“カープ女子”や“スージョ”など男性向けと思われてきた趣味やスポーツにハマる女性が急増しているが、競馬を楽しむ女性「UMAJO(ウマジョ)」なるものがあるのをご存知だろうか。
「UMAJOプロジェクト」とは?これは、日本中央競馬会(JRA)の若手女性職員たちが、年配男性だけで支えている競馬業界自体の先細りを懸念して、「女性にももっと競馬を楽しんでもらいたい」と立ち上げたプロジェクト。
今回は、「UMAJOプロジェクト」のリーダー・平野亜希子さんにプロジェクト発足のきっかけや、企画の内容、これからの狙いなど詳しいお話を伺った。
自分たちが初めて競馬場に行った時に感じた物足りなさやイメージを改善した――そもそも、この「UMAJOプロジェクト」はどのような経緯で始まったのですか。
平野亜希子さん(以下、平野):2012年、JRAとして今後の競馬業界の発展を考えていた時に、やはり現状は年配男性のお客さんが多いという点がありました。これまでは女性のお客さんを獲得するような動きに力を入れてこなかったんです。
そこで、当事者意識を持って取り組んでいくためにJRAの20代女性職員たちでチームを組み、始まったのが「UMAJOプロジェクト」なんです。
――どのようにプロジェクトを進めていったのでしょうか。
平野:今までやったことがないことだったので最初は手探りでしたね。今の競馬会において何が足りないのか、自分たちが実際JRAに入社する前にお客さんとして競馬場に行った時にどう感じていたのかなどを皆で考えていきました。
また、実際に一般女性への調査も行いました。その中で多かった意見が、「競馬場には休む場所、座る場所がない」、「怖そう」「居心地が良くない」「何を見て馬券を買えばいいのかわからない」といった意見でした。そこで、2013年秋に初めて、休憩できたり、馬券の買い方などわからないことをUMAJOコンシェルジュに質問ができたり、女性がゆったり安心して過ごせる場所として、女性専用スペース「UMAJO SPOT」を作ったんです。
――実際の成果やお客さんからの反応はどうですか
平野:「今までこうした企画があるのを知らなかったので楽しかった」と言ってもらえています。また、逆に男性からは「女性をデートに誘いやすくなった」という声もありますね。
UMAJOプロジェクト以外の取り組みの成果ももちろんありますが、昨年は、過去10年の全国の競馬場への来場者における女性比率が一番多かったんです。徐々にですが、女性にとって競馬のイメージを変えるきっかけになっているとは思いますね。
――今後の展望を教えてください。
平野:今は全国で東京競馬場、京都競馬場、阪神競馬場、札幌競馬場の4か所で「UMAJOプロジェクト」を行っていますが(今年8月からは小倉競馬場も)、全国に広げていきたいです。
女性が競馬を楽しむことが休日のおでかけの選択肢の1つになってほしいです。女性1人でふらっと来ていただいたり、女子会でおでかけしていただいたり、カップルや夫婦のデートなど色々な楽しみ方をしていただけるように、これからもまだまだいろいろと仕掛けていくつもりです。
5月31日(日)には、1着賞金が2億円という競馬会最高の栄誉をかけた一戦「第82回日本ダービー」が行われます。
(石狩ジュンコ)