした排ガス規制強化やオイルショックの影響で、エンジンのダウンサイジングがアメ車の主流となり、第一次マッスルカー時代は終焉した。
時が流れて2000年代に入り、マスタングの原点回帰によってシェルビーチューンも本格的に復活。ダッジも「チャレンジャー」と「チャージャー」がHEMI搭載で過激なパワーアップの道を辿ってきた。

また、純粋なアメ車ではないが、アメリカではいまでも愛好家が多い、イタリアン・アメリカンなスポーツカーが、デ・トマソ「パンテーラ」だ。アメリカンV8搭載で、見た目はスーパーカーだが、乗り味はマッスルカーっぽい。

そのほか、アメリカンスポーツというより、まさにドリームカーだったのは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でお馴染みの「デロリアン」だろう。

デロリアンは、GMの副社長だったジョン・デロリアンが理想のクルマを作るために独立して興した会社であり、その最初にして最後のモデルとなったのが、一般的に「デロリアン」と呼ばれているクルマ、「DMC-12」である。
正直なところ、パフォーマンスは大したことがなかったが、生産台数の少なさや映画の影響により、いまだカルト的な人気を誇っている。