この記事をまとめると
■日本のスーパースポーツとして2009年に発表されたのがレクサスLFAだ■560馬力を発する4.8リッターV10エンジンはコンセプトどおり世界に十分に通用する性能だった
■V10エンジンが奏でる官能的なサウンドや快適な乗り心地を持つレクサスの究極作だった
最高出力500馬力超で最高速度320km/hを可能とするFRクーペ
日本からも世界に通用する、いや世界の頂点を目指すスーパースポーツをデビューさせたい。そんな意気込みとともに、レクサスブランドのもとで「LFA」の開発プロジェクトがスタートしたのは2001年のことだったと言われている。2003年には最初のプロトタイプが完成。
2005年、「LF-A」の車名でそのプロトタイプが、デトロイトショーで初公開。5リッター以下の(実際には4.8リッターが設定されている)V型10気筒エンジンをフロントミッドシップに搭載。ミッションはデファレンシャルとともにリヤにレイアウトされるトランスアクスル方式を採用し、駆動方式はもちろんRWDとすることなどが、この段階で明らかにされた。最高出力は500馬力以上を発揮し、最高速は320km/h以上を可能にすることもまた、この2005年時点で発表されたデータだった。
ちなみに車名のLF-Aとは、「Lexus Future Advance」の頭文字であり、それはレクサスブランドの頂点に位置する、時代を先行したスーパースポーツであることを意味していた。
デトロイトショーでファーストプロトタイプを公開したあとも、その開発はまだまだ続いた。さらなる軽量化を目的に、シャシーやボディパネル、ボディ骨格などにはカーボン素材が使用されることは、かなり早い段階で決定していたものの、重量配分を適正化するためにラジエータをリヤマウントするなど、その改良と熟成はさらに進められていったのである。これは中途半端なスーパースポーツならば世に送り出す必要はないという、レクサスの固い信念が表れた結果だったのだろう。
ちなみにLF-Aの商品化が正式にレクサス(トヨタ)によって認められたのは、2007年を迎えてからのことだと言われている。その2007年のデトロイトショー、レクサスのブースには、プレミアムスポーツシリーズの「F」シリーズが一堂にディスプレイされていた。改良型のLF-Aコンセプトはもちろんこのブースでの主役で、レクサスはここでより詳細なLF-Aコンセプトのスペックを公開している。

LFAの名が示すのは、「Lexus F Sports Apex」。すなわち、レクサスのFシリーズで頂点に位置するモデルの意である。
生産はわずか2年間で500台が生産されたのみ
搭載される4.8リッター仕様のV型10気筒自然吸気エンジンはヤマハ発動機製で、最高出力は560馬力、最大トルクは480Nmと発表されていたから、これは当時としては世界のライバルと十分に勝負できた数字である。たとえばこの時代、ランボルギーニは、同じ560馬力を得るのに5.2リッターのV型10気筒自然吸気エンジンを使用していた。

また、LFAに組み合わせられるミッションは、6速のオートメーテッドシーケンシャルギアボックス(ASG)。シフトアップ/ダウンはパドルを使ってそれを行い、変速スピードはシフトタイムスイッチによって7段階に調節できる仕組みだ。

ドライブモードは、「オート」、「ノーマル」、「スポーツ」、「ウエット」の4つのモードを持ち、各々でVSC(横滑り防止装置)を始め、TRC(トラクションコントロール)、VDIM(スポーツモード付き車両姿勢安定制御システム)などを総合的に制御する。

サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リヤはマルチリンク。ブレーキにはカーボンセラミックディスクが採用されている。純正装着タイヤはブリヂストン製のPOTENZA S001。

実際にこのLFAのステアリングを握ると、その速さのほかに、V10エンジンが奏でる官能的なサウンドや、またスーパースポーツのそれとは思えない快適な乗り心地にも驚かされる。

これぞ日本の誇るレクサス=トヨタの究極作。そのセールスが、わずか500台の限定販売であったこと、さらにこの日本でも約200台のデリバリーに終わったことが(当初計画は165台)惜しまれてならない。