この記事をまとめると
■全日本ラリー選手権第3戦「久万高原ラリー」で勝田選手とトヨタGRヤリスが今季初優勝



■勝田選手の優勝はGRヤリスの着実な進化が原動力となっている



■奴田原選手のGRヤリス、新井選手のWRXも進化を果たしており今後の動向に注目したい



勝田選手とGRヤリスが全日本ラリーで今季初優勝

4月30日~5月1日に愛媛県久万高原町で開催された全日本ラリー選手権の第3戦「久万高原ラリー」では、シュコダ・ファビアR5を武器に開幕2連勝を果たしているヘイッキ・コバライネンが、レグ1のSS3で右リヤをウォールにヒットし、サスペンションアームを破損。ラリーをリードしながらもSS4でリタイヤした一方で、トヨタGRヤリスを駆る勝田範彦が好タイムを連発し、待望の今季初優勝を獲得した。



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たしかに勝田の優勝はコバライネンの脱落に助けられた結果だが、勝田×GRヤリスの進化もこのリザルトの原動力にほかならない。



開幕2戦はコバライネン×ファビアR5のスピードに目を奪われていたが、参戦2年目を迎えた勝田×GRヤリスも確実に進化を重ねていたのである。



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ここに興味深いデータがある。2021年と2022年の久万高原ラリーのリザルトだ。久万高原ラリーは2021年も2022年も同一のSSで開催。2021年のレグ2は雨/ウエット、2022年のレグ2は曇り/ドライとなっていることから、ともにドライコンディションで行われたレグ1のタイムを比較してみると勝田×GRヤリスの進化が見えてくる。



たとえば6.97kmの「美川リバース」を比較した場合、勝田×GRヤリスが2021年にマークしたベストタイムがSS5の5分13秒4だったが、2022年はSS3で4分53秒9をマークするなど、約20秒もベストタイムを短縮。14.21kmの「柳井川」に関しては、2021年のSS6でマークした10分55秒9に対して2022年はSS2の10分56秒4がベストタイムになるなど、わずかに2021年の記録には届かなかったが、それでもレグ1のSS合計タイムでは、2021年の48分51秒1に対して2022年は47分46秒2に短縮するなど、確実にタイムがアップしていた。



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2021年の大会は肌寒い10月末、2022年は暖かい4月末と季節の違いはあるにせよ、このリザルトからも勝田×GRヤリスの進化はうかがえるだろう。



GRヤリス以外にもWRXの活躍にも期待したい

実際、2021年の後半戦のターマックでは、勝田×GRヤリスと福永修のシュコダ・ファビアR5はほぼ互角のスピードにある状態だったが、2022年はワンランク上のスピードを持つコバライネン×ファビアR5をターゲットにすることで、勝田×GRヤリスは進化を重ねているのだろう。そのパフォーマンスは、すでに福永修×ファビアR5を凌駕しつつあるようだ。



トヨタGAZOOレーシングのチーフメカニック、丸田智氏によれば「細部の熟成を図ることで確かにマシンは速くなっています」とのこと。同時にステアリングを握る勝田もドラビングをアジャストしているだけに、ソフトとハードの進化が第3戦の勝利を演出していたのである。



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ちなみにミッショントラブルが続出しているが、奴田原文雄のGRヤリスも確実に進化を重ねているようで、第2戦のツール・ド・九州で2位入賞を果たしたことは記憶に新しい。



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さらに、新井敏弘、鎌田卓麻らのスバルWRXもマシンの熟成を重ねており、両ドライバーによれば、2015年にデビューしたVAB型もいまだに"ノビシロ"があるようだ。



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材質置換による軽量化やリストリクターの拡大など、大幅な車両規定の変更がない限り、トヨタGRヤリスやスバルWRXなどの国内規定モデルでは、コバライネン×ファビアR5にスピードで競り勝つことは難しい状況だが、確実に国内規定モデルも進化を重ねており、今後の動向に注目したい。

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