神奈川県保険医協会が歯科会員を対象に実施した「医療物資の在庫・供給状況緊急アンケート」の中間集計で示されたもの。
中東情勢の影響により、石油製品の原料であるナフサの供給に懸念が生じるなか、一部の歯科医からは「数週間で医療物資枯渇で休業する可能性がある」との声が寄せられ、日常的に通う“かかりつけ医”への影響も懸念される事態となっている。
「医療物資枯渇で休業する可能性」
神奈川県内の開業医師・歯科医師約6500名で構成する神奈川県保険医協会は、中東情勢の悪化を背景に石油製品の供給懸念が広がっていることを受け、4月24日から5月11日にかけて歯科会員1639名を対象にアンケートを実施。4月28日時点で寄せられた129件の中間集計を5月7日に公表した。グローブの供給状況について「通常通り入荷」と回答したのはわずか4.7%で「継続的に入荷」も11.0%にとどまった。在庫状況も「不足気味」が51.9%、「枯渇している」29.5%となっており、加えて約3割がグローブ以外のエプロンや滅菌バッグが「枯渇している」と回答している。
協会によると、アンケート調査では次のような意見も寄せられたという。
「グローブ、エプロンが、どのサイトも販売未定のところが多く、今はまだ足りているが、この状況がいつまで続くのかわからないことが一番心配です」
「出荷調整と価格上昇が同時に起こっており、医療継続の困難及び、コスト増に伴うキャッシュフローの悪化が心配です」
「数週間で医療物資枯渇で休業する可能性がある」
政府は5000万枚放出の方針示す
政府は備蓄している医療用手袋約4億9000万枚のうち5000万枚を放出する方針。上野賢一郎厚労相は4月23日、医療機関への配送体制を整えるとともに、状況に応じて追加で放出する考えを示した。だが協会側は「医療機関への配送が始まるのは早くても5月下旬で、どのように供給されるのかも不透明な状況」と指摘。
加えて、今年6月に行われる診療報酬改定については「価格転嫁できない医療機関への支援は必須」と訴えた。
政府は2026年度の診療報酬改定で、「現下の持続的な物価高騰により、事業収益の増加以上に、人件費、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等といった物件費の事業費用が増加しており、事業収益が悪化している状況にある」として、物価高騰への対応を「重点課題」に位置づけた。
改定率は2年度(2026年度および27年度)平均+3.09%。うち物価対応分として+0.76%を措置し、経営環境悪化の緊急対応分+0.44%も上乗せ。
だが、この改定率の上がり幅が決められたのは昨年12月であり、協会側は「今年2月に緊張が高まった中東情勢以後の物価高は反映されていない」と主張。
神奈川県に対し、医療資材等の備蓄放出の検討を求めるとともに、政府に対して「小規模医療機関へ更に目を配り、卸売業者への働きかけを含めた『流通の目詰まり解消』や『適切な情報発信』に期待する」と要請した。

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