報道によると、男性は2023年4月に渡航計画書を職場に提出。年次有給休暇と夏季休暇をすべて使っても休暇日数が不足することを認識したうえで、同年8月19日から12月5日まで、109日間にわたるクルーズ旅行に参加。旅行先は東南アジアやヨーロッパ、南米など10か国以上に及んだ。
職場は事前に「私的な都合による欠勤は認められない」「退職したうえで行くべきだ」と複数回にわたり指導したが、男性は従わなかったという。
この一件はインターネット上でも話題となり、「うらやましい」「欠勤だし、給与を支払わなければそれでいいという訳ではないの?」「なんで退職してから行かなかった?」とさまざまな声が上がった。
処分の妥当性は?松井弁護士の見解
停職は、諭旨解雇に次いで重い処分とされるが、今回男性に下された「停職3か月」という処分は妥当なのだろうか。労働問題に多く対応する松井剛弁護士は、14日間の欠勤に対し停職3か月という処分は、「直感的には重い」という印象を述べる。男性は事前に渡航計画書を提出しており“無断”で旅立ったわけではないこともそう感じられる一因だ。
一方で、「処分を下すこと自体は妥当」とも指摘する。
「職場からは渡航を認めない旨を伝えられていたにもかかわらず、旅行を強行していますから」(松井弁護士)
なお処分の重さについては、公務員という立場が影響した可能性も考えられるという。
過去に市営バスの運転手が乗客から預かった運賃から1000円を着服した事案で1200万円の退職金が不支給になった例(https://www.ben54.jp/news/3031)があるなど、公務員には民間企業の従業員より厳しい規範が求められやすい。
本件では職員本人が「欠勤をしたこと、旅行に出かけたことは間違いなく事実です。それに関して相当な処分を受ける覚悟はあります」と話しているといい、処分を争う姿勢はないようだ。
なぜ「私的旅行」での欠勤は認められないのか
しかし、そもそもなぜ私的な旅行による欠勤は認められないのか。有給休暇を使い切った後、欠勤扱いで旅行に行くことは、法的にどのような問題があるのだろうか。この疑問について松井弁護士は、民間企業の従業員か公務員かを問わず、労働者は使用者に対して「労務を提供する義務」を法的に負っており、これを果たさないことは「債務不履行」つまり契約違反にあたると説明する。
「もちろん、体調不良のように『やむを得ない理由』があれば、債務不履行ではあっても懲戒処分の対象にはなりにくいです。
一方で私的旅行は『やむを得ない理由』ではなく本人の意思で回避できます。労務を提供しないことについて正当な理由とは見なされず、契約違反として懲戒の対象になり得ます」(松井弁護士)
処分がもっと重かった可能性も…
14日間の欠勤に対して下された「停職3か月」という処分。この軽重について意見はさまざまだろう。松井弁護士は一つの考え方として「事前の通知もなく、連絡も取れないような『無断欠勤』だった場合、2週間続けば解雇されてもおかしくなかった」と話す。
「男性が事前に渡航計画書を提出していたことで、欠勤することは職場のみんなが分かっていたはずです。職場が許可していないことをしたとはいえ、『無断欠勤』するよりは処分が軽かった可能性はあると思います」(松井弁護士)

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