この記事をまとめると
■新型車にはカタログやCMで使われるイメージカラーがある



■しかし販売台数で見るとイメージカラーよりも白や黒の方が売れている



■イメージカラーはそのクルマの世界観を伝えるためのもの



イメージカラーよりも白黒が売れていることが多い

ウェブサイトなどで訴求される外装色のイメージカラーやテーマカラーは、色彩が豊かだ。最近発売された車種を見ても、トヨタ・カローラクロスはブルー、スズキ・ワゴンRスマイルはオレンジといった色彩が使われている。



ただし、これらのボディカラーが売れ筋になることは少ない。

日産ノートのビビッドブルーとスーパーブラックの2トーンは比較的人気が高いが、多くの車種は、以前と同様のホワイトとブラックの販売比率が上まわる。



CMやカタログのクルマの「派手なイメージカラー」はじつは不人...の画像はこちら >>



ホワイトとブラックが人気を得ている理由は、さまざまなボディスタイルを引き立たせる色彩であるからだ。ホワイトには清潔感があり、とくにホワイトパールでは、輝くような美しさが魅力だ。高級なクルマに見えることもあって人気を得た。



ブラックはホワイトとは逆の色彩で、引き締まり感が伴う。外観が精悍でスポーティに見えることから好調に売られている。



CMやカタログのクルマの「派手なイメージカラー」はじつは不人気! 本当の「人気色」とそれでもメーカーが採用する理由



そしてホワイトとブラックであれば、中古車として販売する時も不利にならない。人気色は大量に流通する当たり前の色彩だから、際立った高値は付かないが、損をする心配もない。つまり売却時の条件が安定することも、ブラックとホワイトが人気色になった理由だ。



白黒のボディカラーは値引きにも期待できる

大量に販売される軽自動車やミニバンでは、値引きにも影響を与える。たとえばスライドドアを備えた背の高い軽自動車では、エアロパーツを装着したグレードで、ボディカラーがホワイトやブラックの車両を在庫車として豊富に用意することも多い。



在庫車は納期が短い代わりに、管理するのにもコストを要する。

販売会社はなるべく早く売りたいから、個性的な色彩の仕様をメーカーに注文する場合よりも、値引き額などを増やす。「エアロ仕様のホワイトボディなら、値引きが多く、数年後には好条件できて納期も短い」となれば、多くのユーザーが魅力を感じる。そのために販売が好調な車種ほど、ホワイトとブラックの比率も高まり、街中を走るクルマを見てもこの2色が目立つ。こういった事情もあるから、個性的な色彩のイメージカラーやテーマカラーは、概して販売比率が低い。



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それならなぜ、あまり売れない個性的なイメージカラーやテーマカラーを用意するのか。理由はその車種のイメージや特徴を分かりやすく表現するためだ。開発者は「率直にいえば、イメージカラーが人気色になる必要はない。その車種に好感を持っていただくことが大切」という。



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つまりTVのCMなどと同じだ。CM映像を見ると、海外の街中を走っていたりするが、クルマのイメージが伝わればそれで良い。イメージカラーやテーマカラーも、販売するためというより、宣伝するために用意された外装色なのだ。

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