この記事をまとめると
■「ヒュンダイ」が2020年にグローバルでの企業とブランドの呼称を「ヒョンデ」に統一



■日本では13年ぶりの再上陸となり、EVとFCVの2モデルをオンラインで販売する



■「ヒョンデ」はグローバルでどのように評価されているかを解説



EVとFCVに絞って日本市場に勝負を挑む「ヒョンデ」

最近、日本でいきなり大きな話題となっているヒョンデ。といっても、「ヒョンデって何?」と思う人も少なくないだろう。



韓国で最大の自動車メーカーで、2020年にグローバルでの企業とブランドの呼称を、それまでの「ヒュンダイ」から、韓国語の発音により近い「ヒョンデ」に統一したのだ。

ヒュンダイと聞くと、「そういえば、日本でもちょっと昔、売っていたな?」と思い出す人もいるだろう。2009年の日本市場撤退から13年の年月が経ち、ヒョンデとして再上陸する。



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話題の理由は、いくつかある。



たとえば、販売するのはBEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)のみであること。それらをディーラーを持たずに完全オンラインで販売すること。さらに、DeNAのカーシェアプログラム「Anyca」を通じて体験試乗ができることなど、これまでの自動車販売の手法とは大きく異なる。



筆者はすでに、BEVの「IONIQ5(アイオニックファイブ)」と燃料電池車の「NEXO(ネッソ)」に日本国内で試乗しているが、とくに「IONIQ5」の走りの良さと、独自性が強い内外装の高い質感に驚いた。



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グローバルでの「ヒョンデ」の評判は?

それにしても、ヒョンデとはどんな会社なのか。



ヒョンデモーターグループは、自動車メーカーとしてヒョンデとキアのふたつを有している。部品メーカーではヒョンデMOBISなど、多くの部品をグループ内で研究開発し製造している。そのほか、鉄鋼や金融など、自動車及び産業全般にわたり合計54もの企業の集合体である。従業員はグローバルで12万人以上で、製造拠点は韓国以外に7カ国に構えており、販売拠点は200カ国以上で6200カ所を数える。



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年間の製造台数で見ると、トヨタグループ、フォルクスワーゲングループ、ルノー日産三菱アライアンス、GMグループに次ぐ世界第5位となる巨大なグローバル企業だといえる。そのため、ヒョンデは韓国では一流大学を卒業したエリートが就職する超難関である。



筆者は1980年代からこれまで、ヒョンデの成長を世界各地で実際に見てきた。



そのなかで、ヒョンデにとって大きな飛躍のきっかけとなったのは、やはり北米市場だと思う。正直なところ、1990年代頃前のヒョンデやキアは、走行性能で日系メーカーに明らかに劣っていた。だが、2000年代以降の巻き返しは強く、グローバルから優秀な人材を積極的に採用するなどして、内外装デザイン、パワートレイン、車体、走りのチューニングなど、総括的にレベルアップしていき、日本車やアメ車の牙城を崩すことに成功した。



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また、新興国での事業展開も積極的に行い、とくにマルチスズキが圧倒的シェアを持つインド市場では、現地生産をキッカケにヒョンデのブランド価値を一気に上げて販売台数を伸ばしていったことが記憶に新しい。ヒョンデ関係者は「我々は必要十分な市場調査を行った段階で、いち早く決断する」という実効性の高さを強調した。



果たして、日本市場の再上陸という決断が、これからどのような成果を生むのか。今後の動向を注視していきたい。

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