この記事をまとめると
■技術の向上により日々クルマの燃費性能は向上しているが、ガソリン価格もまた上がっている



■30年でガソリン代と燃費はどれだけ上がったかについて解説



■1000km走るのにかかる費用の差を検証した



統計で最安値だった1999年と比較

ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに世界経済は大きく動いている。原油相場は上がっているし、為替では大幅な円安が進んでいる。つまりユーザーレベルでいうとガソリン代は上昇する要素しかないということになる。



レギュラーガソリンで170円/Lという価格になってしまっては、いくら燃費性能が進化していても、実際のドライブに必要な燃料代は上がっているような印象もある。はたして、燃費性能向上はガソリン代上昇を抑えているのだろうか。30年間の変化を見てみることにしよう。



比較のために選んだモデルは、30年前には日本の国民車として圧倒的な存在だったトヨタ・カローラ。はたして、ガソリン価格の変遷と燃費性能向上は、どの時代のユーザーにメリットをもたらしているのだろうか。



ガソリン価格「爆騰」でも家計への負担は激減! 30年前のクル...の画像はこちら >>



2022年3月14日現在の全国平均のレギュラーガソリン価格は175.2円/Lとなっている。

ここでは計算しやすいよう175円としておこう。



そして最新のカローラハイブリッドの燃費性能は、WLTCモードで29.0km/L、JC08モードで35.0km/Lとなっている。



では、30年前である1992年におけるレギュラーガソリンはいくらくらいだったのだろうか。統計データを見ると年間の平均価格は129円/Lで、同様に3月第二週に限ると124円/Lとなっていた。



当時、最新のカローラは1991年にフルモデルチェンジを果たした7代目の100系モデル。中心的グレードに搭載されたエンジンは1.5リッター4気筒で、カタログ燃費は16.4km/L(FF・5速MT)である。



30年前の負担は現在の1.5倍だった!

さらにガソリン価格の統計データを見ていくと、レギュラーガソリンが年間平均の最安値だったのは1999年で、なんと99円/Lと今からすると考えられないほど安かった。さらに条件を合わせるべく3月第二週の平均価格を調べてみると91円/Lとなっていた。



この頃、新車で販売されていたカローラは1995年にフルモデルチェンジした110系モデルで、同じく1.5リッター・FF・5速MT車の10・15モード燃費は18.8km/Lとなっていた。



現在のWLTCモードと当時の10・15モードではリアルワールドでの燃費との乖離がだいぶ異なるためにカタログスペックだけで計算するのは正確な比較とはいえないが、あえて単純化するために上記の数値をもとに、各世代のカローラが1000kmを走ったときの燃料代を計算してみよう……。



1992年:7561円



1999年:4840円



2022年:5000円 ※JC08モードで計算



当然のようにガソリン価格が史上最安値状態だった1999年が1000km走行時の燃料代ももっとも安くなっているが、燃費性能向上によって2022年と比べても大差ない。それにしても、30年前にはガソリン価格が高騰している現在であってもユーザー負担は1.5倍もあったというのは意外な結果だ。



ガソリン価格「爆騰」でも家計への負担は激減! 30年前のクルマと1000km走るのにかかる「燃料代」を比べたら驚きの結果に



1990年代前半といえば、趣味としてドライブをあげる人は多かった時代。あの頃のドライブというのは思いのほかコストのかかる趣味だったのだ。



さらに、10.15モードが実際の燃費と乖離していたのは前述の通り。個人的には、10.15モード燃費を出すのは奇跡的に難しいが、JC08モードは高速巡行で同じくらいの数字が出せ、WLTCモードであれば丁寧に走ってやれば日常的に実現可能という印象だ。



そう考えると、30年前に比べてドライブにかかるガソリン代という負担は半減しているといってもいい。ガソリン価格が安かった1999年と比べても同じことはいえる。

ガソリン価格は上がっていても、燃費性能の向上が上まわっているため、ユーザー負担としてはだんだんと下がっているというのが長い目で見たときの結論となるだろう。



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