この記事をまとめると
■新型となったムーヴキャンバスの機能をチェック■軽自動車としては初となる機能も装備されている
■サイドステップの高さも低くなっており、乗降性にも優れる
新型のムーヴキャンバスは機能面が大幅に強化された
2016年のデビューから累計約38万台の販売台数を誇ったダイハツの人気ハイトワゴン系軽自動車がムーヴキャンバス。タントとムーブの中間的車高に両側スライドドアを備えたある意味ニッチなモデルで、とくにストライプスと呼ばれる往年のVWバス タイプ2 T1をイメージしたクラシカルでキュートな2トーンカラーのエクステリアデザインや、女性に嬉しい機能、装備、使い勝手が自慢。実際、89%のユーザーが女性だったのだ。
初代はNAエンジンのみだったものの、スライドドアからの乗降性、後席の広さ、後席シート下の引き出し式置きラクボックスを含む収納の豊富さなど、女性ユーザーの日常に寄り添ったライバルなき軽自動車の1台として着実な人気を得たわけだ。
そんなムーヴキャンバスの2代目は、VWバス感あるエクステリアデザインのイメージやパッケージングはそのままに、ロッキーなどにも使われるダイハツ最新のプラットフォーム=DNGAを新採用。高速走行の機会の多いユーザー、山間部のユーザー待望のターボモデルを加えたのもビッグニュースである。グレードは標準車が2トーンカラーのストライプス、上級グレードとしてモノトーンのセオリーを設定したのも新型ならでは。先代はその逆の位置づけだったのである(モノトーンボディがベースグレードだった)。なお、同グレードならストライプスとセオリーは同価格となる。

装備の充実度も高まり、飲み物を暖めてくれる「ホッとカップホルダー」を始め、新しい生活様式に相応しい、テイクアウトを車内でいただきやすい簡易テーブルとしても利用できる「インパネセンタートレイ」、マスクの収納にもぴったりな「インパネアッパーボックス」などが加わっている。

それだけでも新型ムーヴキャンバスすごい! ということになるのだが、じっくり見ていくと、それどころじゃない進化ぶりがある。
まずは電子パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能だ。電子パーキングブレーキは足踏み式パーキングブレーキと違い、前席の足もとをすっきりさせる効果もあるのだが、新型ムーヴキャンバスがすごいのは、アクセルを踏めば解除され、シフターをP(パーキング)に入れると自動でパーキングブレーキがかかるところ。電子パーキングブレーキを備えたクルマは軽自動車のごく一部、普通車にも多くみられるのだが、アクセルを踏むと自動解除されるのはほぼ常識として、パーキングブレーキをかける際、手動でスイッチ操作しなければならない国産車もじつは少なくないのである。

全自動という使いやすさでは、もちろん、新型ムーヴキャンバスのような機能が正解だが、それなりにコストがかかってもあえて採用した点に拍手を送りたい(タフトから採用)。
ムーヴキャンバスは見た目以上に中身の進化が凄かった!
オートブレーキホールド機能は一時停止時にブレーキペダルを踏み続けなくてもブレーキが保持される機能。信号待ち、スーパーマーケットなどの料金所でチケットを取る際にも便利でありがたく、安全で右足の疲労度も低減する。これも軽自動車のごく一部、国産普通車に採用され始めているのだが、たとえば輸入車なら一度オートブレーキホールド機能をONにしてしまえば、エンジンを切っても(電源を切っても)機能が保持されるメモリー機能が付くのが一般的。
しかし、日本車の多くは、一度エンジンを切ると(電源を切ると)解除されてしまったりする。ホンダ車で言えば、ヴェゼル以降からやっとメモリー機能が付いたのである。が、ダイハツはそのあたりにも熱心で、コストよりも使い勝手を重視。オートブレーキホールド機能にメモリー機能が付いているのである!(タフトは最初から、タントは2021年のMCから採用)

ダイハツの先進運転支援機能=スマアシも新型ムーヴキャンバスでは最大全17種類を搭載して安全性を高めているのだが、そこでも新型ムーヴキャンバスは先進を行く。そう、今秋にディーラーオプションで、これまでの軽自動車に採用例のない、BSM=ブラインドスポットモニターを用意してくれるというのだ。BSMは後方左右の車両を常時検知し、車線変更による接触事故などの低減に役立つ先進機能である。昼夜、歩行者対応の衝突軽減ブレーキ機能、前後”ブレーキ制御”付き誤発進抑制装置などとともに、新型ムーヴキャンバスの安全性能を一段と高めてくれるに違いない。
もはや上級車も真っ青な先進運転支援機能、先進機能、安全装備を満載しているのが新型ムーヴキャンバスというわけだ。他メーカーの軽自動車開発部門は戦々恐々……いや、軽自動車界全体がより高度な先進運転支援機能、先進機能、安全装備を採用するいいきっかけになるとも思える。

最後に、驚愕と言っていい新型ムーヴキャンバスの超実用度について紹介したい。
新型ムーヴキャンバスには、もちろんリヤスライドドアが完備され、それも全グレードがパワースライドドアで、新機能としてワンタッチオープン、タッチ&ゴーロック、ウエルカムオープン機能まで付いているのだが、掃き出しフロアのサイドステップ地上高390mmもなかなか低く(ライバルのワゴンRスマイルは345mm)、子どもでも乗り降りしやすい高さなのだが、なんと前席の段差のないフロアの高さはタントとほぼ同じ305mm。もう世界の乗用車のなかでもっとも低い部類なのである(タント以外のスーパーハイト系軽自動車の平均値は350mm前後)。

高齢で足腰が弱った両親などを乗せる際、どうしても助手席に乗せてほしい……とリクエストされても、大きく開くフロントドアから快適に乗降させてあげることができるのである。
後席座面の異例の長さ540mm! から、後席に愛犬を乗せるのにも適している新型ムーヴキャンバスは、高齢者のいる家族、愛犬家、愛犬にまでやさしい、オシャレな見た目以上にすごい超実用車でもあるのだ。