この記事をまとめると
■リフトアップの注意点を解説■車検証に記載されている数値から一定の数値を超えると公認申請が必要
■カスタムしやすい世の中になったが、やりすぎは禁物だ
下げるだけではなく上げるのにも上限があった
車高をいじるというと、昔はほぼイコールで下げることだった。いわゆる車高調のサスペンションも、ローダウン目的のカスタムパーツだった。
しかしSUVは、まだこの呼び名が日本ではメジャーではなく、クロスカントリービークルと呼ばれていた頃から、リフトアップが主流だった。
当時のSUV乗りは多くが多かれ少なかれオフロード走行を楽しむユーザーで、ノーマルのままではアプローチアングル・ランプブレークアングル・デパーチャーアングルが不足気味だったり、標準装着タイヤのポテンシャルもいまひとつだったりしたことから、リフトアップがポピュラーだった。
構造面でも、ボディとは別体のラダーフレームを持ち、サスペンションはリーフリジッドが多かったので、いじりやすかった。市販車は素材と呼びたくなる位置付けだったのだ。

ではどこまでアップしていいのか。下げる側は、最低地上高が90mm以上というルールがある。一方の上げる側は、軽自動車を含めた4/5ナンバー車は全高2m以下という規格はあるものの、これに引っかかるのはミニバンやワンボックスあたりに限られそうだ。

むしろ重視すべきは、車検証に書いてある全高の数字から±40mm以内の変更であれば、車検を通すことができるという規定だろう。これは全長や全幅についても定められていて、全長は30mm、全幅は20mmまでの変更が可能となっている。
公認を受ければ規定以上の数値に上げることも可能
この範囲を超えると構造変更申請が必要。申請費用はさほどでもないが、書類をいくつも用意する必要があるうえに、審査に時間がかかる。もちろん保安基準を満たすことも条件で、新たに車検を取り直す、いわゆる公認車検になる。
ただし国が認めた交換可能なパーツは指定部品として、保安基準に適合していれば、構造変更は不要というルールもある。

軽ワンボックスにジムニーの走行部分をまるごと移植というパターンでは構造変更が必要になるが、足まわりのパーツ変更によるリフトアップは、太いタイヤを履いてフェンダーからはみ出たりしなければ大丈夫ということになる。

とはいえローダウンの目的のひとつには走行安定性の向上があるわけで、逆の行為になるリフトアップは当然ながら、走りをスポイルする可能性がある。
昔の三菱ジープやランドクルーザー40系などは、オフロードでの信頼性や耐久性を第一に考えた足まわりだったので、カスタムによってオンロードでの乗り心地やハンドリングが良くなったという例はあった。

最近のSUVは、それに比べればオンロード性能も考慮して作られている。見た目はたしかに勇ましくなるけれど、必要以上のリフトアップはデメリットが目立つ場合もあることを覚えておいてほしい。